電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

コーンウェル『死体農場』を読む

2010年08月31日 06時03分12秒 | -外国文学
講談社文庫で、パトリシア・コーンウェルの「検屍官」シリーズ第5巻『死体農場」を読みました。いやはや、題名も不気味ですが、内容も気色悪い。特にこの巻の前半部は、後味の悪さが顕著です。

バージニア州の検屍局長ケイ・スカーペッタは、FBIのアカデミーに姪のルーシーを訪ねます。ルーシーは、すでに21歳、もう少しでバージニア大学を卒業するところで、その頭脳をFBIの技術開発研究所で、犯罪に関する人工知能ネットワーク、まぁ、要するに膨大な犯罪データベースシステムを開発していますが、どうも愛情の対象が同性である女性に向かう傾向があるようで、一緒に居るのが30代半ばらしいキャリー・グレセンです。そして、ケイとマリーノが追っているのが、小さな町でおこった残虐な少女殺人事件。エミリー・スタイナーの死亡の後に、担当捜査官の変死と続きます。ケイとベントン・ウェズリーが仲良くなってしまったものですから、相棒のピート・マリーノは被害者少女の美しい母親とねんごろになってしまい、危ない、危ない。しかも、少女殺害を調べていた担当捜査官が変死したときにはいていた下着から、少女の母親ディネサ・スタイナーの指紋が発見されます。ディネサの周囲では、夫、娘、猫など病死・変死が連続しているのです。変質的な殺人者テンプル・ゴールトの手口と似てはいるのですが、どこか変です。

ルーシーが関わっているFBIの犯罪記録データベースに関し、ネットワークがらみの緊急事態が発生します。ルーシーにネットワークへの侵入の嫌疑がかかっているのです。本人はFBIへの採用を望んでいるのに、このままでは永久に道は閉ざされてしまいます。そしてルーシーを窮地に追い込んだキャリー・グレセンのところで、テンプル・ゴールトと遭遇することになりますが、ゴールトは行方をくらまし、ケイは少女殺害事件の犯人から命を狙われることになってしまいます。後半の緊迫した展開は、実にお見事です。



ところで、本筋には何の意味もないことですが、コンピュータ好きとして「変だな」と感じる表現がありました。p.59、ベントンとルーシーの会話です。

「このシステムをどんなハードウェアで実行させるかはもう決まった?」ウェズリーはルーシーと話し続けている。「メインフレーム?」
「いまはメインフレームより、小型のクライアント・データベース・サーバーを使うのが主流になりつつあるの。ミニコンピュータとかLANとか。何でも小型化していくのね。」(p.59)

小型のクライアント・データベース・サーバー?はて、何のこっちゃ。もしかしたら、データベース・サーバーと小型のクライアント機からなる、クライアント・サーバー型のデータベースという意味でしょうか。それなら意味が通じます。この発言をしたルーシーの名誉のために、訳語としてどうなのか、ちょいと疑問を呈しておきましょう。

「このシステムをどんなハードウェアで実行させるかはもう決まった?」ウェズリーはルーシーと話し続けている。「メインフレーム?」
「いまはメインフレームより、小型機を組み合わせたクライアント・サーバー型のデータベースを使うのが主流になりつつあるの。ミニコンピュータとかLANとか。何でも小型化していくのね。」

まあ、90年代初頭のころの感覚ではありますが、これなら意味がわかります。
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「Ubuntuソフトウェアセンター」の便利さに喜び、分子モデリングで遊ぶ

2010年08月30日 06時02分28秒 | コンピュータ
自宅のデスクトップPC(hp-s3450jp/CT)のOSとして導入している Ubuntu Linux を 10.0.4-LTS に更新したところ、「アプリケーション」メニューに「Ubuntuソフトウェアセンター」なる項目が増えていることに気がつきました。試しに呼び出してみると、



こういうもので、Ubuntu Linux で使える .deb 形式のパッケージについて、ジャンル分けして整理した形を提供しているものらしい。これまでも、「システム」メニューの「システム管理」で「Synapticパッケージ・マネージャ」というものがあり、互いの依存関係を解決しながら導入できる優れた仕組みでしたが、さらに一段と使いやすくなった形です。

試しに、科学・工学の「化学」のトップに出ていた「Avogadro」を導入してみました。うーん、アヴォガドロという名前を聞いただけで、高校の化学の悪夢を思い出す人も少なくなさそうですが(^o^;)>poripori




Avogadro is an advanced molecular editor designed for cross-platform use in computational chemistry, molecular modeling, bioinformatics, materials science, and related areas. It offers flexible rendering and a powerful plugin architecture.

あまり上手ではありませんが、超訳してみると、

Avogadroは、計算機化学、分子モデリング、生命情報工学、材料科学、および関連領域における、クロスプラットフォーム使用のために設計された、進歩した分子エディタです。それはフレキシブルなレンダリングと強力なプラグイン構造を提供します。

といったところでしょうか。

ふむふむ、要するに分子モデリングツールなのですね。その昔、FM-TOWNS 上で「ChemTowns」なるフリーソフトウェアをいじったのがこのジャンルの初体験で、分子グラフィックスを作成するのに便利なものでした。では、早速・・・



おお、けっこう直感的に使えます。画像として保存し再利用もできますし、分子がくるくる回転するアニメーションも興味深く楽しい。いろいろな物質を分子模型でモデリングして遊ぶように、しばらく楽しめそうです(^o^)/
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自宅デスクトップPCをUbuntu-10.0.4-LTSに更新、着実な進歩を確認

2010年08月29日 06時04分54秒 | コンピュータ
自宅でメインに使っているデスクトップPC(hp)は、Linux の中でも Ubuntu 8.04 LTS (Long Term Support 長期サポート版) をOSとして採用しておりました。デスクトップに赤い更新アイコンが表示された時に、その都度更新することで、たいへん安定した運用を続けてきておりましたが、ある時期から「Ubuntu 10.0.4 LTS に更新できます」みたいなメッセージが入るようになりました。

「安定した環境はいじるな!」がコンピュータ利用の鉄則であることは十分承知ですが、なに、WindowsXP(SP3),Windows2000Professional のデスクトップと、Ubuntu 8.0.4LTS な赤いネットブックがあり、その他にも単身赴任時に使っていた VineLinux4.0 なセレロン機や娘のお下がり WinXP Home マシンまでありますので、いざという時のバックアップは万全です。思い切って、メインマシンのアップグレードに挑戦!

と肩に力が入ったのはよいけれど、なんともあっけなく終わってしまいました。フレッツ光のネットワーク経由で、所要時間は2時間程度。Ubuntu 8.0.4LTS 導入の時には自動認識せず、手動で設定した三菱の17"液晶ディスプレイ Diamondcrysta RDT1712S もちゃんと自動で認識しています。さすがにプロプライエタリなグラフィック・ドライバ(NVIDIA GeForce7100用)は自動更新はされませんが、「システム」メニューから「システム管理」ー「ハードウェア・ドライバ」を選ぶと、利用可能なドライバを自動的にサーチ。「NVIDIA の高性能グラフィック・ドライバ(バージョン173)」を選んでやるだけで導入できました。



さらに、「システム」ー「システム管理」ー「NVIDIA X Serber Settings」中の「X Server Display Configuration」から Model として「Mitsubishi RDT1712S」を選び、解像度を 1280x1024 pixels あたりで設定して save して再起動してやると、ちゃんと所定の解像度で起動してくれました。

また、「設定」-「サウンド」-「ハードウェア」で ONKYO SE-U33GX がちゃんと表示されますので、入力・出力ともに ONKYO のデバイスを選択してやると、音も USB オーディオ経由でミニコンポで鳴らすことができました。

なるほど、Ubuntu Linux も地道に改善されていることがよくわかりました。

トップの画像は、背景に選んだ夏向きの写真のスクリーンショットです。ただいま、自宅 PC のデスクトップは、こんな背景となっております。
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プルーンの枝についたアメリカシロヒトリの幼虫を退治する

2010年08月28日 06時01分59秒 | 週末農業・定年農業
真夏の暑さの中では、果樹園の見まわりも億劫です。朝晩には暑さも和らぐころとなりましたので、夏剪定を始めました。伸び放題のプルーンの徒長枝を選定していたら、なにやら密集したクモの巣のような白い綿状のものを発見。アメリカシロヒトリ(*1,2)の産卵のあとです。それなら近くに幼虫がいるはずと思ってよくみたら、いました!狭い葉にうじゃうじゃと。枝の根元から切り落とし、即刻焼却処分。アメリカシロヒトリは、白い網状の中で孵化しますので、小さい幼虫の時には鳥にも捕食されにくいのです。しかし、幸いに若い幼虫のうちは一ヶ所にかたまって若い葉を食べますので、枝の先端部にいることが多いです。そこで、白いクモの巣状の産卵箇所を早期発見して、枝ごと切り取ってしまうのが、根こそぎ退治するコツのようです。その意味でも、樹木全体が見渡せるよう、混み合いすぎた枝を間引く夏剪定は、大事な作業です。

スモモの「秋姫」の出来具合も気になりますが、野鳥にやられる前に、まずは月末のプルーンの収穫が課題です(^o^)/

(*1):Wikipediaの「アメリカヒロヒトリ」の解説ページ
(*2):アメリカシロヒトリの写真が掲載されたページ~蛾がきらいな人にはおすすめできません(^o^;)>
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庄内を散策し響ホールでフルートとギター・デュオの演奏を聴く

2010年08月27日 06時46分06秒 | クラシック音楽
遅い夏休みとなった26日の木曜日、妻と庄内散策とコンサートの日帰り旅行に出かけました。無料となった高速を一部利用しつつ、まずは鶴岡へ。藤沢周平記念館を再訪して、じっくり観覧します。今回は、映像と音声のアーカイブを通じ、生前の声をじっくり聴きました。



その後、旧羽黒町の松ヶ岡にまわり、庄内映画村資料館を見学し、お休み処でひと休み。ここでは、kibiso という蚕の吐き出す絹糸の最初の部分を材料にした織物を見学、素朴さと上品さに、認識を新たにしました。二階では、学生さんの作品の展示も行われており、透明感のある作品、斬新な作品、素材感を生かしたものなど、若い感性が手間暇かけた作品が目を引きました。



さらに、旧藤島町の東田川文化記念館にまわります。こちらは、純和風の旧東田川郡役所と洋風の郡会議事堂の建物が復元保存され、明治の洋風建築の方は、一階が図書館、二階が「明治ホール」としてグランドピアノも設置されておりました。図書館は冷房がきき、小さな子どもは畳に寝そべって絵本が読めるようになっており、なかなか素敵な環境でした。残念ながらすでに夕方でしたので、郡役所の内部は見ることができませんでしたが、様々な実物資料等が展示されているようでした。











そして庄内町余目の響ホールへ。当日は庄内国際ギターフェスティバルの中日で、「フルートとギター 魅惑のデュオ・コンサート」と題し、アタナス・ウルクズノフ(Guit.)さんと小倉美英(Fl.)さんの共演です。全席自由、2000円で、当日券を入手できました。響ホールは、500席くらいでしょうか、ステージは天井が高く奥行きがあり、その名のとおりよく響きます。プログラムは、

(1) バルトーク 6つのルーマニア民俗舞曲
(2) リゲティ 「ムジカ・リチェルカータ」より
(3) ウルクズノフ 3つの東方の物語~狐の踊り、赤鬼の子守唄、ドラキュラのカプリス
(4) キース・ジャレット メモリー・オヴ・トゥモロー
(5) ウルクズノフ ギター・ソロのための「通りゃんせ物語」
(6) チック・コリア スペイン
(7) デュオ・ウルクズノフ編 3つの演歌
(8) 伝承曲:3つのブルガリア民謡~ブルガリアの唄、マケドニアの唄、婚礼の踊り

というものです。ウルクズノフさんは、1970年ブルガリア生まれ、現在フランス国籍を持つギタリスト、作曲家だそうです。自作のほか、小倉さんとのコンビでの編曲ものを中心とした構成。最初のバルトークは、いつも聴いているシフのピアノ演奏とは一味違う、フルートとギターによる音色に、たいへん感心しました。その後は、声を乗せて奏するフルートやお琴を模したようなギターの奏法などに唖然・呆然。すっかり魅せられて、あっという間のコンサートでした。「赤鬼の子守唄」では「ねんねんころりよ」の旋律が取り入れられ、「与作」や「涙そうそう」などの演歌が取り上げられるなど、いろいろな方角から楽しめるものになっていました。アンコールの、ジプシーが子熊を踊らせる時の音楽や、アフリカの音楽など、驚異的なリズムと独特のテクニックに、いや~、来てよかったと思いましたですよ(^o^)/

あとは、家路を急ぎます。夜遅く自宅につくと、夜な夜なハンティングに余念がないアホ猫が、玄関先で出迎えてくれました(^o^)/
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コメントを書いたらスパムと判定されてしまったので

2010年08月26日 06時02分54秒 | Weblog
東北芸工大のアフィニス音楽祭アートプロジェクトのブログ(*)に、次のようにコメントしたら、スパムコメントと判定されてしまったようです(T-T)
たぶん、IPアドレスで学外者ははじく設定になっているのだろうと思います。
しかたがないので、ここに掲載しておきます。気づいてくれるといいなぁ(^o^)/

こんにちは。地元山形の素人音楽愛好家の narkejp といいます。先日の「英雄の生涯」他の演奏会、とても楽しく聴きました。また、芸工大の学生さんによるアート作品も、興味深く拝見しました。文翔館前の立体作品はたいへん印象的でした。でも、県民会館前はたいへんな人だかりで、この印象的な作品があるのに気づかず会場入り。演奏会のあとのアンケートに、「会場前にインパクトのある展示を」などと書いてしまったのは私です(^o^;)>poripori
会場を出てから気づいて、後の祭り。アンケートの訂正をします!光の演出も、良かったです!できれば、人だかりの中でも見えるように、高さがあるとなおよかったと思います(^o^;)>
また、議場ホールの室内楽演奏会のミニろうそく風のライティングも、たいへん洒落ていて、印象的でした!

東北芸工大のアートプロジェクトに参加された皆さん、皆さんの作品、良かったですよ~(^o^)/



ボランティアで活動されていた山形大学等の学生・院生の皆さん(*2)、たいへんご苦労さまでした。みなさんの努力、ちゃんと心に届いていますよ~(^o^)/

(*):東北芸工大のアートプロジェクト「英雄の生涯」
(*2):アフィニス夏の音楽祭公式ブログ~山大大学院の皆さんの記事
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通勤の音楽で聴くR.シュトラウス「英雄の生涯」

2010年08月25日 06時03分10秒 | クラシック音楽
このところ、アフィニス音楽祭の合同演奏会の予定もありましたので、通勤の音楽としてR.シュトラウスの「英雄の生涯」を繰り返し聴いておりました。カーステレオでがんがん鳴らすブロムシュテットとドレスデン・シュターツカペレの録音も良かったのだけれど、あの生演奏を聴いてしまうと、ちょっとねえ(^o^;)>poripori
少なくとも、カーステレオではとても収まりきれないボリュームの曲だ、ということは実感しております。まあ、この先「英雄の生涯」を生で聴く機会はそう何度もあるとは思えないので、自宅のステレオ装置で、CDでがんがん鳴らして聴くことにいたします。隣家の迷惑をほとんど考えなくとも良い田舎家の環境に、こういうときにはほんとに感謝したいと思います(^o^)/

ところで、「英雄の生涯」などと自分で言うか!という意見もありましょうが、「ヒーローの人生」と訳すと、印象は激変(^o^)/
英雄っていうとナポレオンとかアレクサンダー大王とかいうレベルに感じますが、ヒーローって言うと、サザン・オールスターズの桑田さんとか、野球の長嶋さんとか、たくさんいる感じ。「いや~、ヒーローの人生って、けっこう大変なんスよ~」というノリで自伝を書いちゃう人はいそうです。はたしてR.シュトラウスはどんなノリでこの曲を書いたのか、案外、長嶋さんみたいなノリだったりして(^o^)/



写真は二つとも、アフィニス夏の音楽祭に向けて山形市内をかざったアートプロジェクトの一環で、東北芸工大の学生さんの作品。若い感性が、なかなか素敵です。
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アフィニス音楽祭の室内楽演奏会でシューマン、プロコフィエフ等を聴く

2010年08月24日 06時05分29秒 | -室内楽
前売券を入手できず、当日券だのみで、会場の文翔館議場ホールに駆けつけました。18時30分の開場後、前売券を入手できたお客さんはどんどん入場しますが、当日券希望者はおとなしく列を作って待ちます。整理スタッフに旧知の方がいましたので、列の中からご挨拶。なんでも、前売券が180枚出ているので、当日券は50枚くらい出るんじゃないかという話でした。しめしめ、それなら入手できそうと安心し、列の中から写真撮影。



入場してびっくり。いつもの議場ホールが、最後部ばかりか両サイドにパイプ椅子まで出して対応です。当方は、なんとか正面後部に席を取ることができました。あちこちに山響や山Q関係者のお顔が見えます。本日の曲目は、

(1) モーツァルト 弦楽五重奏曲 第2番 ハ短調K.406
(2) シューマン ピアノ五重奏曲 変ホ長調 Op.44
(3) プロコフィエフ 五重奏曲 ト短調 Op.39
(4) ベートーヴェン 七重奏曲 変ホ長調 Op.20

と、多少付け合わせを考えれば、ほとんど2回分のメニュー。七重奏曲は2度目の生演奏ですが、今回どうしても聴きたかったのは、大好きなシューマンの五重奏曲とベートーヴェンの七重奏曲、そして未聴のプロコフィエフでした。

最初の曲目は、モーツァルトの五重奏曲第2番です。正面左から第1ヴァイオリン:寺井馨さん、第2ヴァイオリン:砂畑佳江さん、第1ヴィオラ:P.ペシュテイさん、第2ヴィオラ:森亜紀子さん、チェロ:馬場隆弘さんが並びます。いつもの席よりだいぶ遠いのですが、それでも200人規模の小ホールですので、演奏者の表情や息遣いがよくわかります。第3楽章のカノンが効果的です。

続いて、曲間でスタッフがピアノを移動、中央にピアノが配置されてシューマンのピアノ五重奏曲です。第1ヴァイオリン:H.ホッホシルトさん、第2ヴァイオリン:織田美貴子さん、ヴィオラ:樋口雅世さん、チェロ:大澤哲弥さん、ピアノ:V.セレブリャーニーさん。室内楽にはちょうどよいホールですね~。第3楽章:スケルツォで拍手が出ません。さすが~。学生さんから年配の人まで、お客さんは多彩な顔ぶれとなっているのですが、山形の聴衆の層は、けっこう厚いのかも。
うーん、ピアノ五重奏を満喫しました!

ここで休憩です。



後半は、プロコフィエフの五重奏曲から。ステージ左から、ヴァイオリンが米田誠一さん、ヴィオラがM.キャシーさん、コントラバスがJ.リノヴィツキさん、クラリネットが古賀嘉比古さん、そしてオーボエがK.クリユスさんです。初めて聴きますので、いま何楽章かを見失ってしまいそうになります。第1楽章:コントラバスの高域がおもしろい音色です。第2楽章:速いテンポでエネルギッシュに。コントラバスは本来の低音をここぞとばかり発揮します。第3楽章:童話的世界。コントラバスは熊の歩行みたい。第4楽章:不協和音による葬送行進曲みたいな部分も。ここでオーボエに合わせて再チューニング。第5楽章:コントラバスは、ジャズのベースみたいに、指でリズミカルなピツィカート。プロコフィエフらしい知的なお遊びにあふれた曲です。第6楽章:アンダンティーノ。このモダーンな音楽を楽しみました。

最後はベートーヴェンの七重奏曲です。ステージには、Vn:川崎洋介さん、Vla:手塚貴子さん、Vc:渡邊方子さん、Cb:小金丸章斗さん、Hrn:I.ガスさん、Fg:高橋あけみさん、Cl:原田美英子さん、が並びます。2度目の七重奏曲は、軽やかさ、はずむリズム、音色の魅力、安心感と愉悦感など、楽しいひとときでした。山響の高橋あけみさんのファゴット、響きあいながらも埋没せず、しっかりと聴き取れました。さらにヴァイオリンの川崎さん、ほんとに汗だくになりながら、いや~、実にお見事でした!

さて、本日は夕方から知人の父君の葬儀に参列の予定。残念ながら、テルサホールでの室内楽演奏会(2)には行けません。良い演奏会になりますように、そして音楽を志す若い皆さんが良い刺激を受けますように、お祈りいたします。
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山形市・岩淵茶舗の抹茶ソフトクリーム白玉つき。

2010年08月23日 06時01分53秒 | 散歩外出ドライブ
山形市内・七日町にある御殿堰のわきに、老舗の岩淵茶舗が新装開店しています。先のアフィニス音楽祭「英雄の生涯」演奏会に際し、妻と一緒に入ってみました。中年おじんが一人では、ちょいと甘味処に入るのは恥ずかしい(^o^;)>poripori
ですが、妻と一緒ならば婦唱夫随、堂々と大きな顔で入れます(^o^)/
頼んだのは、夫婦とも「抹茶ソフトクリーム白玉つき」。とにかく暑かったものですから、一部ぱくついてから写真を取ることを思い出しました。そんなわけで、ちょいと食べかけの画像となっております(^o^)/
いや~、女性でなくとも、おいしいです~(^o^)Y

そういえば、今回の記事は、米沢の「うこぎソフトクリーム」(*1)、村山市東沢公園の「バラ・ソフトクリーム」(*2)に続き、名物ソフトクリーム・シリーズ第三弾になるのかな?

(*1):米沢市で、上杉と直江の史跡を歩く~「電網郊外散歩道」2007年9月
(*2):バラ園と弦楽四重奏~「電網郊外散歩道」2007年9月
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アフィニス音楽祭でモーツァルトとR.シュトラウス「英雄の生涯」他を聴く

2010年08月22日 10時28分26秒 | -オーケストラ
土曜の夜、妻と二人で山形県民会館のアフィニス音楽祭2010(*1,*2)合同演奏会へ。東北芸工大の学生さんが作った県民会館前のオブジェを見たり、御殿堰の岩淵茶舗で抹茶ソフト白玉つきを食べたりしながら開演を待ちました。客席中央付近でしたので、三列ほど前方に、エメラルド色の洋服の吉村美栄子・山形県知事が来場されたのに気づきました。喜ばしいことですね(^o^)/

例によって、山響音楽監督飯森範親さんのプレコンサートトークから。
1曲め、モーツァルトのセレナード第10番K.361「グラン・パルティータ」(抜粋)について。指揮者なしで演奏されますが、楽器編成でフルートがありません。これは、当時モーツァルトが恋していた女性フルーティストにフラれたために、フルートを抜いたのだとか、諸説あるそうです。なんだかめめしいぞ、ヴォルフガング君(^o^)/
2曲め、R.シュトラウスの「メタモルフォーゼン~23の独奏弦楽器のための習作」です。1864年生まれ、1949年に没した長命のシュトラウスが80歳で作曲した問題作です。身内にユダヤ人と結婚した人がいて、その人をかばうためにナチスに協力し戦後に裁判を受けるなど苦労しました。このメタモルフォーゼンは人間の変容ではなくて目に見える場所やドイツ文化、国家の破滅、過去の栄光と悲惨な現実を描いたもので、最後に「エロイカ」の葬送のテーマがコントラバスで奏されます。
3曲目は「英雄の生涯」。シュトラウスの主だった交響詩は35歳までに書かれており、以後はオペラに没頭、「薔薇の騎士」で大成功をおさめます。諸々の事象を音に描くのが得意だったシュトラウスは、この曲を「英雄」と名づけたかったようですが、最終的に「英雄の生涯」としました。誰かに「英雄とはご自身のことですか」と尋ねられたそうですが、「あなたに答える必要はない」とつっぱねたとか。でも、曲を見ると自分自身であることは確かです。たぶん、山形初演です。

モーツァルトの「グラン・パルティータ」。ステージ上に左からOb(2)、Fg(2)、その後ろにCb、正面にHrn(4)、右にBHrn(2)、Cl(2)と並びます。Ob-2の佐藤麻咲さん、Fg-2の高橋あけみさん、バセットホルンBHrn-2に郷津隆幸さん、Hrn-1~4に八木健史さん、岡本和也さん、関谷智洋さん、大和洋司さんなど、おなじみの山響メンバーが参加し、Ob-1,Cl-1,BHrn-1,Fg-1,Cbに音楽祭の講師やゲストが入っています。両端に座ったオーボエのクリュスさんやクラリネットのレクムさんの体の動きが大きい!たぶん無意識なのでしょうが、全身の動きの中で音楽を作ろうとしているのでしょう。フィナーレも軽やかな遊び心がよく出ていて、楽しそうです。演奏する側は大変なのでしょうが、聴いている方は実に愉悦感を感じました。

R.シュトラウスの「メタモルフォーゼン」は、じっくり聴くのはたぶん初めてでしょう。Vnの四方恭子さんがリーダーとなり、山響からは犬伏亜里さん、ヤンネ舘野さん、ヴィオラの成田寛さん、チェロの渡邊研多郎さん、コントラバスの米山明子さんなどが参加して、Vn(10)-Vla(5)-Vc(5)-Cb(3)という構成で「23の独奏弦楽器のための習作」。いや~、たしかに見た目は弦楽合奏ですが実は合奏ではなく、23本の独奏弦楽器のための作品です。それぞれが独奏者として位置付けられた、たいへんに精緻な、ハーモニーにあらざるハーモニー、いわば廃墟の音楽でしょうか。大いに堪能しましたが、個人的に何度も繰り返して日常的に身近に親しみ愛好する作品とは少し違うような気がします。こういうときに聴いて、良かったなーと思い出すのがよいのでしょう。



写真は休憩時の会場の様子。プログラムの最後は「英雄の生涯」です。
わーお、4管編成というのはこんなに大きかったのか!と今更ながら驚く総勢106人。いやいや、県民会館のステージが小さいんでしょうけど(^o^;)。ステージ左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、右手後方にコントラバス、正面奥に木管、その奥に金管、左手後方にハープとティンパニ、パーカッションが並びます。各パートの要所に今回の講師陣が陣取り、コンサートマスターは高木和弘さん。指揮の飯森さんは、遅めのテンポでじっくりと音楽をスタートします。最初の「英雄」はちょっとテンポが遅すぎるのかなと感じましたが、じきに慣れて、「英雄の敵」の始まりのフルートの独立したかけあいに、フルート二本ではこれはできないよな~と感心。「英雄の伴侶」では、高木さんがけっこう大きく表情をつけ、「オーッホッホッホ!」。のちには恐妻家となったらしい?シュトラウスの奥さんを描いたのかな(^o^;)。途中でTp三人が退出、おや?と思ったら、場外で、バンダというのかな、舞台左の袖奥からファンファーレ風に響きます。「英雄の戦い」は、バスドラムはドンドン、シンバルはジャンジャン、派手~。「英雄の生涯」にはおなじみのメロディが頻出、「英雄の引退と完成」では、全休止が効果的に使われています。16分音符バリバリのところもクリア、高木さんのソロが聴かせます。演奏時間は約50分、良かった~。じっくりと楽しみました。

見た目も迫力、四管編成の音の迫力を痛感するとともに、逆にいつもの二管編成の山響の美質を感じることもできました。たとえば山響の管楽器群は、バランスの取れた音がまとまって飛び出してきます。これは、いつものメンバー、いつものアンサンブルが生み出す成果なのでしょう。今回の音楽祭を契機に、山響本来の優れたアンサンブルにさらに生き生きとした表情が加わるのだろうと、今後の演奏会が楽しみです。そうそう、先の定期演奏会で出会った知人におすすめしたら、この夏から賛助会員に加わってくれたそうで、教えてくれてありがとうと逆にお礼を言われました。ちょいと嬉しい。



さて、月曜日の文翔館の室内楽演奏会のチケットを入手できていません。前売券はどこも売り切れで、あとは当日券だのみ。はたして当日券は出るのか?それが問題です。

(*1):アフィニス音楽祭2010~山形交響楽団ウェブサイトより
(*2):アフィニス夏の音楽祭公式ブログ
(*3):アフィニス音楽祭、壮麗な「英雄の生涯」~山形新聞より
(*4):アフィニス音楽祭で大学生ら連日活躍~山形新聞より
(*5):児童らが一流奏者と共演、山形で「あいうえオーケストラ」~山形新聞より

【追記】
おもしろいブログを見つけました。東北芸工大のアートプロジェクトの公式ブログです。制作に携わった学生さんの生の声、インタビューを受ける飯森さんや山響団員など、たいへん興味深いものです。
(*6):アートプロジェクト「英雄の生涯」~東北芸工大生
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今晩はアフィニス音楽祭で「英雄の生涯」ほか

2010年08月21日 06時04分12秒 | クラシック音楽
17日から「アフィニス音楽祭」が始まりました。様々な催しがありますが、なんといってもハイライトは、山響に世界の名手たちが加わって、大規模なオーケストラで演奏されるリヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」などの演奏会でしょう。これは、大オーケストラの性能をフルに発揮するのに適した曲目で、二管編成のふだんの山響では取り上げにくいものです。当方、妻とともに県民会館へ行く予定。今から楽しみです。

この件、マスコミの取り上げ方を拾ってみました。

(*1):「英雄の生涯」リハーサル始まる~山形新聞
(*2):山響・佐藤さん「すごくたのしい」~山形新聞
(*3):記者が選ぶ今週はコレ!・クラシック:アフィニス夏の音楽祭~毎日新聞
(*4):河北新報・東北のニュース~世界の演奏家一同に アフィニス夏の音楽祭開幕 山形
(*5):アフィニス音楽祭きょう開幕:山形~読売新聞

ふむふむ、山響200回定期は黙殺した読売新聞も、今回は記事にしてくれたようで喜ばしい限り(^o^)/
やっぱり、全国紙の地方版での報道の意味を考えると、スポンサーとしての冠の有無よりも、その地方で話題になっているかどうかがポイントだと思いますね~(^o^)/
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InspironMini10vの保守延長契約の案内が来たものの

2010年08月20日 06時06分28秒 | コンピュータ
お盆が明けるのを待っていたかのように、一通のハガキが到着しました。DELL社から、愛用している Linux ネットブック InspironMini10v の有料の保守延長契約をしないか、というお誘いです。うーむ、なにせ、購入時のトラブル(*1,2)の記憶が、また鮮明だからなぁ(^o^;)>poripori

せめて、日本語入力の設定に問題があることが判明したとか、解決の方法はこうですとかいった情報を、ハガキやメールで知らせてくれてもよさそうなもんだと思います。初期トラブルにはなしのつぶてで、有料保守契約の案内の機械的な律儀さは、当方のハートには響きませんですぞ(^o^)/

いや、赤い Linux ネットブック自体は気に入ってます。出張のお供に、様々なプレゼンの際に、たいへん重宝しております。それだけに、きちんと日本語が使える設定で出荷してほしい、と思わずにはいられません。

(*1):DellのネットブックInspironMini10vが届いたのだけれど~「電網郊外散歩道」2009年9月
(*2):ネットブック用の外付けDVDドライブを発注後、問題は解決!~「電網郊外散歩道」2009年9月
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記事本文中にも著者名と書名を記載することで

2010年08月19日 06時01分57秒 | ブログ運営
当ブログの柱の一つが、読書の話題です。とくにシリーズものの場合、この本はすでに記事にしていたかどうか、曖昧になっていることがあります。そんなときは、実際にブラウザでブログを表示し、検索ボックスにキーワードを入力して調べます。たとえば著者名「コーンウェル」で検索すると、ケイ・スカーペッタを主人公とする「検屍官」シリーズについての記事が出てくる、というふうに。ところが、当人は4冊まで記事にしたと思っていたのに、2冊しか表示されない。おかしいな、と思って、「外国文学」カテゴリを丹念に調べてみたら、記事はちゃんと四冊分ありました。実は、表題に著者名を記述しているものの、本文中に著者名が入っていなかったのです。なるほど、検索ボックスで「このブログ」を検索する場合、タイトルは検索せず、記事本文のみ、検索するのですね。今更ながら気づいた次第。

で、さっそく過去記事を呼び出して、記事本文中に著者名と書名を明記するようにしました。おかげで、今まで読んだ四冊が、ちゃんと表示されるようになりました。定型的な文章は、読んでいて飽きてしまう面もあるけれど、必要な要素をきちんと入れることは大事なことだと、あらためて感じております。
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ベートーヴェンの「ピアノソナタ第15番」を聴く

2010年08月18日 06時05分39秒 | -独奏曲
ベートーヴェンのピアノソナタの中で、第13番Op.27-1(*1)、第14番Op.27-2(*2)、第15番Op.28の3曲は、ほぼ同時期に発表されたもののようです。ところが、その性格はかなり違いがあるように感じます。第14番が例の「月光」などという愛称を持っているだけでなく、第13番とともに幻想曲風の性格を持つなど、ピアノソナタとしてはやや実験的なのかもしれません。この第15番のほうは、実験的な性格は持ちながらも、むしろ落ち着いた気分が特徴的で、交響曲と誤解されそうな「田園」という愛称を持っているのだとか。全曲を繰り返し聴いて楽しむ分には、むしろ「月光」よりもバランスの取れたチャーミングさが感じられます。

第1楽章:アレグロ、ニ長調、4分の3拍子。静かに始まり、しっかりした低音の反復の上に、右手がけっこう自由に歌います。でも、主題がしっかりと印象を残します。
第2楽章:アンダンテ、ニ短調、4分の2拍子。明暗のコントラストでしょうか、思い悩みながら歩いている印象が、途中でかわいい小動物でも見たかのように明るく一転します。再び繰り返しますが、こんどは前とは少し違ったふうに変奏され、静かに閉じられます。
第3楽章:スケルツォ、アレグロ・ヴィヴァーチェ、ニ長調、4分の3拍子。やや幻想的な要素を残した、不思議なスケルツォです。
第4楽章:ロンド、アレグロ・マ・ノン・トロッポ、ニ長調、8分の6拍子。前の楽章から引き続くような雰囲気の始まりですが、途中から違った印象に。幻想は形式の中に取り込まれ、かっちりしたソナタの風貌が見えてきます。

愛用するパソコンの音楽再生ソフト RhythmBox の再生回数の記録は、通算ですでに40回を超えております。繰り返し聴くほどに味のある曲、演奏です。

演奏は、ブルーノ・レオナルド・ゲルバー。1987年10月に、パリのノートルダム・デュ・リパン教会でデジタル録音されたもので、制作は馬場敬、録音担当はピーター・ヴィルモース。DENON 33CO-2539 という型番の正規盤です。

参考までに、演奏データを示します。
■ゲルバー盤
I=9'29" II=7'31" III=2'17" IV=4'58" total=24'15"

(*1):ベートーヴェンの「ピアノソナタ第13番」を聴く~「電網郊外散歩道」
(*2):ベートーヴェンの「ピアノソナタ第14番」を聴く~「電網郊外散歩道」
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とれたてのナスで乾焼茄子を作る

2010年08月17日 06時03分27秒 | 料理住居衣服
老母が丹精している畑には、今、ナスがたくさんなっています。雨降りが続いたので数日収穫を休んでいたら、過日は食べきれないほどたくさんのナスが収穫できました。



そこで、恒例の「乾焼茄子」を作ることに。
材料は、ショウガ、ザーサイ、挽き肉、ナス、ネギ、酒、醤油、片栗粉、など。ニンニクがあるとよかったけれど、忘れた(^o^;)>



(1) ナスは縦に六つ割りにして、水で軽くアクを抜き、水気を取って油できつね色になるまで素揚げしておきます。
(2) 千切りにしたショウガとザーサイを油で軽く炒め、塩コショウしておきます。
(3) 酒と醤油で少し下味を付けておいた挽き肉を入れて、さらに軽く炒めます。
(4) 素揚げしたナスを入れ、お醤油でベースとなる塩味を整えます。
(5) 刻んだ大量のネギを入れてさっと混ぜ合わせます。



(6) 片栗粉を水でとき、できるだけまんべんなくかけて火を通し、とろみを付けます。



うーん、ちょいとお醤油が足りなかった気もするけれど、中年オヤジの素人料理はまずこんなもんでしょう(^o^)/
ピリリと辛い「ぺそら漬」もあり、近頃はどうもナスづくしだなっす(^o^;)>
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