マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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岩屋の寺行事

2012年01月29日 09時11分28秒 | 山添村へ
籠りをされている権現講の人たちから稲荷講や興隆寺で行われるオコナイのことを聞いた。

オコナイがあることを知ったのは1月の権現講の取材を終えて村を抜けていたときのことだった。

そこで目にした畑の印し。

牛玉宝印の書が挿された竹を田んぼで見つけたのである。



宝印書が存在するにはオコナイがあると思って尋ねてみた。

それは2種類あるという。

オコナイをされているのは興隆寺。

1月6日には水田に豊作を祈るお札。

いわゆるミトマツリであるが、JAから苗を購入するようになってからは水神さんに祀ると言って井戸などの水まわりに供える。

同月15日に行われるガンジョウエではオカホ(陸稲)の豊作を祈るお札を授かって畑に挿しておくのだという。

今年の1月23日に見つけたごーさんのお札はそれであったのだ。

立てている竹はかつてウルシの木だった。

ウルシの木を見つけるのも困難だし、被れるからと数年前にススダケに替えたという。

ウルシの木を探すのは1月10日に行われていた正月ドーゲが役目を担っていたそうだ。

ドーゲは「堂下」の漢字を充てる月当番の呼び名だ。

オコナイのお供えにモチゴメがある。

それは枯れたホウの葉に包んだものだ。

12月初めころから集めに山へ行って採ってくる。

それを蒸して葉を柔らかくする。

さらして(乾かして)モチゴメの洗い米を中に入れてお寺に持っていくようだ。

オコナイの法要を営んでいるとき、「ダンジョー」と住職が声をあげると太鼓打ちが太鼓を打つ。

かつてはそのときにフジの枝木を持つ子供が寺の床を叩いたそうだ。

「ダンジョー」はおそらくランジョウ(乱声)の作法であろう。

ランジョウが訛ってダンジョーと呼ばれるようになったと思われる。

その行為をしているときだ。

ドーゲは供えた注連縄を担いで大急ぎで八柱神社のほうに走っていく。

目指す先は名張と室生を繋ぐ県道だ。

神社横を通る道を跨ぐように注連縄を掛ける。

このような同様の状況下で注連縄掛けをされている室生深野のオコナイを思い起こす。

お札が2種類もあるオコナイ取材は行先を決めていた行事よりも優先して調査しなければならない。

なお、稲荷講の様子はどうかと言えば伏見のお稲荷さんに代参する行事だそうだ。

それは3月第一土曜か日曜辺りらしいが供物を授かってくるだけだという。

3月末か4月初旬には「イナリヤブ」、「イナリサン」と呼ばれる2か所に参って護摩を焚いて祈るというからそちらは確認したい。

1月7日には山の神のカギヒキがある。

「にしのくにのいとわた ひがしのくらのぜにかね」などと唱和してカギヒキをするらしい。



岩屋の山の神は5か所あるというが、すでに3か所は確認している。

朝早い時間帯だけに起きることができればいいのだが・・・。

(H23. 1.10 EOS40D撮影)
(H23. 1.23 EOS40D撮影)
(H23.12.23 記)