ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
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韓国史劇風小説「天皇の母」22(フィクションですっ)

2011-08-14 10:58:00 | 小説「天皇の母1話ー100話

昭和38年12月9日。

オワダ家に一人の女児が誕生した。

出産直後にそれを聞かされた時、ヒサシはひどく頭が重くなったような気がした。

なぜ男児じゃなくて女児だったんだ

オワダの後を継ぐのは男子でなければ・・・・自分が思った以上に男児が欲しくて

たまらなかったことを痛感させられた。

ここまで順調に来ていたのに。跡継ぎたる男子に恵まれないなんて。

次は男の子を頼むよ」

ヒサシはそういうのが精一杯だった。ユミコは黙っている。

姑であるヒサシの母はわざわざ上京して赤ん坊を抱いてくれたが

最初は男の子がよかったね」と言い放った。

嫁は跡継ぎを産まない限り、嫁とは認められないもんなんだよ。ヒサシは兄弟の

中ではとりわけ賢くて出世頭さ。その能力を受け継いで右腕になるような男の子を

産まないとダメじゃないの。あんたはヒサシの出世の邪魔をする気かい?」

そういわれてもユミコはどうしようもなかった。

そもそもエガシラ家の一人娘として大事に育てられてきた彼女は、「オワダの嫁」

と言われてもぴんとこない。

住んでいるのは実家だし、彼は私の両親と同居している。

彼の生活の一切合財を面倒見ているのは私の両親だ。

いくら姑とはいえ、こんな事を言われる筋合いはない。

性別は天の配剤ですから」

「じゃあ、天が見放しているって事かい?精進がたりないんだね。今後は男の子が

授かるように努力しなさい。いい漢方薬をあげるから」

出産したばかりで疲れきっているユミコの耳元であからさまに赤ん坊への侮辱とも

とられる台詞に思わず涙が出る。

病院のベッドの上で涙にくれ、ショックからか熱まで出した娘にエガシラ夫妻は

おろおろし、事の経緯を聞いて怒り心頭になった。

「ヒサシ君。日本では一姫二太郎という言葉があるのがわからんのか。うちの娘を

こんな風に傷つけてそれですむとでも?」

申し訳ありません。母に悪気はなかったんです。励ますつもりだったんです」

(全く・・一人娘という奴は)

ヒサシは心の中で舌打ちをする。いちいち自分の親に告げ口をする女なんて。

しかしとりあえずご機嫌取りをしなくてはならない。

ヒサシは生まれたばかりの娘に「マサコ」と名づけた。

「みやび」と書いてマサコ。それはユミコの字に「やさしい」という字が使われているので

二つあわせれば「優雅」になる。精一杯の愛情表現だった。

次があるさ・・次が・・・・」

ヒサシはそう思って納得するしかなかった。

 

 

 

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韓国史劇風小説「天皇の母」21(フィクションだって)

2011-08-14 10:29:24 | 小説「天皇の母1話ー100話

ヒサシが外務省の事務をやっていたユミコと結婚したのは昭和37年。

皇太子夫妻は流産という悲しい出来事に遭遇。ミチコは一人、葉山で静養を余儀なく

されている頃だった。

別にユミコを特別愛していたというわけではない。

ただ、職場が同じで勝手がわかっているという事、それから一番大きな理由は彼女の

実家が大金持ちであったという事だ。

彼女の実家が日本最大の公害をもたらした会社の社長であったという事実は知っている。

もう何年も裁判中の出来事。

ユミコの父親は公害で苦しむ人たちに向かって「死んだ魚を食べるからだ」と言い放ち、

庶民が何をいうか!」と怒鳴るような人物である。

そんな傲岸不遜な父親に比べるとユミコは大層おとなしく、おっとりしているように見える。

エガシラ家の一人娘として大切に育てられてきた事は確かだが、いわゆる

「令嬢」という雰囲気ではない。

決して美人でもないし、教養が高いわけでもファッションセンスがいいわけでもない。

ただ・・彼女のバックの金が素晴らしいのと、多少学歴があるくらいな所か。

会社のマイナスイメージによって、ユミコの縁談にも多少さわりがきている。

そんな時のヒサシからの求婚に、ユミコの両親はほっと胸をなでおろした。

本来ならエガシラの婿養子になって欲しいくらいだったが、さすがに公害訴訟に

決着がつかず、公害で苦しむ人たちの姿が連日報道されている時分では

諦めざるを得ず・・・・の代わり、エガシラ邸に同居して貰う事で合意を得た。

これはヒサシにとっては願ってもないもの。

妻の両親との同居は別に苦ではなかった。なんたって自分は外交官だから

いつ海外へいくかわからない。義理の両親など適当にあしらっておけばいいのだ。

むしろ、黙って帰る家が出来る事の方が嬉しかった。

 

ヒサシの野望は「政治への介入」そして強大な権力を手にいれること。

その為に外務省のロシアン・スクールにも居場所をみつけ、それから各派閥への

コネ作りも奔走してきたのだ。

将来は事務次官になって・・・日本の政治家を手玉にとってやるのだ。

その為に金がいる。そう金が・・・・

エガシラ家の莫大な財産はヒサシにとっての打出の小槌に他ならない。

恨をはらしておくれ・・・」

母の言葉が身にしみる。

日帝の侵略によって数々の不幸な憂き目にあった同胞達。

日本という国に生まれながらどこか日本人ではないような気がする自分。

そう・・・自分は日本人ではない。かといって半島の人間とも違う。住んだ事のない

大地に愛着はない。

では自分は一体どこの人間なのか。なぜ母の「恨」をはらさねばならないのか。

体の中に流れる血はやはり日本人とは違うのか?

じゃあ、なぜ日本国籍を持っているのか?

まるで自分がこの国に仮住まいをしているような違和感が常につきまとう。

外務省に入ってからは特に。

なぜなら戦前のそれとは違って、戦後の外務省は「最も愛国心のない省」だからだ。

「日本」という言葉を出すだけでも「ウヨクか」といわれる程タブーだ。

日の丸なんてもってのほか。まして「国の為に」などという言葉は絶対に使っては

いけない。

そんな環境に身を置く自分はプラス方向に考えれば「何人でもない、思想を持つ人」

という事になる。

これからは自分の信じる「思想」が国籍だと思おう。

 

ユミコとの華燭の典は帝国ホテルで行われた。

豪華な式に多数の政治家の出席に母は驚くと同時に誇らしげな顔をしている。

兄は全く関心のない顔だ。

そう、兄さん。僕とあなたの生きる場所はすでに違っている。あなたは一生キャビアを

食べる事は出来ないかもしれない。

でも僕は腹いっぱいキャビアを食べる事が出来るような人間になる。

トリュフもエスカルゴも・・いつか西太后のようにテーブル一杯に料理を並べて

母に食べさせてやる。世界一高級な料理を。

貧しいオワダ家からこのような出世頭を出したのだから、あなた方は誇りに思うがいい。

贅沢なシャンデリアの光を当然のごとく受けながら、ヒサシはおおむね満足していた。

 

 

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