ああして、こうして…と人は考える。普通の場合、こうして、ああして…でもいい訳で、取り分けて結果に差が出るということもない。正確には、ほとんどない・・と言った方がいいのだろうが、まあ、そういうことだ。ああして、こうして…や、こうして、ああして…という先々の行動の組み立てを、人は手順と言う。この手順という行為の組み立てを分析してみることにしよう。そんなことを考えてないで、早く病院へいつもの投薬(とうやく)や診察に行った方がいいっ! と言われる方もおられるだろうが、それもそうだ…と思えるから、そうすることにしたい。^^
さて、手順の違いで結果にどういう違いが生じるのか? という具体例を示してみよう。
とある会社の一場面である。一人の若い社員が書類のコピーを取っていたが、俄(にわ)かに便意を催(もよお)した。コピーの残り枚数は、あと数枚である。社員は、はて、どうしたものか…と瞬間、動きを止めた。急ぐ重要書類のコピーということで、課長が今か今かと待っていたからである。手順として、[1]我慢してコピーを終え、それからトイレへ駆け込む、[2]先にトイレで用を足し、その後、落ちついてコピーを済ませる、といった二つの手順が考えられた。[1]の場合だと、課長にお小言(こごと)を食らう心配はない。心配はないが、粗相(そそう)をする危険性はある。[2]の場合だと、粗相する心配はないが、恐らく課長のお小言は避けられないだろう…と社員は思った。さて、読者の皆さんは、この社員がどちらの手順を選んだのか? お分かりだろうか?^^ 答えは、どちらでもない。というのも、実は社員が困っていたとき、同僚の社員が偶然、通りかかったのである。
「おっ! いいところへ…」
「何が、いいところだ?」
「このコピー、すまんが、あと頼んだっ!!」
「? ああ…」
そう小忙(こぜわ)しく言うと、社員は同僚の社員を一瞥(いちべつ)もせずトイレへと奔走(ほんそう)したのである。
分析の結果、手順は良くも悪くも突然、変化する可能性があり、臨機応変(りんきおうへん)の対応が必要みたいだ。^^
完