ふぶきの部屋

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さよなら轟悠

2021-09-29 07:00:00 | 宝塚コラム

轟悠が退団する・・・と言われてもいまだにピンと来ないけど、グラフとかスカステとか、関連するものがどんどん「さよなら轟悠」仕様になっているので、やっぱり退団するんだなと思います。

轟悠。71期生。

71期生なんてもう遥か昔の人のように見えるけど、69期麻路さきファンの私から見ると、若い方に入ります。

不作の71期と呼ばれた」何かにつけ、轟悠が口にする言葉ですが4人もトップを出しておいて何を言うんだか・・って当時は思ってました。

しかも71期生4人で並ばせることが歌劇団の目的だったらしいので、その影でそんな役回りになってしまったのが72期から74期生でしょうかね。

真琴つばさ・轟悠・稔幸・愛華みれ。この4人が出演していた時代のTCAスペシャルは本当に面白くて、何度見ても飽きませんが、一方でこの4人が何かに秀でていたのかというとそうではありません。

4人とも技術的には凡庸で、見た目や実力が上の下級生はぞろぞろいたのです。でも愛華みれはVISAがついていたし、轟悠も実家のバックがすごかった。真琴つばさも稔幸も二人に乗っかったような感じがします。

 

さて、轟悠に関しては初見が雪組、一路真輝退団公演の「エリザベート」のルキーニでした。

轟悠はそもそもが色黒で九州出身らしいエキゾティックな顔立ち。

ルキーニはまさにはまり役、当たり役そのものでした。

なんせ「宝塚に本物の男性がいる」といわれた程。

私もあのルキーニには衝撃を受けました。

当時はまだ「20年ぶりの宝塚」を見た~~~状態でしたので、「エリザベート」という作品の斬新さや一路トートの美しさ、花總まりの女帝っぷり、高嶺ふぶきの品のよさ、そしてルキーニのワイルドな雰囲気にすっかり飲まれてしまったのです。

以後、雪組に関しては望むと望まざるとに関わらず結構コンスタントに観劇した方です。

1996年の青年館「アナジ」を見ることが出来て、思ったのはやっぱり轟悠は南の人だなあという印象。

後の「春櫻賦」もそうだけど琉球がよく似合う人でした。

そうはいっても当時の彼女には宝塚の伝統的な男役像からはちょっとかけ離れた印象がありました。

それは横に並び立つ娘役が思い浮かばないということ。

高嶺ふぶきがまさかの2作退団で、1997年にトップ就任。

お披露目作品は、「真夜中のゴースト」で一瞬だけ花總まりと組んだあとに、月影瞳が星組から組替え。

色気のない二人ではありましたが、雪組のよいコンビとして5年間を務めました。

このトップ生活の中で代表作は?というと、やっぱり「ノバ・ボサ・ノバ」が挙げられるでしょう。

併演の「再会」も月影瞳のヒット作になり、充実した作品でした。

そしてもう一つ、2000年の「凱旋門」でしょう。

この時、轟悠のラヴィックはとてもクールで恋に溺れる青年というよりは、反ナチの戦士のように見えました。

トップ時代の轟悠はとにかく「硬い」「頑固一徹」のような役柄が続き、女性に対しても「昭和の男」的な態度をする役が多かったです。

1998年「春櫻賦」もラブ抜き話、同年「浅茅が宿」は女性を置いてきぼりにして幽霊にしちゃう話、2001年「猛き黄金の国」は、

まさに亭主関白の鑑のような役で、それはある意味当時の彼女の本質を語っていたのではないかと。

若い頃の轟悠は、仕事には非常に熱心だけどあまりファンサービスをするタイプではありませんでした。

硬派といったら聞こえはいいけど、要は「相手役」の立場をあまり考えずに演技するタイプ。

一度、1000DAYS劇場の前で待っていた事があるんですが、ファンがい並んでいて、そのファンが轟悠が通り過ぎた事に気づかなかった・・・え?みたいな雰囲気の後、「あ」と轟が振り返り手を振ったという事がありました。

娘役の好みも本当は結構厳しいものがあったんじゃないかと思います。

月影瞳が退団する時も、残念という風でもなく送り出す風でもなく・・・これが長年連れ添った夫婦かなと思ったものでした。

後に専科に行って、やたら檀れいを褒めちぎったりしていたのを見ると、正直な人なんだなと。

そうそう、轟悠の代表作として「パッサージュ」も挙げておかないと。

これは荻田浩一の大劇場デビュー作でしたが、傑作で轟悠の個性を本当によく生かしていたと思います。

 

専科入りし理事に就任した後は、年に一度はどこかの組に主演して、トップとダブルで羽根を背負うという事が続きました。

正直、これには閉口したのも事実です。

新専科制度もあり、専科から入ると組内の番手が落ちる。2番手はいつまで経っても出世できずということが起こるからです。

TCAにも必ずトップオブザトップとして出てくるので・・・まあ、ファンじゃなければ「もういいのになあ」と思う事もしばしば。

 

それでも2008年宙組の「黎明の風」は

轟によく似合っていた作品で涙なくしては見ることが出来ませんし、2016年「リンカーン

2017年「神家の7人

等、名作も生まれました。

でも2018年、星組「ドクトル・ジバゴ

を見た時、あまりの痩せっぷりと声のかすれがとても気になりました。

それは雪組の「凱旋門」でも同様で、

演技の前に声が出ていないことが本当に気になりました。

体調のことも退団理由の一つだと思っています。

けれど、専科入りしてからの轟悠は表情にゆとりが出て、相手役にとても優しくなったことは事実です。

「凱旋門」では、これ以上ない程恋に溺れるラヴィックを演じてくれました。これが2000年時に表現出来ていたら、月影瞳とゴールデンコンビと呼ばれていたのになあと思ったりします。

 

いつもいるのが当たり前の人がいなくなるというのは寂しいことです。

年齢を重ね、学年を重ね、今こそ本当に男役の素晴らしさを表現できるようになった轟悠が宝塚を去っていくのは非常に残念です。

ただ、健康には気を付けて欲しいと思います。

宝塚をやめても、轟悠がそのままの姿でいる限りヅカファンは安心するのです。新しい道がどんなものなのか興味がありますし。

とにかく幸せになってほしいと思います。

先に退団した3人ともまた一緒にコンサートやライブをやってくれたら楽しいですよね。

本当に長い間、お疲れ様でした。

 

 

コメント (7)
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