つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

キエフの冬。

2022年01月30日 15時00分00秒 | 日記
                       
最近、個人的に何かと気になる話題の一つが「ウクライナ情勢」だ。



ウクライナの位置は、日本から遥か9000km。
国の東にロシア。
西にポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア、モルドバ。
北にベラルーシ。
南には黒海を挟んでトルコがある。

国土面積は60万平方キロメートル(日本の1.6倍)。
人口は4200万人あまり(2021年現在)。
首都は、キエフ。
国土の大半が肥沃な平原、高原地帯。
山岳地帯が少なく、古くから農業が盛ん。
一方、国土が平坦なため、攻めやすく守りにくい。
紀元前から、何度も為政者が入れ替わってきた。

現在の姿になる以前は「ソ連邦」の一員。
簡潔に述べるなら、ロシアに支配されていた。
ソ連崩壊後、ウクライナは独立したが、
「親ロシア派」VS「親EU派」で、今も国内は二分しているという。

そのウクライナとの国境周辺地域で、ロシアが軍備を増強して3ヶ月あまり。
いよいよ軍事侵攻が始まるのではないかと懸念されている。



最近、東ヨーロッパから届く緊張感漂うニュースを耳すると、
ある小説を思い浮かべてしまう。
それは「春江一也(はるえ・かずや)」著、「プラハの春」という。

物語の舞台は、東西冷戦下のチェコスロバキアの首都プラハ。
主人公は、在プラハ日本大使館職員の青年「堀江亮介」。
ヒロインは、東ドイツ出身の美女「カテリーナ」。
2人の恋愛と、歴史に翻弄される国家の激動をメインに描いた大作で、
僕は大変気に入っている。
--- 小説について詳しくは別の機会に譲りたい。
やがて不定期イラスト連載「手すさびにて候」で取り上げようと考えている。

今回は、作品のタイトルでもある「プラハの春」の話だ。

1968年当時、彼の地では変革運動が起こっていた。
低迷した経済、硬直した体制の立て直しに向け、
「社会主義の枠内で社会・政治制度の民主化」を目指したのだ。
それまでの重苦しさから解放される比喩として、
明るい季節を当てはめ「プラハの春」と呼ばれた。

試みは上手く行くかに見えた。
しかし、ワルシャワ条約機構軍(ほゞソ連軍)の軍事介入によって頓挫。
わずか8ヶ月の短命に終わる。
ソ連の言い分はこうだった。

「社会主義陣営の国が一つでも危機に陥ると、影響は全体に及ぶ。
 そのため他の国家は無関心でいることはできず、
 陣営の利益を守るために一国の主権を乗り越えることができる」

要は“飼い主の忠犬であれ!”ということ。
忠義を守らない犬には、容赦なくムチを振るう。
この考え方は、ソ連の対東欧政策に一貫している。
現在、ウクライナに牙をむいているのはロシア。
ソ連ではないが、本質に変わりはないのかもしれない。

今頃、キエフは憂いの虜(とりこ)になっているだろう。
イワン共は来るのか、来ないのか。
54年前のプラハに似て、戦々恐々としているに違いない。

(※上掲画像は、書籍とロシア製ビスケットと新聞記事)
                   
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汚れつちまつた悲しみに。

2022年01月29日 21時21分21秒 | 日記
                     
汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れつちまつた悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる


明治40年(1907年)山口県に生まれ、
昭和13年(1938年)30歳で夭折した詩人「中原中也(なかはら・ちゅうや)」。
その代表作と言っていい「汚れっちまった悲しみに」は、
処女詩集『山羊の歌』(昭和9年出版)に収録。
一行毎に同じフレーズを繰り返す4連16行。
リズミカルな構成は覚えやすく、心に残る。

今朝、小雪チラつく街中を散歩しながら首をすくめつつ、つい口ずさんでしまったのは、
何も寒さのせいだけじゃないかもしれない。



本日(2022/01/29)、 全国で8万5000人あまり。
石川県内では400人弱が新たに新型コロナに感染した。
おとといから県下全域が「まん延防止等重点措置」の対象となり、
上掲画像、料理旅館「勝崎館」をはじめ多くの飲食店が影響を受けている。
積雪は少ないものの、北陸らしい冬の曇天の下を歩いていると、
薄ら寒い気分になってしまうのである。

汚れつちまつた悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れつちまつた悲しみに
なすところもなく日は暮れる


---「中原中也」は、そう締めくくるのだが、
恰好いいペシミストになれない俗物の僕は、深淵に落ち込めず美を探す。



冬桜は、ヤマザクラとマメザクラが自然に交配してできたとか。
この時期のそれは、まさに「眼福」。
更に「香福」でもある。
顔を近づけたら、微かに春の匂いがした。



用水路に佇むコサギ。
首が長く、脚、くちばしも長い。
海岸、河川、湖沼、田んぼなど浅い水辺で餌を捕る。
小魚、エビ、カニ、ザリガニ、貝類、水棲昆虫類などがターゲット。
真白な羽毛はよく目立つ。
凛々しく美しい。
人に慣れているわけではないが、人の生活空間に寄り添って生きているようだ。





町中心部「おやど橋」のタブノキ。
加賀藩の参勤交代行列で先鋒を務めた
「髭奴(ひげやっこ)」の像を覆い隠す枝葉は実に逞しく美しい。
樹齢数百年を誇ると言われる常緑樹は、寒空の下で花の準備を始めていた。
                   
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寒中見舞い

2022年01月23日 13時13分13秒 | 日記
                  
寒中お見舞い申し上げます

大寒の候 拙ブログをご覧の皆様はいかがお過ごしでしょうか
ここ北陸 津幡町の雪はそれなり
昨シーズンを思えば心配するほどでもなく 安堵しております
とは言え 暖かいわけではなく 散策の際は注意深い行動が肝心



取り分け風が吹き抜ける橋の上は氷が張りやすく
足元を掬われないよう そろりそろりと小股で歩かねばなりません



欄干には路面と平行に突き出た消雪装置ノズル
こいつの先端から水が出て雪を溶かしてくれるわけですが
よく濡れた路面は一層の警戒が必要です



街の本屋さん スガイ書店にて心が温まる掲示に出会いました
近隣の小学生達から寄せられたメッセージは
どうやら書店でのワークショップに参加した御礼や
授業の一環で業務の話を聞かせもらった御礼のようです
一例を挙げてみます

『町のたんけんでたくさんのしつ問に答えていただいてありがとうございます
 スガイ書店は1920年(大しょう9年)から
 101年もやっていると聞いて すごいと思いました 
 学校の教科書はすべてスガイからおくられて来ると聞いたので
 とてもかんしゃしています』(※漢字かな原文ママ)



津幡中央銀座商店街のワンコディスプレイは節分仕様
今なら鬼はオミクロンでしょうか
季節の節を分ける行事が終われば立春ですね
それまでは寒さが続くと思いますが ご自愛くださいませ
感染症にも気を付け 無事に春を迎えたいものです

ではまた

令和四年 大寒  りくすけ
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先発完投の大エースと、可憐なクローサー。

2022年01月22日 20時00分00秒 | 手すさびにて候。
                           
かつて、野球は“娯楽のホームラン王”だった。

高度経済成長期を経た豊かな時代。
ネットもスマホもなかった時代。
皆、茶の間に鎮座するテレビの前で、贔屓の球団へ声援を送っていた。
人気ナンバー1チームの帽子にはYGマーク。
ちょうど、いわゆる「ON」を擁しリーグ9連覇を飾る黄金期を迎え、
ブラウン管の中から眩しい輝きを放っていた。

子供の世界でも野球のプライオリティは高かった。
速い球を投げたり。
長打を飛ばしたり。
大飛球を捕ったり。
そんなことが上手い奴は、一目置かれる存在だった。
そんなことが下手な僕は、肩身の狭い思いをしたものである。
細かなルールもよく理解できなかった野球は、
僕にとって憧れを抱きながらも取っつき難い複雑な対象。
その苦手意識を軽くしてくれたのが「水島マンガ」だった。

ほんの手すさび 手慰み。
不定期イラスト連載 第百九十二弾「水原勇気(みずはら・ゆうき)」。



報せはいつも突然と分かっているが、
「水島新司(みずしま・しんじ)」氏の訃報に接し驚いた人は少なくないだろう。
享年82。
2022年1月10日、肺炎のため東京都内の病院でお亡くなりになった。

@個性的な高校球児たちが集う「明訓高校」が甲子園で奮闘する『ドカベン』。
@大酒呑みの代打専門スラッガーを描いた『あぶさん』。
@忍者の末裔を主人公にした『一球さん』。
@万年最下位球団「東京メッツ」所属の野球バカたちの群像劇『野球狂の詩(うた)』。
---等々、70年代~80年代にかけ、そのペンが産み出したヒット作は多い。

野球が「娯楽の王座」を降りて以降の世代には馴染みが薄いかもしれない。
絵柄の好き嫌いから敬遠した向きもあるかもしれない。
だが、故人は間違いなく野球マンガの「先発完投 大エース」である。

スタープレイヤーに限らず、チームメイト全員や裏方にも光を当てる作風。
配球の組み立て、ルールの盲点を突くなどリアルで緻密な要素。
当時の野球マンガになかった新機軸を打ち立て、後に続くスタイルを築いた。
この功績は、やはり「先発」と言えるだろう。
また、40年以上続いたロングランシリーズ作品を完結させ、
仕事をやり抜き、現役引退を宣言し、1年後に他界。
お見事な「完投」である。

--- さて、水島マンガのキャラクターの中で、
個人的に思い入れが強いのは今拙作のモチーフ。
「野球狂の詩」に登場する「水原勇気」だ。

高校女子野球で鳴らした美少女。
アンダースローのサウスポー。
「東京メッツ」にドラフト1位で指名され、
女性初のプロ野球選手としてマウンドに上がる。
スタミナ・球威に欠けるが、球速・コントロールはなかなか。
決め球は「ドリームボール」。
彼女のコーチ役を務めるキャッチャーが見た夢が、命名の由来だ。
並み居る強打者たちをキリキリ舞いさせた夢を実現するべく試行錯誤を重ね、
完成したのが、フォークの握りで下手投げから繰り出すスクリューボール。
打者の手元でホップした後、曲がりながら落ちる。
特異な軌道の変化球を武器に、主にクローサーとして活躍した。

「水原勇気」デビュー当時は今と違って、まだプロ球団が女人禁制だった頃。
「水島」氏の元に少女たちから素朴な疑問が寄せられたそうだ。
「なぜ女子はプロ野球選手になれないのか?」
「なぜ女子の高校野球はないのか?」
確かにルールはある。
男子との力量の差も歴然。
だが、だからと言って「女子をグラウンドから排除していい理由」にはならない。
せめて作品でファンの夢を叶えたいと考え「水原勇気」を着想したという。

ところが、知り合いのプロ選手にアイデアを打ち明けてみても否定的な意見ばかり。
唯一「野村克也」氏だけがこう語った。
「その投手にしかないボールがあれば、ワンポイントとしてなら通用するかもしれない」
これがドリームボール誕生のキッカケになったのは有名なエピソードである。

『野球狂の詩~水原勇気編』の連載スタートは、昭和50年(1975年)。
TVアニメ化、実写映画化もされた。
折しも「ピンクレディー」の「サウスポー」が大ヒット。
人気アイドルデュオと「水原勇気」の面影を重ね、僕は単行本の頁をめくった。

ともかく「水島新司」氏の有終のゲームセットには、心から賞賛を贈りたい。
また、競技の内幕を丁寧に描いたマンガを読んだおかげで、
僕は野球との距離を縮めることができた。
万感を込め、改めて御礼を言いたい。

さようなら。
ありがとうございました。

                     
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小正月の津幡町。

2022年01月16日 14時00分00秒 | 日記
                         
元日の「大正月(おおしょうがつ)」に対し、
月の半ばは「小正月(こしょうがつ)」という。
月の満ち欠けを基準にしていた旧暦・太陰暦では1月最初の満月の日にあたり、
何かと縁起がよろしいとして、各地で様々な行事が催される。
代表的な一つが「左義長」だろう。



今年も「清水八幡神社」にお邪魔してきた。
確か過去にも同じ話題、似た画像を載せたと思うが、昨年との違いも感じる。
境内では「鏡開きのおすそ分け」や拝殿での「おみくじ販売」などが復活。
未だマスクは手放せず、オミクロン株の懸念は払拭できないが、
少しづつ変化・移行しているようだ。



「清水八幡神社」の立地は「れきしる」に近い。
年が明けてから未訪問だったことを思い出し挨拶に立ち寄った。
もうすぐ企画展がスタートする。



会期は2月1日(火)から3月20日(日)。
金沢市、白山市、野々市市、かほく市、内灘町、津幡町---4市2町が属する
「石川中央都市圏 考古学資料展~古墳時代編」が行われる。
縄文~弥生に続く、古墳(特に前方後円墳)が盛んに造られた時代は、
今から2000年近く昔。
中国では三国志が終わり、アメリカ大陸ではマヤ文明が栄え、
ヨーロッパでは古代ローマ帝国が消滅した頃。
この列島、ここ石川での当時の暮らしぶりが垣間見えるはずだ。
楽しみにしている。



さて、2022年1月半ばの津幡町の積雪量は幸い少ない。
それなりに残っているものの、日常生活に大きな影響はない。
北海道~東北に比べれば可愛らしいものだ。
一方、普段縁のない地域でも降雪があると聞く。
また、大学入学共通テストの受験生らが刺されたり、
南太平洋の海底火山の大規模噴火で津波が発生したり。
物騒な出来事も多い昨今。
拙ブログをご覧の皆様に大事なきことを願っています。
                       
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