フェンネル氏の奇妙な生活

気付いた世界の中の小さな出来事と水彩画と時たま油絵と思いついたことを爺さんが一人語りいたします。

stage coach

2009-09-07 20:00:06 | Weblog
「駅馬車」を久しぶりに見た。サマセットモームの「脂肪の塊」をベースにしたジョンフォードの傑作。昔むかし見たときには、まったく気づかなかったことが、今見ると見るところが違うのかダラスのちょっとした仕草やドクの勇気に参ってしまう。若いときにはリンゴキッドの決闘の方にばかり気をとられていたような気がする。駅馬車はさまざまな人の人生を乗せて出発点から終点まで駆け抜ける。その人、それぞれが前面にでて人間模様を演じていく。昔の映画ってこれだけ人間を前に出して作られていたんだ、だから面白かったんだ。ラストシーンもカサブランカのように傑作だったんだね。決闘から生き残ってきたジョンウエインのリンゴがダラス、ドク、保安官のバンクの元へ戻ってくる。残された刑期をつとめるために。
バンクは、リンゴとダラスを馬車に乗せ馬の尻を叩いて逃がす。二人の馬車を見送るドクとバンク。バンクがシャツのポケットから金貨を取り出してドクに言うんだ。「I'll buy you a drink」そしたらドクがちょっと間を置いて「just one」と言って肩を叩き合う。リンゴとダラスが新天地へと向かう馬車が荒野に溶けていく。いままで、こんなに素晴らしいラストシーンとは知らなかった。まったく若いときには、何を見てたんだろう。
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