ふぶきの部屋

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さよなら柚希礼音・・・宝塚のライオンキング 2

2015-04-27 16:32:14 | 宝塚コラム

 恵まれた新人公演時代

新人公演の主役をやる時、一番困るのは自分と全くキャラが違う

トップの役をやる事。

例えば(古いけど)麻路さき時代、新人公演の主役をやってた音羽椋

気の毒でした。全くタイプが違うのにラッチマンだのネロだの・・・

同様の事は香寿たつき時代の涼紫央にも言える事で。

そういう意味では湖月わたると完璧にキャラが被っていた柚希は

新人公演はやりやすかっただろうなと思います。

 

 停滞気味だった中堅時代

よその組の組子が出たり入ったりと目まぐるしい動きをしている中

柚希礼音はいつでもどこでも「星組」の顔として存在していました。

相変わらず目立つし、ダンスは上手だし・・・・だけど可もなく

不可もなくという印象がぬぐえませんでした。

真飛聖主演「花のいそぎの藤原さんは、真飛を食う程の存在感では

あったものの、地とキャラがあってただけという感じがしたし。

おっとりしてて素直でストレートな性格、それに似あう役柄ばかり

巡って来たのは幸いだったかどうか。

安蘭けい主演「龍星」でもどっちが主役かわからない程の存在感で

それは安蘭の大劇場お披露目「さくら」「シークレットハンター」でも

同様でした。

その「華」というのは他を圧倒する力を持っていて、毎回「すごいなあ」とは

思っていたのですが、やっぱりそこまでで、男役としてそれ程魅力を感じた

わけではありません。

ダンスは上手だけど歌唱力がイマイチというのもあったでしょうか。

 

 出世作「スカーレットピンパーネル」ショーブラン

停滞気味の柚希礼音が殻を破った作品といえば

「スカーレット・ピンパーネル」のショーブラン。

彼女を語るにおいて絶対にはずせない役柄です。

東京でこの作品を見た時、正直、柚希がここまでやるとは

思っていなかったんですよね。

そもそもすくすく伸びるタケノコですから、悪役に向かないというか

むしろ、安蘭の方がひねくれてみえるくらいでしょう?

柚希のショーブランは、ひねくれてはいませんでした

だけど、まっすぐに革命を信じて生きてきた男の不器用さを感じました。

ショーブランは滑稽な役柄です。

悪役なのにドジばかりしてパーシーの本性を見抜けない。好きな女性には

どこまでも拒否される。ラストは騙されて・・・・・

どこか憎めない道化っぽい部分も持っている役柄です。

そんな役をどこまでもまっすぐに演じたのが柚希礼音。

後にも先にも柚希程存在感のあるショーブランを演じた人はいないのでは。

歌唱力が大幅にアップしたのも幸いでした。

「ちえちゃんの声が苦手」という人も見かけますが、個人的には全然平気。

むしろ、そのかすれた声が好きかな・・・・と。

 

 傑作に恵まれたトップ時代

どのトップもそうですけど、その時代に1作、傑作というか、ウケがいいものが

あれば幸いです。

あの大地真央も天海祐希も決してトップ時代に作品に恵まれたとは言い難いですし。

柚希礼音はいわゆる音楽学校時代から期待されてきた人であり

歌劇団も「宝塚をしょって立つ人物」と目していたのでしょう。

お披露目には小池修一郎の「太王四神記Vo2」を持ってきました。

とはいえ、作品的には花組の方が出来がよかったし、タムドクにしても

真飛の包容力には到底及ばない気がしました。

 

次の「ハプスブルクの宝剣」「BOLERO」がひどい作品であったので

柚希も御多分に漏れず、期待のわりには・・・・と思いました。

しかし

天が彼女を見放さなかったのか、彼女自身が運を呼び込んだのか

2010年、梅田と博多で上演された「ロミオとジュリエット」が大ヒットします。

ロミオという役はトートより難しい役ではないでしょうか。

役柄として真っ白であるし、正統派の二枚目でどこまでも美しく演じなくては

なりません。

後に山崎育三郎と古川雄大、フランス版も見ていますが、イメージとしての

「ロミオ」はやっぱり柚希礼音が一番であると思います。

日本人であるのに・・・っていうかアジア人であるのに、ここまで金髪碧眼が

似合う役者というのは早々いないだろうと。

この作品を柚希にあてた小池修一郎の晴眼ぶりがわかります。

多分、この作品で柚希礼音が「フランス人形のようなコテコテのコスチュームが似合う」

という事が証明されたんでしょうね。

やがて「めぐり会いは再び」のドラントにと繋がって行くのです。

その前に「愛と青春の旅立ち」「花の宝塚絵巻」がありましたね。

「愛と青春の・・・・」のザックはイマイチキャラが違っていました。

どちらかと言えば凰稀かなめ向きであったと言えるでしょう。

残念な事に「花の宝塚絵巻」で日本物がまるっきりダメなことも証明してしまったし。

本当に「めぐり会いは再び」がなかったらどうなったかと。

この作品は博多座でも延々と上演され、2012年には続編まで作られました。

小柳奈穂子のごてごてロリータ趣味と、柚希の雰囲気がぴったりマッチして

まさに「夢の世界の宝塚」を大いに盛り上げてくれました。

ラブシーンが上手との評価を受け始めたのも「ロミジュリ」と「めぐり会い」が

始めではないでしょうか。

さらに小池修一郎は「オーシャンズ11」で、柚希に新たな役柄を与えます。

デコレーションケーキの世界から、色恋渦巻く現実的な大人の世界へと

ファンを誘っていったのです。

柚希はデコレーションケーキの世界t路大人の世界を行ったり来たりして

楽しませてくれました。

また、小池修一郎と3作を共にした事で、名声を欲しいままにしました。

小池と共演したいトップは何人もいると思うのですが、リメイクとはいえ

ほぼオリジナル3作で新境地を開いた事は大きな功績になったでしょう。

 

ショーにおいては上達した歌唱力も素晴らしかったけれど、何と言っても

「大地を踏みつけるかのようなダンス」が魅惑的でした。

エトワール・ド・宝塚」のサソリ、「パッショネイト宝塚」のファヴェーラは

柚希の代表的な場面になる事でしょう。

(今でもサソリのダンスを見ると、我が家の姫は「ザネリがサソリになって

焼けたのよ」というんですよ

 

ただ偉大すぎるトップスターを持つと、組子が育たないというか

何もかもトップにおんぶにだっこ状態になるのは致し方ないのか。

特に柚希礼音の圧倒的な「華」の前には、誰も太刀打ちできず

ただの引き立て役になってしまう事が残念であったと思います。

今時の星組は実力派が横に追いやられ、見た目のいい促成栽培ばかりが

真ん中に立つという現状。

柚希のカリスマ性で持って来た星組が今後、どうなってしまうのか

かなり心配ではあります。

 

柚希のお披露目の時、ご挨拶を見て

「大きくなったわね。ちえちゃん」と母のように思った事を覚えています。

たどたどしくご挨拶してみんなの笑いを誘っていたちえちゃんが

舞台の中央に立って、しっかりと言葉につまらずご挨拶出来る程

成長するとは。偉いねえと褒めてあげたくて。

最初から期待されて、その割にはのほほーんとやっていたような下級生時代。

ただただ「素直さ」命で、教えられた通り、きっちりとやるしかない不器用さ。

見た目の派手さは才能、だけどその他は全て「努力」の人です。

あの「ちえちゃん」がスパルタな先輩に変貌していくなんて大昔には

想像できませんでしたから。

 

今後、どういう形でやっていくのかわかりませんけど、

不器用だけど素直な努力家は宝塚にいた頃と同じように

地道にこつこつとやってチャンスをつかんでいくでしょう。

次のステップが楽しみです

でもまあ、英真元組長がおっしゃるように

「柚希のDNAを受け継ぐ存在を生み出す」義務も確かにあります。

ぶっちゃけ女性として幸せになって頂きたいです。

ちえちゃん、本当にご苦労様でした。

研2か3の頃でした。お茶会で私に笑って会釈してくれたこと忘れません。

あの時と同じ「よい子のちえちゃん」のまま、これからますます素敵な

女性になって下さいね。

 

 

 

 

 

コメント (2)
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