水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

分析ユーモア短編集  <70> 不平(ふへい)

2019年02月08日 00時00分00秒 | #小説

 自分の思い通りにコトが運ばないと、ついつい不平(ふへい)が出やすくなる。そんな場合でも、グッ! と我慢(がまん)や堪忍(かんにん)が出来る人は、その不平を打ち負かせる人だ。見えない不平だが、分析してその正体を暴(あば)くのも面白い。そうすることで、不平の真実の姿が少しずつ見えてくる。まあ、不平が出やすい方は参考にしていただけばいいだろう。^^
 不平は自我(じが)が強いほど出やすいようだ。自分の思い通りに世の中が出来ている訳でもないのに、自我が強いと腹立たしくなり、不平が出やすくなる。チェッ! と舌打ちさせようとするのが不平の正体だ。そんな不平は逆手(さかて)にとって消せばいい訳で、何も小難(こむずか)しい話ではない。^^
 とある売り場で長蛇(ちょうだ)の列が出来ている。一人の男、Xが、いっこう進まない列に不平が募(つの)り、とうとうブチ切れた。
「おいっ!! いったい、どうなってるんだっ!! 売る気があるのかっ!!」
 前の売り場までは程遠く、Xが不平をブチまけたところで、まったく効果はなかった。そこへ一人の男、Yがやってきた。Yは『なんだ、混んでるじゃないか…』と平常心で思った。平常心はYに冷静な次の発想を与えた。
『アチラの店なら混んでないかっ! これならアチラの店の方がよかったな、ははは…』
 Yはそんな気分でスゥ~っと列を離れ、アチラの店へ向った。その後、アチラの店でスムーズに買い物を終えたYは、めでたくZになった。^^
 このように、不平は世の中の動きを冷静に見れば消え去るのである。^^

                                 


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