水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

分析ユーモア短編集  <72> 努力(どりょく)

2019年02月10日 00時00分00秒 | #小説

 よく言われる努力(どりょく)という言葉がある。「努力が足りんぞっ!」と発破をかけられれば、思わず、『頑張らないと…』という反省(はんせい)気分になってしまうものだ。もちろん、『言うな言うなっ! 努力してるわっ!』と反発される方もおられるだろうが、孰(いず)れにしろ、努力が大事だということには変わりがない。この努力という言葉を分析すれば、味わい深い言葉だということが分かってくる。努力は今まで以上の頑張りを意味する。努力をしなければ、その後に好結果を得られないのが常だ。出来ない技(わざ)を日々、励(はげ)んで習得する・・これが努力の一例である。
 静まり返った深夜のとある体育館である。一人の高校生が懸命にバレーボールのサーブ練習をしている。完成間近の新(あら)たな技、稲妻サーブの完成を目指す努力の練習だ。
「おお、やっとるなっ! どうだっ!」
「あっ、監督っ! もう少しなんですが…」
「そうか…努力は、しとるんだがなぁ~」
「はい! これだけは…」
「だな…。ほれ、差し入れだっ、食えっ!」
 監督は、コンビニで買ってきたチン! して温かい弁当と温かい缶茶が入った袋を手渡した。
「ありがとうございますっ!」
「じゃあな…。無理するなよっ!」
「は、はいっ!」
 監督が帰ったあと、どういう訳か新技(しんわざ)、稲妻サーブは完成を見たのだった。
 分析の結果、何かの楽しみがあると、努力は一層(いっそう)、効果が高まるようだ。^^

                                 


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