水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

分析ユーモア短編集  <87> ケジメ

2019年02月25日 00時00分00秒 | #小説

 何事かを始めれば、当然、納得して終わる状態が来る。その何事かが終わらず中断する事態となったとき、中途半端(ちゅうとはんぱ)なまま放置せずにやってしまうことを、人はケジメをつける・・と言う。このケジメを、昼食を遅(おく)らせても、きっちりとケジメをつけて分析してみよう。^^
 日曜の朝、とあるサラリーマン家庭の一(ひと)コマである。朝食を済ませた夫は、楽しみにしていたDIY[Do It Yourself の略語で、日曜大工を指す]を始めた。垣根のペンキ塗り作業である。最初の目論見(もくろみ)では昼までには終わるだろう…と、夫は思っていた。作業は順調に進んでいくかに見えた。ところが、である。10時を過ぎた頃、突然、バイブ[振動による感知機能]設定をしておいた携帯が震(ふる)えた。出ると、会社からの急な呼び出しだった。常務からの電話で、聞けば部長昇格が決定したから詳細を伝えたいとの内容だ。気にしていた一件で、朗報だったこともあり、夫は作業を中断し、慌てながら部屋へ戻ると、背広に着替え始めた。
「あらっ! どうしたのっ?」
「会社の急用だっ!」
 部長だっ! 部長、部長っ!! と妻に言いたい気持をグッ! と我慢し、夫はニンマリした顔で玄関へと急いだ。
「おかしな人っ! 今日中にケジメつけてよねっ!」
 妻は中途半端に塗り散らかした垣根のことを暗に催促(さいそく)した。
「ああっ!!」
 妻の声を半(なか)ば聞かず、夫はすでに玄関を飛び出していた。
 その後、ケジメがどうなったのか? 読者の方々はどうお思いだろう?^^ 夫が常務と夜遅くまで祝いの酒を飲んでいた・・という事実はある。^^
 分析の結果、ケジメは本人の強い意志が求められる。^^

                                  


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