つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

奥深き美談と美味。 ~ レディ・ゴディバ。

2018年02月28日 22時54分49秒 | 手すさびにて候。
今年・2018年2月1日、
とある新聞広告がネットを中心に話題になった事は記憶に新しい。

「バレンタインは純粋に気持ちを伝える日」
「この時代、義理チョコはないほうがいい」
「“義理チョコ、無理しないで”と伝えてほしい」
そう呼びかけたのは、ヨーロッパ・ベルギーのチョコレートブランド。
日本国内では“高級チョコ”の代名詞とも言える「ゴディバ」だった。
…賛否、真意はともかく、なかなかに大胆で巧妙なマス広告だなと思う。

ところで、広告面の右上、同社の「ロゴ」に注目して欲しい。
不定期イラスト連載・第七十四弾は彼女、
「馬上のゴディバ夫人」である。

時は11世紀の英国。
グレートブリテン島の都市・コベントリーを治めていた「レオフリック伯爵」は、
領民に過酷な重税を課していました。
見るに見かねた美貌の妻「ゴディバ」は、再三、税の引き下げを訴えましたが、
夫は聞く耳を持ちません。
それでも執拗に嘆願を繰り返すと、憤慨した夫はこう言いました。

「おまえが全裸で馬に跨り、町中を走り回ったら願いを聞き入れよう」

翌朝、妻は一糸まとわぬ姿で馬に跨り、町を駆け回りました。
領民たちは、彼女の姿を見ないように窓を閉ざし、勇気ある行動に敬意を表しました。
そして、夫の伯爵は自らの非を認め、重税は改められたそうです。

真偽には諸説あるが、大胆で官能的な伝説だと思う。
そして、この「レディ・ゴディバ」に感銘を受けたベルギー人夫妻が、
チョコレートブランドを立ち上げる際、名前を拝借。
シンボルマークを“馬に跨る裸婦”に定めた。

勇気、侠気、羞恥、仰天、正義。
きっと、当事者たちの様々な感情が渦巻いていたであろう美談は、
甘さの奥に複雑な味わいを持つ菓子と似ているかもしれない。
何より、セクシーな食べ物・チョコレートに相応しい取り合わせだと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

底冷えの商店街に、柔の熱気。

2018年02月25日 09時31分52秒 | 日記
晴れ間がのぞく朝は、放射冷却によってかなり冷え込む。
今朝も、おそらく氷点下。
吐く息は白く、足先・指先の末端は悴み、
残雪を避け、凍り付いた路面に足を取られないよう慎重に歩かねばならない。
そうした面倒の一方、澄んだ空気のお陰か視界はすこぶるクリアだ。

日の出の頃の「津幡町銀座中央商店街(愛称パピィ1)。
光量が少なく、色彩に乏しい街並み。
これもなかなか趣がある。

通りの真ん中あたり…「ミヤノ写真館」店頭のポスターに目が留まった。

漫画家「小林まこと」の描いたキャラクターだ。
デッサンが実にしっかりしている。
「1・2の三四郎」。
「柔道部物語」。
「へば!ハローちゃん」。
そして「女子柔道部物語」。
氏の作品の数々は、個人的に愛読している。

ポスターは「全国高等学校 柔道選手権大会」用に作成されたもの。
わが津幡町の公立高校が、石川県代表として団体戦に出場する。

先々月に行われた県大会では、男子団体において5年連続30回目の優勝。
強豪なのである。
女子団体は惜しくも2位。
立派なものだ。
3月21日は、モニター越しではあるが、是非、観戦しようと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大西山シャンツェと蕾。

2018年02月24日 10時19分02秒 | これは昭和と言えるだろう。
「弥生三月」目前。
積雪は少なくなった。
お陰で、愛犬を伴い久しぶりの朝散歩を楽しむ。

まず立ち寄ったのは「大西山」。
拙ブログ投稿の定番スポットで、何度も訪れているのだが、
つい足を運んでしまうのは、やはり「思い出の地」だからだろう。

かつて、旧・津幡小学校の校舎が建っていた小高い丘は、
毎日通う通学路であり、遊び場だった。
画像の坂道が雪に覆われる冬は、ミニスキーやソリの出番。

取り分け、今年のような「オリンピックイヤー」は、
熱心さに拍車がかかっていたと思う。
雪を盛ってジャンプ台らしき一角を作ったり。
旗門代わりの細竹を数本立て回転競技場に見立てたり。
オリンピアン気分で雪遊びを満喫したものだ。

きっと、随分転んだり、ぶつかったりしたはず。
流血も珍しくなかったが、皆、元気。
雪まみれ、汗まみれになって坂道を転がっていたっけ。

…などと一しきり昭和の感慨に耽り、次の場所「本津幡駅」へ。
ほんの2週間余り前、
雪の影響で運休や遅延を余儀なくされていたJR七尾線も通常運行である。

金沢行きの赤い鈍行列車を見送る枝ぶりは「一本桜」。
勿論、花の季節はまだ先。

開花予想は4月上旬との事。
厳しい冬を過ごした後だけに、
早く綻ぶ蕾を見てみたいなと思う、今日この頃である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

砂漠の女王。~セプティミア・バトザッバイ・ゼノビア。

2018年02月21日 08時21分42秒 | 手すさびにて候。
ほんの手すさび、手慰み。
不定期イラスト連載・第七十三弾は「囚われのゼノビア」。

縁のない者にとって「砂漠」は憧れの場所だ。
炎熱、乾燥、乏しい植生など、過酷な環境とは知っているが、
身近ではないだけに、何処かロマンを感じてしまう。
「アラビアのロレンス」や「月の砂漠」。
「マルコポールの冒険」に「シルクロード」。
砂漠は、歴史の舞台になり、数々の名作と英雄を生んできた。
その白眉と言えるのが“砂漠の女王”と「パルミラ王国」である。

「パルミラ王国」の元は、シリア砂漠に築かれたオアシス都市。
滾々と湧く水源のお陰で、ナツメヤシや葡萄が木陰を作るそこは、
砂の海を往く隊商にとって、絶好の寄港地。
舫いを解かれたラクダは喉を潤し、商人は円形劇場や浴場で疲れを癒した。
金、銀、宝石、絹、塩などが豊富に並ぶバザール。
行き交う人々は多彩な肌を持ち、多種の言語が飛び交う国際都市だっただろう。

紀元前1世紀にローマ帝国の属州となった「パルミラ」は、
やがて紀元後2世紀に絶頂期を迎える。
その頃、実権を握ったのが「ゼノビア」だ。
「ローマ帝国衰亡史」の著者、
19世紀・イギリスの歴史家「エドワード・ギボン」は、こう書き残した。

『ゼノビアこそ、アジア的な隷従怠惰の悪癖を打破した殆ど唯一の女傑だった。
 容姿はクレオパトラに劣らず、貞節と勇気は遥かに勝る。
 肌は浅黒く、歯並みは真珠のように白く、
 漆黒の大きな瞳は、ただならぬ光を帯びて輝き、
 声は力強く、しかも実に音楽的だった。』 (※要約/りくすけ)

聡明で美しく、軍事・政治に長けた“砂漠の女王”は、自主独立を宣言。
周辺地域へ侵攻し勢力を拡大し、ついに大ローマと激突。
戦場は、現在のトルコ南部・アンティオキア。
緒戦は「パルミラ」に軍配が上がるも、手痛い反撃を食らい、敗走。
本拠地での籠城戦を展開するものの、敗北。
ローマの軍門に下った。

皇帝の凱旋式。
捕虜となった「ゼノビア」は、黄金の鎖につながれてローマ市民の前に登場。
その美貌と威厳を誇示してみせたという。

女王の後半生については諸説ある。
実は、ローマへの護送中に病死、あるいは自殺していた。
永遠の都で処刑された。
罪を赦され貴族に嫁ぎ、社交界で活躍して幸せな余生を送った等々…。
今やいずれも想像の域を出ない。
真実は、歴史の彼方。
時の砂嵐の向こうにある。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

冬の爪痕。

2018年02月18日 18時04分20秒 | 自然
「アスファルト」を辞書で引くと次のとおり。
『樹脂の様な光沢があり、黒い、複雑な炭化水素を主成分とする混合物。
 石油精製の際に得られる固体または半固体物質で、天然にも産する。』
こいつと人間との付き合いは存外に長く、1万年~数千年の計算になる。

縄文時代の遺跡からは、アスファルトで補修された土器・土偶が多数出土。
古代エジプトではミイラの防腐材として、
旧約聖書の「ノアの箱舟」の防水材として、
「バベルの塔」のレンガを固定する接着剤として使用されてきた。
現代人に一番馴染みが深いのは、やはり「道路舗装」だろう。

「アスファルト」が道路舗装に用いられるようになったのは、19世紀。
多孔質の岩に滲み込んでできる「ロックアスファルト」を、
加熱し、敷き詰め、平坦に転圧する工法が考案された。
その後、石油産業が成長するにつれ原料の製造が容易になり、世界中に普及。
もちろん、わが津幡町の幹線道路も殆どがそれだ。

しかし、耐久性の高いアスファルト舗装も、経年劣化は避けられない。
特に豪雪の下から現れた道には、傷みが目立つ。

すき間から、降り積もった雪の水分が入り込み、
零下の気温で氷結、膨張して、固い路面を持ち上げる。
除雪の重機、滑り止めチェーンを巻いた車両が通行する。
こうした理由から、負荷がかかり、ダメージが現出。
画像のようなひび割れに留まらず、
表面が抉れた穴「ホットポール」も散見できる。

春になれば、町内の彼方此方で補修工事が始まるだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする