水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

分析ユーモア短編集  <79> 対応

2019年02月17日 00時00分00秒 | #小説

 さて、どうしたものか? と、考え倦(あぐ)ねた末(すえ)、人は最(もっと)もいい結果を出そうと動く。これが対応・・と呼ばれる行為である。この対応について分析してみることにしたい。別に分析しなくてもいいのだが、今のような寒い時期には甘酒か熱燗(あつかん)をチビリチビリとやりながら暖(あたた)まり、美味(おい)しい肴(さかな)かなにかを摘(つま)む・・というのが、風邪(かぜ)を近づけない最良の対応では? と思える訳だ。^^
 とあるアパート前である。どこから見ても胡散臭(うさんくさ)い一人の刑事が、ジィ~~っとアパートの様子を物陰(ものかげ)に隠れ、見張っている。偶然(ぐうぜん)そこを通りかかったアパートの住人の婆さんが声をかけた。
「あんれっ、まあ~~!! こげな寒いところで、いかがされましたかいのぉ~!!?」
 刑事としては、『大きな声でっ!! 張り込み中だから静かにっ!!』とは思うが、言えば身分がばれる。『黙っていてくれるならいいが、どうもこの婆さん、黙っていそうもない…』と刑事は瞬間、思った。となれば、対応として最良の方法は、ばあさんのご機嫌をとって、早々に引き上げてもらう他(ほか)はない。
「ははは…寒いですなぁ~。いやぁ~ちょっと人を待ってましてね。それが、いっこう現れんのですわっ! どうしたんだろうなっ! ははははは…」
 刑事は方便を遣(つか)い、笑って誤魔化(ごまか)した。
「そうでごぜぇ~ましたかいのぉ~。そいじゃ、風邪など引かれましぇんようにのぉ~。あとで、管理人の息子に甘酒でも届けさせましょうほどに…」
「いえっ! そ、そこまでしていただかなくても…」
 刑事は対応を誤(あやま)ったか…と後悔(こうかい)しながら、その後の対応を考えざるを得なくなった。
 分析の結果、対応は適切でないと、拗(こじ)れてふたたび対応しなければならなくなるから、注意が必要となる。^^

                                  


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする