誰もが学生時代、馴(な)れ親(した)しんだ言葉に平均点がある。アベレージという言葉で教育以外でもお馴染(なじみ)だが、この平均という言葉を分析してみるのもいいのでは? と思える。暇(ひま)な人だな…と思う人もあるだろうが、まあ、そう思われても致(いた)し方がないだろう。しかし、爪(つめ)の先ほどの意味はあると考える。^^
言うまでもなく、一度のいい結果や悪い結果に左右されることなく、総計[トータル]を一定期間や一定回数などで割った値(あたい)が、平均である。平均は、その数値(すうち)によって能力や傾向を知る上での重要な資料[データ]となる。
とある小学校の教室である。テストの答案用紙が担任の鰻川(うながわ)から生徒へ次々に返されている。
「水産(みのう)さん、場内(ばない)さん、技術(わすべ)さん、稚魚(ちお)さん、成育(せいいく)さん…」
一通(ひととお)り答案が生徒へ返されると、鰻川が厳(おごそ)かな教師めいた態度で口を開いた。
「… 今回の平均点は62点! 最低は18点、最高は98点でした。前回の平均点が58点でしたから、4点上がったことになります。今後とも、頑張りましょう!」
「は~~~い!」「は~~~い!」「は~~~い!」…
異口同音(いくどうおん)に生徒達が返事する。
「私もやってみましたが、ド忘れがあったせいで97点止まりでした。前回は99点でしたから平均点は98点です。で、今後も頑張りたいと思いますっ!」
教師めいた態度とは真逆(まぎゃく)の言葉を聞き、教室一杯に生徒達の笑声が広がった。
人は神仏と違って完璧(かんぺき)な存在ではないから、平均が大事? というのが分析結果である。^^
完