電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ロゼッティのホルン協奏曲変ホ長調をネット上で探してみる

2023年06月21日 06時00分25秒 | -協奏曲
先の山響定期演奏会で聴いたロゼッティ(1750-1792)のホルン協奏曲、実は2つのホルンのための協奏曲を含めると20曲もあるのだそうで、W.A.モーツァルト(1756-1791)に先立ち、このジャンルの開拓者の一人になるらしい。先日の定期演奏会で取り上げられたのは、変ホ長調の曲でしたが、いつでも楽しめるように、ネット上で探してみました。

検索の方法は、Google 等で「Rosetti Horn concerto E-flat major」として「動画」で検索してみました。で、トップに来たのがこの動画。なんとバボラークさんの独奏です。おいおい、権利処理等は大丈夫なのかい。プラハ室内管弦楽団との演奏です。

F.Antonín Rössler-Rosetti Horn Concerto in E flat major C49/K III:36, Radek Baborak


それから、第1楽章だけですが、Zdenek Divoky さんのホルン、チェコ室内管弦楽団による演奏、

Rosetti: Horn Concerto In E Flat Major - Ⅰ. Allegro Moderato


うん、これでいつでも聴くことができるぞ!

あ、ただし、だからCDは不要とは思いません。CDによる聴取の場合、音楽の途中で無粋な広告が割り込んできたりすることもありませんし、自分で購入したサイン入りCDは宝物の一つですから。

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久々に音楽CDを購入した〜山響定期演奏会の曲目から

2023年05月20日 06時00分27秒 | -協奏曲
先の山形交響楽団第309回定期演奏会の曲目、ライネッケのフルート協奏曲をきっかけに、ライネッケという作曲家の作品に興味を持ちました。ネット上でもたくさん探せる(*1)けれど、できればCM等の入らない(^o^)音楽CDがほしいということで、某密林に発注。過日、さっそく到着しました。NAXOS の 8.557404 です。
曲目と演奏者は、

  • ハープ協奏曲 ホ長調 Op.182 ファブリス・ピエール(Harp)、パトリック・ガロワ指揮
  • フルート協奏曲 ニ長調 Op.283 パトリック・ガロワ(Fl)、ファブリス・ピエール指揮
  • バラード Op.288 パトリック・ガロワ(Fl)、ファブリス・ピエール指揮
      スウェーデン室内管弦楽団

というものです。さっそく封を切って聴き始めました。「通勤の音楽」の時間はなくなりましたが、畑に出ない朝晩などの自由な時間は増えています。外出時にもしばらくはこのCDで楽しめそうです。

(*1): たとえばこんな動画もありました。YouTube から。

ジャン・ピエール・ランパル(Fl)、クラウディオ・シモーネ指揮モンテカルロ歌劇場管弦楽団
Jean-Pierre Rampal: Carl Reinecke - Flute Concerto in D major op. 283 (1967)


オーレル・ニコレ(Fl)、クルト・マズア指揮ゲヴァントハウス管弦楽団、楽譜を表示します。
Carl Reinecke - Flute Concerto, Op. 283 (1908)


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モーツァルト「ヴァイオリン協奏曲第1番」を聴く

2023年05月07日 06時00分37秒 | -協奏曲
昨日は久しぶりに雨が降り、白っぽく乾いていた田畑が黒っぽく変化し、恵みの雨に潤っているようです。若葉の季節に、街路樹も庭木も緑が鮮やかで、果樹園は花を落とし緑の葉が競うように茂っています。暑くもなく寒くもなく、上着もいらない実に爽やかな気候。あいにく畑に出るのはためらわれる降り方ですので、晴耕雨読、年中音楽の素人音楽愛好家にはちょうどよい、格好の音楽鑑賞タイムとなりました。

取り上げたのは、モーツァルトの「ヴァイオリン協奏曲第1番、変ロ長調 K.207」です。自筆楽譜の筆跡や用紙等の研究から1773年に作曲されたというこの曲は、どうやら最初のピアノ協奏曲よりも早く、モーツァルトの最初の独立した協奏曲作品なのだとか。ふーむ、そうなのか。第1楽章:アレグロ・モデラート。第3番に通じる始まり。第2楽章:アダージョ。第3楽章:プレスト。今で言えば高校2年生にあたる17歳の作品は、こんな若葉の季節に楽しむのにふさわしいものです。

■スターン(Vn)、セル指揮コロムビア響、1961年1月22日・23日
 I=6'43" II=8'30" III=5'37" total=22'50"
■寺神門亮(Vn)、ラ・プティット・バンド、1997年5月、ワルシャワ、ポーランド放送スタジオ
 I=6'43" II=8'08" III=5'03" total=19'58"

ジョージ・セルが共演者に選ぶ場合、どちらかというとあまりクセの強いタイプは避けているように感じますが、アイザック・スターンという米国音楽界のビッグネームと共演した録音というのは、それだけで興味深いものです。実際、何かいいことありそうな気がする始まりを持つ第3番の演奏(*1)は素晴らしいもので、このLPは長年の愛聴盤となっています。手持ちのLPの組み合わせは第3番と第5番で、第1番の録音の存在を知った(*2)のはまさしくパブリック・ドメインの恩恵によるものです。この動画の写真を見ると、どうも最初のLPは第5番「トルコ風」と第1番の組み合わせで発売されているようです。

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第1番 変ロ長調 K.207 スターン(Vn), セル指揮コロムビア響
MOZART Violin Concerto No 1


もう一つ、寺神門亮のDENON盤は、いわゆる古楽系の演奏ですが、テンポも第1楽章などは意外なほど落ち着いていますし、やや速めのテンポではありますが穏やかな第2楽章、活気ある第3楽章など、響きは澄んでいて、古楽系の良さを感じさせます。

実演でも松田理奈さんと山響の演奏(*3)に接しています。あれは2013年でしたから、早いものでもう10年になるのですね! モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第1番、なかなかステキな音楽です。

(*1): モーツァルト「ヴァイオリン協奏曲第3番」を聴く〜「電網郊外散歩道」2005年10月
(*2): モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第1番 変ロ長調 K.207 〜 クラシック音楽へのおさそい 〜Blue Sky Label 〜
(*3): 山響モーツァルト定期第19回でヴァイオリン協奏曲第1番と交響曲第23・28番等を聴く〜「電網郊外散歩道」2013年6月

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ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」とはこんな曲

2023年02月14日 06時00分35秒 | -協奏曲
    (写真はピアノの前に座る作曲家ラフマニノフ。Wikimedia commons より)

過日の山形交響楽団の第306回定期演奏会で演奏されたラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」とは、どんな曲なのか。クラシック音楽にはあまり馴染みがない方でも、通して聴いてみれば、例えば第18変奏、アンダンテ・カンタービレあたりで、「あ〜、聴いたことある!」となることが多いかもしれません。素人音楽愛好家の演奏会レポートに出てきた音楽がどんな曲なのか、今なら YouTube で共有することができますので、いくつかの演奏・録音をご紹介してみましょう。

まず、私がよく聴いている、ルービンシュタイン(Pf)、フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団による1956年の録音;

Rachmaninoff: Rhapsody on a Theme of Paganini, Rubinstein & Reiner (1956) パガニーニの主題による狂詩曲 ルービンシュタイン


続いて、レナード・ペナリオのピアノ、アーサー・フィードラー指揮ボストン・ポップス管弦楽団による1963年の録音;

LEONARD PENNARIO plays RACHMANINOV Paganini Rhapsody (1963)


このあたりは、すでにパブリック・ドメインになっていますので、安心して動画を挿入できますが、最近のものはどうかな? アンナ・フェドロヴァ(Pf)、ジェラルド・オスカンプ指揮、サウス・ウェストファリア管弦楽団による2018年の録音;

Rachmaninoff: Rhapsody on a Theme of Paganini - Anna Fedorova - Live Classical Music HD


じっくり聴くほどに魅力的な音楽です。今日は聖ヴァレンタイン・デーだそうですが、お菓子業界の陰謀に乗ってチョコをもらおうがあげようが関係なく、こういう曲を一つ一つ知っていくのはそれだけで一つの楽しみではないかと思います(^o^)/

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ヴァンハルの作品を探して聴いてみる

2023年01月24日 06時00分57秒 | -協奏曲
昨日の山形弦楽四重奏団の定期演奏会で「オーボエ四重奏曲」が良かったヴァンハルの作品を、もう少しネットで探してみました。できれば協奏曲がいいなあということで、「Vanhal concerto」で検索。その結果、こんな曲が見つかりました。

まずは、ヴァンハルの「フルート協奏曲 ニ長調」。
Vanhal Flute Concerto in D major


続いて、バスーン2本による協奏曲。
Concerto pour 2 bassons et orchestre en Fa majeur - Jean Baptiste Vanhal


ダブルベース(コントラバス)協奏曲。こちらはわりに知られている曲みたいで、動画も多いようです。
VANHAL Double Bass Concerto


同曲のピアノ伴奏による演奏。
Vanhal Double Bass Concerto in D Major // Rinat Ibragimov, double bass


ハイドン、モーツァルト、若いベートーヴェンの時代、ボヘミア出身のウィーン古典派の音楽はこういう感じの音楽なのかと再認識。そういえば、昔、若い頃にエラート1000シリーズという廉価盤LPで「ディタースドルフ協奏曲集」なんてのを入手して喜んでいた(RE-1044)ことがあったけれど、ヴァンハルはディタースドルフに師事したこともあったらしいです。

こちらがそのLPに収録され、けっこうお気に入りだったディタースドルフのハープシコード協奏曲の第1楽章。ロベール・ヴェイロン・ラクロワによるハープシコード、クルト・レーデル指揮のミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団による演奏で、1963年のエラート録音です。
Dittersdorf: Harpsichord Concerto in B-flat major (I. Allegro vivace) - Robert Veyron-Lacroix


意外なところで意外な名前がつながる、音楽史の面白さでしょうか。

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YouTubeの動画でドヴォルザーク「ピアノ協奏曲」を聴く

2022年11月01日 06時01分27秒 | -協奏曲
先日の山響定期で、ナマの演奏を聴いたドヴォルザークのピアノ協奏曲ですが、当方の小規模のライブラリにはチェロ協奏曲やヴァイオリン協奏曲などはあっても、残念ながらピアノ協奏曲はありません。あらためて、いろいろな録音を片っ端から聴いてみました。まずは、録音は1954年と古いのですが、当方のリファレンス役、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管による演奏。ピアノはルドルフ・フィルクシュニー。

Dvořák: Piano Concerto, Firkušný & Szell (1954) ドヴォルザーク ピアノ協奏曲 フィルクシュニー


発売されたときにはかなり話題になったリヒテルの録音。指揮はカルロス・クライバー。

A. Dvořák Piano Concerto in G minor Op.33, Sviatoslav Richter


さらに、アーノンクール指揮、ピエール=ロラン・エマールのピアノ、ロイヤル・コンセルトヘボウ管による2001年の録音。

ドヴォルザーク:ピアノ協奏曲 ト短調 作品33 エマール, アーノンクール 2001


サラ・デイヴィス・ビュクナーのピアノ、カナダのブリティッシュ・コロンビア州のヴィクトリア交響楽団による2013年の録音。ピアニスト自身による投稿みたい。

Antonin Dvorak's Piano Concerto in G minor, Opus 33


表現の方向性はさまざまですが、こうしてみるとたしかに魅力的な音楽です。どうして積極的に聴いてこなかったのか、今更ながら不思議になります。まあ、素人音楽愛好家の音楽歴なんてそんなものでしょうけれど。

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ワクチン接種の翌日はゆっくり休んで音楽三昧〜クロンマーの音楽を聴く

2022年07月26日 06時00分24秒 | -協奏曲
新型コロナウィルスに向けたワクチン接種の4回目はスムーズに終了し、若干の倦怠感は見られたものの、さほどひどい状況ではなかったのが幸いでした。終日、自宅で休み、音楽三昧となりました。せっかくの機会なので、過日の山形弦楽四重奏団の定期演奏会で接したクロンマーの他の分野の作品を、ネットであれこれ探してみました。

気に入ったのは、例えばクラリネット協奏曲。クロンマー(1759-1831)が生まれたのはヘンデルの時代で、亡くなったのはベートーヴェンの時代です。ハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンなどとは同時代を生きたことになります。
Franz Krommer - Clarinet Concerto in E-flat major, Op.36


次は、フルート協奏曲。
Franz Krommer (1759-1831) : Flute Concerto in e minor op.86


さまざまな管楽器のための協奏曲をたくさん作曲しているようです。室内楽作品もかなりあるようで、これはこれからの探訪(^o^)/

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音楽が鳴り止んだ時の静けさ

2022年05月22日 06時01分38秒 | -協奏曲
PC-audio で静かに流れていた音楽、J.S.バッハの「ブランデンブルグ協奏曲」第5番と第6番が終わります。この季節、音楽が鳴り止んだ時の静けさは得難いものです。早朝の空気感というか静謐さというか、良い音楽を聴いた後の満足感とともに、聴覚が解放される感じがします。初夏の陽光の中に、鳥のさえずる声がします。年がら年中BGMで音楽がなっている環境は、思うほど快いものではありません。感覚の緊張と解放が、適度に交代することが大切なのかもしれません。

写真は、自宅裏の果樹園の入り口。亡父が植えた紅白のツツジが満開となっています。

YouTube より、J.S.バッハのブランデンブルグ協奏曲第5番。
Bach - Brandenburg Concerto No. 5 in D major BWV 1050 - Sato | Netherlands Bach Society


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ドヴォルザーク「ヴァイオリン協奏曲」を聴く〜ルッジェーロ・リッチ(Vn)とサージェント指揮ロンドン響

2022年05月13日 06時00分54秒 | -協奏曲
初夏の好天が続く東北南部は、まさに新緑の季節です。こんなときは、通勤途中の移動であってもドライブが楽しい。通勤の音楽、いや、ドライブ時の音楽としては、ドヴォルザークなどに手が伸びます。例えばルッジェーロ・リッチ(*1)のヴァイオリン、マルコム・サージェント(*2)指揮ロンドン交響楽団による1961年の録音などです。ヴァイオリンのリッチは、往時の日本の評論家諸氏からはあまりよく書かれなかった気の毒な名人という印象がありますが、半世紀を経てみると全くそんなことはない。むしろ素晴らしい名人という気がします。



車内ではカーオーディオで USB メモリに保存した mp3 ファイルを聴いていますが、自宅では Linux PC で Rhythmbox で再生しUSB経由でD/A変換してミニコンポに接続する簡易な PC-audio で聴いています。また、YouTube にもありました。

Dvořák: Violin Concerto in A minor, Op. 53 - Ruggiero Ricci, Malcolm Sargent, London Symphony


若い頃には廉価盤になっていなかったために御縁がなかった演奏・録音に接する機会が増えています。当時は興味があっても手を出せなかったレコードを思い出しながら、初夏の爽やかな空気の中でドヴォルザークの音楽を聴くのは、まことに幸福な時間です。

(*1): ルッジェーロ・リッチ〜Wikipedia の記述より
(*2): マルコム・サージェント〜Wikipedia の記述より

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昔の廉価盤シリーズ中にあった録音から知名度について考える

2022年03月15日 06時01分42秒 | -協奏曲
1970年前後に、日本コロムビア社に「ダイヤモンド1000」という廉価盤LPのシリーズ(*1,2)がありました。当時、CBSソニー社の独立によりドル箱だったCBS録音が失われたために、単独では売りにくいけれどもシリーズ物の中の一枚ならば大丈夫かも、との目論見でスタートさせたのではなかろうかと思います。貧乏学生だった私は、この中から例えばアルフレート・ブレンデルによる最初のベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集から何枚かを購入するなどして、実によく聞きました(*3)。それでも、当時は興味は持ちながらも懐具合の関係で購入には至らなかったものを、パブリック・ドメイン音源として再会し、あらためて喜び、また感銘を受けることがあります。例えばトッシー・スピヴァコフスキー(*4)のヴァイオリン、タウノ・ハンニカイネン(*5)指揮のロンドン響によるシベリウスのヴァイオリン協奏曲。

YouTube にありました。
Jean Sibelius "Violin Concerto" Tossy Spivakovsky


エヴェレスト社が35ミリ・マグネティックフィルムに収録した優秀録音だそうで、演奏・録音ともに立派なものです。こうした演奏が、レギュラープライスのLPレコードとして売り出しにくかったのはなぜかと考えてみると、要するに「知名度」の問題だったのだろうと思います。当時はもちろんインターネットなどはなく、有名演奏家に関する雑誌等の情報が翻訳されて伝わるだけだったでしょう。購入して実際に聴いてみればその魅力は伝わるだろうけれど、購入する意欲は「知名度」に左右されるのが現実だった、ということなのかも。「巨人・大鵬・卵焼き」の時代は、同時に「カラヤン・ビートルズ」の時代でもありました。そんな時代に、書籍で言えば文庫本でしょうか、廉価盤シリーズはありがたい存在でした。

(*1): 大木正興氏とダイヤモンド1000シリーズのこと〜「電網郊外散歩道」2005年6月
(*2): ダイヤモンド1000シリーズ・アルバム〜BQクラシックスより
(*3): あの頃、聴いていた音楽〜「電網郊外散歩道」2018年12月
(*4): トッシー・スピヴァコフスキー〜Wikipedia の解説
(*5): タウノ・ハンニカイネン〜Wikipedia の解説

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セル、オイストラフ、ロストロポーヴィチでブラームス「VnとVcのための二重協奏曲」を聴く

2021年11月07日 06時00分04秒 | -協奏曲
「秋はブラームス」という言葉がありますが、私の場合はむしろ「秋のブラームス」を楽しむほうかも。先日、リンゴの収穫作業でブラームスのヴァイオリン協奏曲を聴いたのをきっかけに、その後は晩秋のブラームス三昧となりました。とりわけ、このところご無沙汰していた「ドッペル」こと「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 Op.102」を繰り返し聴きました。若い頃にLPで入手して聴きましたが、その後CDを「CDクラブ」という通販で購入したものではなかったか。ずいぶん前に一度記事にしております(*1)が、やっぱりいいなあと、再度とりあげることとした次第。

このCDの解説によれば、1960年代の後半に、旧ソ連の新世界レコードの英米での販売権を持っていたのがEMIであり、ソ連のアーティストを西側で起用する契約を結んだのだそうな。まず1968年にギレリスとセル指揮クリーヴランド管によるベートーヴェンのピアノ協奏曲全集が録音され、翌1969年5月にはこの二重協奏曲と、もう一つ、オイストラフとのブラームス「ヴァイオリン協奏曲」が録音されたのだそうです。録音ホールはクリーヴランド管の本拠地セヴェランス・ホールで、アメリカ楽旅の途中だったロストロポーヴィチとチェコへ演奏旅行に出かける前の休暇中だったオイストラフが合流して行ったのだそうな。

そういえば、オイストラフは1967年10月のクリーヴランド管の定期演奏会に登場し、ブラームスのヴァイオリン協奏曲のソロをつとめた後で、オイストラフ自身がショスタコーヴィチの交響曲第10番を振っているようです(*2)。このあたり、彼らはまるで初対面なのではなくて、けっこう交流はあったのだろうと思われます。たぶん、セルとクリーヴランド管が1960年代の半ば頃にソ連に演奏旅行をした際には、ソ連の演奏家たちもどこかで聴いて、その音楽的な力量と達成度を承知していたのではなかろうか。ギレリスとのベートーヴェンのピアノ協奏曲全集(*3)も、ギレリス側からのリクエストで実現したらしいですし、彼らのつながりがこうした録音を実現する背景にあったように思えてなりません。

しかし、この演奏、いいなあ。全体に堂々としていて、しかもところどころにブラームスらしい繊細な含羞も感じられて、実にいいなあ。1970年EMI録音のほうのドヴォルザーク「交響曲第8番」とスラブ舞曲第3番が併録されています。ほんとにいいCDです。

(*1): ブラームス「VnとVcのための二重協奏曲」を聴く〜「電網郊外散歩道」2005年7月
(*2): ブラームスのヴァイオリン協奏曲を聴く〜「電網郊外散歩道」2005年9月
(*3): セルとギレリスの『皇帝』(EMI盤)〜「日々雑録 または 魔法の竪琴」2007年7月

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ネット上でブリテンの「ディヴァージョンズ」を探してみる

2021年06月22日 06時00分52秒 | -協奏曲
先日の山響第294回定期演奏会の2曲めに登場したブリテンの「左手のピアノと管弦楽のための主題と変奏"ディヴァージョンズ"Op.21」がとても良かったので、もう一度聴きたいと思い、ネット上で探してみました。

Britten diversions op.21

これで、動画をあたってみたら、ジュリアス・カッチェンのピアノ、作曲者であるベンジャミン・ブリテン本人の指揮によるロンドン響による録音(1954年)を見つけました。そういえばブリテンは指揮もうまかったみたいで、1970年代にブリテン指揮のLPがレコード会社からプッシュされていたはず。あれは何の曲だったのだろう? パーセルの主題による変奏曲? シンプル・シンフォニー? はて?

Britten - Diversions - Katchen / LSO / Britten


うーむ、やっぱりカッコイイぞ。詩情豊かで表情も生彩がある。パソコンから USB 経由で DAC を経てミニコンポのアンプに接続し、デスク奥の両サイドに設置したミニコンポの小型スピーカを鳴らす PC-audio では、先日のピアノとオーケストラによる生体験にはとてもかなわないけれど、曲を何度も聴いて味わうにはたいへんありがたいものです。

サイモン・ラトル指揮バーミンガム交響楽団による演奏、こちらはステレオ録音。
Britten Diversions for Piano [Left Hand] and Orchestra


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ゴルトマルク「ヴァイオリン協奏曲」を聴く

2020年10月15日 06時01分13秒 | -協奏曲
通勤の音楽を聴くカーステレオは、MP3 や Ogg 形式のファイルを多数PCから複写したUSBメモリを再生していますが、基本的にディレクトリ(フォルダ)単位で反復再生する設定にしております。そのため、例えばコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲(*1)を選んで聴くときは、同一CD音源のゴルトマルク「ヴァイオリン協奏曲」も耳にすることになります。はじめはコルンゴルトの「ついでに」聴いていた音楽が、しだいに聴き慣れてくるとけっこういい曲だと感じられるようになり、今やすっかり愛聴曲になりました。このあたりは、生演奏とも違う音楽録音媒体の良い点でしょう。

CDのリーフレットや Wikipedia の記述(*2)によれば、カール・ゴルトマルク(1830〜1915)はハンガリー出身のユダヤ人作曲家で、ちょうどブラームスやワーグナー、R.シュトラウス、マーラーなどと同時代です。若い時代にはオーケストラで働いて生活費や学費を稼いだらしく、後にはウィーン音楽院の管弦楽法の教授を務め、シベリウスも受講したとのこと。代表作は歌劇「サバの女王』Op.27という作品で、ブラームスが「自分がオペラを書いたらゴルトマルクのようになるだろう」と言ったとか。弦楽四重奏曲も一時人気があったそうです。

このヴァイオリン協奏曲は、第1楽章:アレグロ・モデラートには魅力的なカデンツァがあり、ヴァイオリンの技巧的でロマンティックな表現がふんだんに盛り込まれています。第2楽章:エアー、アンダンテ。この瞑想的な音楽は、ロードノイズのために通勤の音楽には不向きですが、自宅のステレオ装置で聴くと、なんともステキな音楽であることに気づきます。第3楽章:モデラート〜アレグレット。オーケストラの短い導入の後、エネルギッシュな舞曲風のメロディが奏され、速いパッセージに導かれて終曲に向かいます。

手元で聴いているCDは、Naxos の 8.553579 で、ヴェラ・ツウ(Vn)、ユー・ロン指揮ラズモフスキー・シンフォニアによる演奏、1995年11月、ブラティスラヴァでのデジタル録音です。

また、ネットで探したら YouTube にこんな演奏がありました。イツァーク・パールマン(Vn)、アンドレ・プレヴィン指揮ピッツバーグ交響楽団の演奏です。居丈高にならない角の取れたこのオーケストラの演奏、いいですね〜。プレヴィンらしい。

Goldmark "Violin Concerto" Itzhak Perlman


(*1):コルンゴルト「ヴァイオリン協奏曲」を聴く〜「電網郊外散歩道」2013年10月
(*2):カール・ゴルトマルク〜Wikipediaの記述より

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稲刈りが進む田んぼの中をエルガー「チェロ協奏曲」を聴きながら走る

2020年09月29日 06時00分36秒 | -協奏曲
9月も残り僅かになる頃、当地では稲刈りが進んでいます。通勤経路の相当部分が、黄金色の田んぼの風景を眺めながら車を走らせますので、朝にはまだ稲穂が頭を垂れていたのに、夕にはすっかり刈り取られている、といった状況です。人影もない田んぼには大型のコンバインが動くだけで、機械の作業の速さには驚きます。



ただいま、朝夕の通勤の音楽にしているのがエルガーの「チェロ協奏曲」で、新倉瞳さんのチェロ、飯森範親指揮山形交響楽団の演奏です。山響の定期演奏会がきっかけで購入(*1)したCD(SONY:MECO-1032)から Ogg forbis 形式でリッピングして USB メモリに移したものです。すでに一度記事(*2)にしておりますが、この季節の雰囲気にあった音楽という点から見ても、エルガーの音楽はよい選択と感じます。甘すぎず、力強さもあって、しみじみとした哀感も充分にあります。ハンドルを握りながら耳にする音楽としては、ロードノイズで聞き取れないほどのppの連続も少ないのがありがたい。自宅でも何度も聴いていますが、ほんとにいい曲、演奏です。

(*1):山響第245回定期演奏会でエルガー、ブルッフ、ヴェルディを聴く〜「電網郊外散歩道」2015年5月
(*2):新倉瞳(Vc)、飯森範親・山響でエルガー「チェロ協奏曲」他を聴く〜「電網郊外散歩道」2016年1月



昨夜は、ご近所隣組の長老が逝去したとの知らせを受け、葬儀関係の打ち合わせに出かけておりましたので、山響演奏会ライブ配信は最後のところだけになってしまいました。できればアーカイブされて後で全部を聴くことができるとよいのですが、さてどうかなあ。

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ハープで聴く「アランフェス協奏曲」

2020年09月15日 06時01分00秒 | -協奏曲
先日の山響定期で聴いたロドリーゴ「アランフェス協奏曲」ハープ版、他に YouTube あたりでないかどうか、探してみました。

concerto Aranjuez harp

これで Google 検索し、「動画」を選びます。そこで、トップに選ばれてきたのが次のものです。

Concierto de Aranjuez (Harp) - Rodrigo

どうやら、2013年にウィーンで行われたハープ協奏曲のコンペティションの様子みたいです。

15年前の山響定期(*)で、村治佳織さんのギター独奏でこの曲のオリジナルを聴いていますが、ハープ版というのもなかなかいいものです。ハーピスト自身の YouTube 登録のようで、今はテレビでアピールする時代ではなく、ネットの動画で話題になることのほうが効果があるのかもしれません。

(*):山形交響楽団第162回定期演奏会〜「電網郊外散歩道」2005年2月

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