水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

分析ユーモア短編集  <88> 棒を折る

2019年02月26日 00時00分00秒 | #小説

 棒を折る・・とは、なにも木の棒をベシッ! と折る意味だけで使用されている訳ではない。^^ もっぱら使われるのは、途中で物事を諦(あきら)めたり止(や)めたりする場合が多いのだ。ただ、学校を中退したりする場合は、本人の都合や諸事情もあるから、棒を折る・・と一概(いちがい)には言えないだろう。この言葉を分析すれば、個人差がかなりある事実が見えてくる。短気な人は棒をすぐ折る傾向にあり、逆に気長な人だと棒はいつまでもそのまま存在することになる。ある意味で、気長な人は始末する倹約家(けんやくか)とも言える。三猿(さんざる)・・見ざる、言わざる、聞かざるの一つ、聞かざるだ。お猿さんのお尻が何故(なぜ)、赤いのか? までは知らない。^^
 とある魚河岸(うおがし)である。朝から威勢のいい掛け声で競(せ)りが行われている。競り師が浪曲師のような低音のいい声で器用に競り落とす様(さま)は、まさにプロと言わざるを得ない。
「鰻(うなぎ)がさっぱりだなぁ~」
「シラスが例年の一割っていうから、高値も仕方ねぇ~だろっ!」
「人工孵化(じんこうふか)は出来ねぇ~のかねぇ!」
「研究してんだろうが、棒を折って、鯰(なまず)で代用だろ!? やってらんねぇ~やっ、こちとらっ!」
「だなっ!」
 二人の業者は話しながら魚河岸(うおがし)から消えた。
 分析の結果、水産技術などを含む技術立国の我が国としては、棒を折ることなく達成していただきたいものだ。^^

                                  


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする