死者は生者を生かす。
夭折した人。不幸にも佳人薄命になった人。自己や病気で運悪く亡くなった人。
そんな人にも意味がある。
天は意地悪でそんな人に不公平を与えたのではない。
残された者が、その亡くなった人から何かを受け取る。
その限りで、夭折した人にも、その早すぎる死にも、意味がある。
例えば。
1 宮沢賢治/宮沢トシ
宮沢賢治が、不朽の詩人となったのは、愛する妹トシ こちら(ウィキがとても詳しい) が早世したから。
そう思いたい。
けふのうちに
とほくへいつてしまふわたくしのいもうとよ
(中略)
わたくしのけなげないもうとよ
2 中村哲/息子
アフガンの医師・中村哲さんは、2002年に、10歳の次男を脳腫瘍で喪った。
その不条理に対する怒りが、中村さんをして、アフガンの人道的支援への戦いに、誘った。
3 私
私が23歳のときに、私の代りに亡くなったT。
去年の今頃、あっという間に逝ってしまった姉。
彼らの分まで、私は生きん。
私のみではない。
みなさんも、周りで、お亡くなりになった人の分まで、って思っているところはあるでしょう。
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悼むというのは、死者を生かす道。生者の心のなかに、死者を生かす。それが人類が行ってきた「悼む」ことの意味。
To live in hearts we leave behind is not to die.
残る生者の中に生きるのであれば、それは死ぬことではない。
The greatest genius is the most indebted man.
最も偉大な天才は、最も他者に恩義を感じている者である
エマソン
身の回りに早世した方がいると、生に対して恩義を感じる。生かされていると感じる。それがindebtedって意味。
生きているのではない。
生かされている。
その感覚が、indebted (恩義を感じている)。
最も強く、「生かされている」と感じる人が、最も偉大な天才になれる。