テーブルの前でノートを開いているとき、
ずぅーっと誰かにささやきかけられているような気がした。
どこからだろう。
そのとき
小さな壺に挿されたボサ菊のたくさんの黄色の瞳が
こちらをみつめているのに気づいた。
あなたでしたか。
テーブルの隅から、野の花のようなスィートな声で
呼びかけてくれていたのは。
去年は刈り込まれた見事な鉢植えでした。
今年は、野にあるように自由に咲いて。
呼びかけられるまで私は、
その花に、キク科らしからぬ慎ましやかなこんな甘い香りがあることを
知らなかった。
過去の記事を整理していたら、こんな文があって、削除するのをやめた。
つき刺さった刺のように、いつまでも痛い。
二年前の10月はじめのできごとです。
某市にある施設に母の見舞いに行ってきました。
熱を出して点滴をしている母の腕を、看護婦さんが、少々らんぼうに扱ったらしい。母は、「わあ、がむしゃらに動かす・・」
と、びっくりして言った。
相当痛かったのだと思う。
「口ばっかり達者なんだから」と、顔をしかめて看護婦。
そこは、老人病院で、たいていのひとは、ぼけたり、体が不自由だったり・・・、
だから、なんでも看護婦さんの言うがまま。だれも、反発などしないのだろう。
だから、少しでもまともな反応が目ざわり耳ざわりなのだ。
そこには、圧倒的な強者と、弱者の関係がくっきり。
みんながみんなこうではない。その人だけの性格なのでしょう。
事実ほかのひとは、親切でした。
毎日毎日が本当に大変なことは、わかります。でも――
「もし、あなたが年寄りになって、熱が出て苦しんでいるときに、そのように扱われたいですか?」
2004/10/4 (Mon) 01:46:52 |