柳原白蓮は、歌人。えらい別嬪で、大正の日本三大美人の1人。
こちら(別嬪さん画像)
その白蓮の、芸術に対する考え方を、「非無点」という。「無点に非ず」と読む。
昼の空。
星は見えない。
でも、星がないわけではない。
星はあるけど、明るいから、見えない。
こちらが明るいと、暗がりは、見えない。
こちらが上機嫌で幸せでブイブイいっていると、辛い境遇の人の暗い陰翳は、見えない。
幸せな人には、人生の奥深さは、分からない。
ゲーテが言った有名な「涙とともにパンを齧った者でなければ、人生の味は分からない」。
正確には以下らしい。
「悲しみの涙もてパンを食せしことなく、泣きぬれつつ目覚めて夜を明かせしことなき者は、末だ天の力に与るを得ず」
だいぶ違うけど、この正確な、ロングバージョンの方が、100倍くらい、味わい深い。雅な風韻があるというか。余韻がある。
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昼の空に、星は見えないけど、星はないわけではない。
無点にあらず。
無点ってのは、星が無いこと。
見えないからと言って、星がないわけではない。
環境によって、見えていないだけ。
心眼を凝らして見れば、見えないものも、見える。
パッと見て見えないからといって、自分に見えていないからといって、安々と「ない」と断じてはならない。
声なき声に耳を傾けよ。
声なき衆生に心を寄せよ。
声なき草木の悲哀を知れ。
それが「非無点」。無点に非ず。
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あの歌に似ていますね。
君看よや双眼の色語らざれば憂いなきに似たり
白隠禅師