面(つら)とは物や人の外見(がいけん)を指(さ)す。もちろん、内見(ないけん)も含む訳だが、内見は外からは見えないから、外見を指す場合が多い。この面という言葉を暇(ひま)に任(まか)せて分析してみることにしよう。他にすることがないのっ! と怒られる方もお有りだろうが、間違ったことは言っていない積(つ)もりだから、そこは我慢してお読みいただきたい。^^
面には内面(うちづら)と外面(そとづら)がある。美味(おい)しそうな食べものでも中が腐(くさ)っている、外面がいい美人やイケメンでも内面が悪い・・などと、面は一致しない変化を見せる。超ブスな女性が化粧品を塗りたくって美人に見せる・・というのは、また意味合いが違うと思うのだが…。^^
とある植物園である。連休ということもあり、朝から多くの家族連れで賑(にぎ)わっている。バス旅行の案内ガイドが、知ったかぶりをして得意げに話す。
「この市営植物園は◎○△×年に開設され、今や多くの人々に親しまれるようになっておりますっ!」
「ガイドさん! あの木、何て言うのっ!?」
突然、最前列にいた一人の子供が何気ない面構えで一本の木を指さしながら、ガイドに訊(たず)ねた。ガイドはその指さす方向に目を向けたが、生憎(あいにく)、その名を知らなかった。戸惑(とまど)ったものの、ここは引けないわっ! とばかりにガイドはその動揺を億尾(おくび)にも出さず、外面では笑顔で聞いていない素振りをし、内面では顔面蒼白(がんめんそうはく)になって焦(あせ)った。
「この木~~!!」
子供は意固地(いこじ)になり、声を大きくした。ガイドの内面は失神寸前まで緊張した。そのときである。子供の父親が助け舟を出した。
「あれはガジュマルだ。沖縄ではキジムナーと言ってな、火の精霊が宿るとされてるんだ…」
「そうなんだ…」
子供は納得して押し黙った。ガイドも、そうなんだ…と思いながら内面の汗を拭(ぬぐ)った。
「分かった? ぼうや?」
さらに、外面でガイドは、さも、知っているかのような振りをして子供に念押しした。
「? うんっ!」
子供は外面では素直に返したが、この人、知らなかったんだ…と、内面で思った。
分析の結果、面はこのように使い分けられる。^^
完