(スルガ銀行とロゴ)
(スルガ銀行株価)
① アングル: ""地に落ちた地銀の優等生・スルガ銀 揺らぐ財務健全性""
ビジネス 2018年9月7日 / 23:14 / 3日前
[沼津市(静岡県) 7日 ロイター] - 高い収益性を誇り、「地銀の優等生」とも評価されてきたスルガ銀行(8358.T)の実態は、ガバナンス(企業統治)やコンプライアンス(法令順守)を置き去りにした「架空のビジネスモデル」だったことが明らかになり、その存続さえ危ぶまれる事態に直面している。
自己資本比率は12%台を維持してきたが、貸倒引当金の規模が膨らめば、財務の健全性をき損しないかねない事態に追い込まれた。創業家支配からの脱却を誓った新社長が、地元・静岡にも目配りしながら収益力あるビジネスモデルを築けるか。重い課題を突きつけられている。
② <自己資本比率「4%割れ」シナリオ>
「当社は単体自己資本比率が12.14%であり、十分な健全性を有している」――。スルガ銀の新社長に就任した有国三知男氏は7日、記者会見の冒頭で財務健全性を強調した。自己資金や手元流動性も十分だと述べ、市場が抱く経営への懸念の払しょくを狙った。
しかし、投資用不動産への不適切な融資に対し、貸倒引当金をどこまで積み増すのか、見通しは示せていない。有国社長は「中間決算に向けて自己査定中で、必要なら引当金を積み増す」と繰り返した。
同社の貸出金は3月末で3兆2500億円。このうち、投資用不動産向け融資は約2兆1000億円を占める。融資全体に対する貸倒引当金は6月末で870億円となり、3月末から88億円増えた。6月末の自己資本は3282億円だ。すべての不動産向け融資が問題となっているわけではないが、引当金がさらにかさむようなことになれば、自己資本のき損は免れない。あるアナリストは、最終赤字2000億円ならば自己資本比率は最低限必要な4%を割り込むと試算する。
バーゼル規制の影響で、投資用不動産向け融資のリスクウエートが変わり、自己資本比率の分母にあたるリスク資産が1割程度膨らむとみられることも、比率低下に拍車をかけるという。
③ <ぶれるビジネスモデルの軸>
スルガ銀は、金融庁 ※ からの評価も高かった。森信親・前長官は昨年5月の都内の講演で、地銀の持続可能なビジネスモデルについて語った際、他行に先駆けてニッチな分野を開拓し、収益を上げているスルガ銀行(8358.T)の名前を挙げ、「(規模が)大きくなることが唯一の解決策ではない」と評価したこともある。
スルガ銀のとん挫は、「フォアードルッキングにビジネスモデルを検証する」と打ち出した「森・金融庁のモニタリング方針が機能していなかったのではないか」(銀行アナリスト)との批判さえ漏れる。
不適切融資を検証した第三者委員会は、報告書の中で「他行がまったく採用していない経営手法というのは、逆に言えば採用しない理由もあることを示しており、そのリスクについてきちんと情報を収集した上、採否を議論すべき」と指摘し、ある意味、独自のビジネスモデルの確立を求める監督官庁の方向性にもクギを刺した格好となった。
有国社長は、問題の発火点となった不動産投資ローンについて「顧客の要望があれば、堅牢な社内体制を構築した上で真摯に対応したい」と述べ、引き続き取り組む姿勢を示した。その一方で、「事業のポートフォリオを都市部に寄せすぎたと反省している。地元の顧客も大切にしていきたい」と語り、地元静岡への回帰にも意欲を見せた。
静岡銀行(8355.T)、清水銀行(8364.T)、静岡中央銀行と競合がひしめく静岡県から、首都圏に活路を求め、個人向け融資中心のビジネスモデルを築いた創業家。「新しいローンを始め、他行が追随するころには別の収益源を探し、生き残ってきた」と評価する金融庁幹部もいる。
しかし、創業家が経営から退いた今、地元に回帰しながら信用を回復し、収益力を取り戻せるのか。財務健全性が揺らぐなか、自力での資本調達や、あるいは他行との合従連衡にまで発展するのか。スルガ銀を巡る問題は、第2幕に入ることになる。
② 金融庁の監督
III 主要行等監督上の評価項目(一部引用)
III -1 経営管理(ガバナンス)
III -1-1 意義
国際的な金融市場において活動している主要行等の抱えるリスクが複雑化、高度化する中で、金融システムの安定を確保するとともに、主要行等の持続可能性を確保し、経営の健全性の維持及びその一層の向上を図るためには、経営に対する規律付けが有効に機能し、適切な経営管理(ガバナンス)が行われることが重要である。
III -1-2 主な着眼点
経営管理が有効に機能するためには、その組織の構成要素がそれぞれ本来求められる役割を果たしていることが前提となる。具体的には、取締役会、監査役会といった組織(指名委員会等設置会社にあっては取締役会、監査委員会等、監査等委員会設置会社にあっては取締役会、監査等委員会)が経営をチェックできていること、各部門間のけん制や内部監査部門が健全に機能していること等が重要である。また、代表取締役、取締役、執行役、監査役及び全ての職階における職員が自らの役割を理解し、そのプロセスに十分関与することが必要となる。
また、銀行法は、銀行業務の高度な公共性に鑑み、信用維持と預金者等の保護及び金融の円滑を確保するため、銀行の業務の健全かつ適切な運営を求めていることを踏まえ、銀行の常務に従事する取締役(指名委員会等設置会社にあっては銀行の常務に従事する取締役及び執行役)及び監査役(指名委員会等設置会社にあっては監査委員、監査等委員会設置会社にあっては監査等委員)には、その資質について極めて高いものが求められる。
なお、上場会社は、平成26年の会社法改正及び金融商品取引所の規程において、社外取締役の確保について規定されているほか、同規程においては、コーポレートガバナンス・コードを尊重してコーポレート・ガバナンスの充実に取り組むよう努めることとされており、非上場会社に比べ、より高い水準の経営管理(ガバナンス)が要求されている。上記を踏まえ、銀行及び銀行持株会社の経営管理(ガバナンス)態勢のモニタリングに当たっては、例えば、以下のような着眼点に基づき、その機能が適切に発揮されているかどうかを検証することとする。
(1)コーポレートガバナンス・コードの各原則において求められている水準の経営管理(ガバナンス)態勢を構築するにあたって、以下の項目を含め、コーポレートガバナンス・コードに則って、適切に取組みを進めているか。
(注)コーポレートガバナンス・コードは、いわゆる「プリンシプルベース・アプローチ」(原則主義)、及び「コンプライ・オア・エクスプレイン」(原則を実施するか、実施しない場合には、その理由を説明するか)の手法を採用していることに留意することとする。
マル1独立社外取締役は、上場銀行及び上場銀行持株会社(以下「上場銀行等」という。)の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、上場銀行等はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも2名以上選任しているか。
また、業種・規模・事業特性・機関設計・当該上場銀行等をとりまく環境等を総合的に勘案して、自主的な判断により、少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場銀行等は、上記にかかわらず、そのための取組み方針を開示しているか。
マル2上場銀行等がいわゆる政策保有株式として上場株式を保有する場合には、政策保有に関する方針を開示しているか。また、毎年、取締役会で主要な政策保有についてそのリターンとリスクなどを踏まえた中長期的な経済合理性や将来の見通しを検証し、これを反映した保有のねらい・合理性について具体的な説明を行っているか。上場銀行等は、政策保有株式に係る議決権の行使について、適切な対応を確保するための基準を策定・開示しているか。
(2)「銀行法第十四条の二の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(以下「告示」という。)第2条の2第5項第1号又は「銀行法第五十二条の二十五の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(以下「持株自己資本比率告示」という。)第2条の2第5項第1号の規定に基づき指定(注)された銀行等(以下「告示に指定されたG-SIBs」という。)においては、例えば、その組織体制を指名委員会等設置会社とする、あるいは、当該銀行持株会社の主要な子銀行については、非上場であっても、取締役の選任議案の決定に当たり独立社外取締役を確保するなど、その規模、複雑性、国際性、システミックな相互連関性に鑑み、より強固な経営管理(ガバナンス)態勢となっているか。
(注)グローバルなシステム上重要な銀行(Global Systemically Important Banks; G-SIBs)の選定に係るシステム上の重要性評価は、金融安定理事会によって行われるものであり、国際的に活動する銀行等のうち、「銀行法施行規則第十九条の二第一項第五号ニ等の規定に基づき自己資本の充実の状況等について金融庁長官が別に定める事項」第七条第五項第一号の額(バーゼルIIIレバレッジ比率のエクスポージャー合計額)を直近に終了した連結会計年度末の為替レートでユーロに換算して得られたものが二千億ユーロを超える銀行等が評価対象とされ、マル1「規模」、マル2「相互連関性」、マル3「代替可能性/金融インフラ」、マル4「複雑性」、マル5「国際的活動」の5基準に基づきG-SIBsが選定されており、これに鑑み告示又は持株自己資本比率告示で指定する。
※ 金融庁の銀行監査と言っても人員の関係もあり、年間で実施しているのは、
ごく少数と聞いたことがあります。
選択の基準として、創業者一族や同族企業など、それに頭取の長期在任を
長さを基準としたら結構、監査の必要な銀行に当たる確率が良くなると考えます。
加えて、合併をした銀行も対象とすべきでしょう。みずほ銀行が、その
実例です。
※ ローン契約者の対応は、スルガ銀行については故意が明白なので詐欺罪を
適用するとか、後の救済措置はどうするのか。真相解明と解決の道は遠いものに
なりそうです。
※ 上司のパワハラに嫌々でも従ってきた社員は、被害者でもあり加害者でも
あります。これからどういう方針が出ても、リストラの嵐は避けられないと
思います。
自分もサラリーマンを長くやっていたので判りますが、会社で物言うのは
大変なことです。でも、最低限のルールとして、違法な行為は不利益を受けても
実行しないことです。
※ 株価も下落の一途ですが、ここで徹底的に売り叩かれています。それに
信用売り残は、制限が掛かっていないので増加する一方です。
持ち合いしている企業は、どうしたのでしょう。また、社員持ち株制度がない
と良いのですが…。
★★ 信用データ
信用売残 12,178,000、 前週比 +3,176,200
信用買残 14,228,600、 前週比 -93,900
そして、年初来高値2,569円から9月7日には年初来安値543円と、約2割の
株価になっています。
犯罪は個人でも企業でも、最終的には割りに合いません。良い大学を
出て良い企業に勤めてという安定した人生は消え去ってしまいました。
➡ 最後に社員や従業員が法規制で守られ過ぎていて、それが労働市場の流動性を
阻害していて、生産性も上がらいと言うのは、FAKEやデマの類(たぐい)です。
社員を大量にリストラして何とか生き延びて来ている企業が少なからずあり
ますが、それはCEOやトップが高給取りの割には未来を見る目がなく会社の
かじ取りを誤っているからです。
多分、今回も地域経済の破綻を防ぐなどの理由で、同じことが繰り返される
でしょう。