ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
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花組 ミーアンドマイガール

2016-07-18 07:00:00 | 宝塚コラム

土曜日の11時の部を見てまいりました。

ジェラルド → 芹香斗亜

ジャッキー → 鳳月杏

パーチェスター → 柚香光

ジョン卿 → 瀬戸かずや

マリア → 仙名彩世

 

このブログにおいては「ブロードウエイミュージカルは好きじゃない」

という意見を書いている私。

だから、この作品も本当いうと好きじゃありません

貴族社会を知らないアメリカが貴族社会を描くと「アーネストインラブ」や

この「ミーマイ」のようにおちょくっている感じ?がするという事と

サリーのような身分の女性が、どんなに頑張っても貴族社会に受け入れられる

筈がないって事がわかるだけに、あまりにもお気楽な「終わり良ければなんでもいい」

的な展開にちょっと・・・・って感じだからです。

だから、今までにビルやサリーに感情移入した事などなかったし

正直、ストーリーもよく理解しないまま見てたわけですね。

 

でも 今回、初めて主役の二人を理解しました。

(単に私が歳をとっただけ?)

ランベスで育った、本当は貴族で御領主さまのビルが、貴族社会に馴染めず

っていうかいわゆる「人格否定」を受けているような気分になりつつ

いつも「ランベスに帰りたいな」と思っているけど、いつの間にか知識が増えて

今いる環境が(人間関係は別にして)心地いいと思いはじめ、

はっきりくっきり「ランベスの人とは違う自分」を認識し、かといって

育ちのいい人達の中では浮いてしまう事にいら立ちを覚える。

すごくわかります

 

一方のサリーは、今回の事はビルにとって奇跡に近い出来事であること

はわかる。逆立ちしたって自分が貴族の令嬢になれるわけがなく

生まれ直す事も出来ない。

という事は、ビルと自分の間には大きな溝が出来てしまった。

ビルはそれを軽々と飛び越えて、両方の世界を行ったりきたり出来ると

思っているけどそんな筈ない。

知識も教養も自分達とは全然違うレベルに達してしまったビルは

やっぱり「青い血」を持ってる人なんだなと思う。

そしたら自分のような人間は足かせにしかならない

 

そしてマリアおばさまにとって最も大事なのは「家」であり、血筋を

守る事。傍系の誰かに継がせるくらいなら、半分だけとはいえ、直系の

ビルに継がせたい。継がせる事が自分の使命だと思っている。

そして、元々「青い血」を持っているビルは訓練次第で立派な当主に

なると信じている。

ビルの感情とか、性格とか、恋人の有無とか、そんなものはこの際関係ない。

ビルが当主になる事に邪魔が入れば全部排除。それが貴族としての

生き方である。

尊い身分には義務が伴う」マリアおばさまの中では「私より公」

権利より義務、感情より理性。

余りにも完璧なマリアおばさまの前では、何を言おうと何をやろうと

太刀打ちできない。

ビルとサリーが持つ「血筋」と「育ち」へのコンプレックスは、法律や

努力ではどうにか出来るものではない。

そのコンプレックスが、今、トップスターとして身の丈に合わない立場に

立たされてもがいている明日海りおと、決して明日海の相手役として

美貌を認められる事はないだろう花乃まりあに重なって見えて。

ひどく共感できたのです。

 

どちらかというと花乃まりあの方が肝が据わっていて、

伸び伸びとサリーを演じているような気がしましたし、明日海の方も

ようやく相手役に任せる事は任せ、引っ張られて一人前のように

なっていました。

マリアおばさまに何と言われようと、ジャッキーに言い寄られようと、

サリーの事が好きっ!「僕の女の子は彼女しかいないっ!」と思い込む

ビルが初めて可愛いなと思いましたし、またけなげに見えて。

サリーに関しても、必死に身を引こうとする様がいじらしいと思いました。

だから、ラスト、ビルが「てめえっ!このやろう!」と抱きしめた時は

ちょっとうるっときちゃったというか

よかったねーよかったよかったみたいな。

そっかー「ミーマイ」ってこういう話だったんだなと。

 

何で今回、そんな風に思えたのかはまだまだ謎な部分があります。

演出はほとんど変わってないと思うのですが、振りが少々オリジナルっぽい?

より登場人物の感情が伝わりやすくなっているような気がしました。

 

私の中でもっとも素晴らしかったのは仙名 彩世

ズバリマリアおばさまです。

思えば、この作品における「マリアおばさま」の比重は高く、影の主役くらいの

意義があります。

仙名は、声の出し方といい、セリフ回しといい、歌声といい、とにかく完璧っ!

おまけに綺麗。

この人のおかげで「ミーマイ」が面白かったといっても過言ではありません。

なぜなら、物語のキーは全てマリアが握っていて、登場人物は全て

「受けの演技」をさせられていますよね。

投げるボールがよいからスイスイ受けられる・・・というわけです。

それに比べるとジョン卿の瀬戸かずやはかなり存在感が薄い。

っていうか、それをいうならジェラルドの芹香斗亜も印象がない。

柚香光はジャッキーの方が断然似合っているような気がしますが

とりあえず見た目が目立つのと、正しい演技で及第点。

鳳月杏のジャッキーは逆にやっぱりちなつっちゃんは男役の方がいいなと

思ってしまい。演技やスタイルに非のうちどころがないのは認めるのですが

それでもやっぱり男役の方がいいと思いました。

 

明日海りおと花乃まりあの相性もよくなって来たというか、花乃まりあの方が

リードしている印象です。

このままの力関係でいけば、ゴールデンコンビになるんじゃないか?と。

自分でもまさか花乃まりあにそういう感情を持つとは思わなかったので

意外です。

 

コメント (9)
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