(日米国旗)
① 焦点: ""米国、日本の自動車輸出削減・現地生産拡大を非公式に要望""
ビジネス 2018年9月22日 / 00:43 / 2時間前更新
東京 22日 ロイター] - 24日にニューヨークで開かれる日米通商協議(FFR)と26日の日米首脳会談では、貿易不均衡是正が大きなテーマになりそうだ。複数の関係筋によると、米側は非公式に日本側に対し、自動車の米現地生産拡大と輸出削減を求めてきている。自動車輸出削減は自由貿易の原則に反するだけでなく、国内の生産体制や雇用問題に直結し、日本経済全体にも大きな影響を与えかねず、日本側がどこまで自国の主張を貫けるのか ※
注目される。
※ 米国従属と度重なる貿易戦争で、日本の経済を弱体化させてきた政府ですが、ことは
日本の背骨とも言える""自動車産業""で、ここでも妥協すれば、本当に日本の経済は
ガタガタになってしまいます。
アメリカファーストとは、日本の諺で言えば、「一将功なりて万骨枯る」という
経済政策です。つまり、アメリカという一将が繁栄すれば、敵国だけでなく同盟国で
すら衰退・滅亡しても良いという原理です。
言葉を変えて言えば、アメリカが経済や政治で改革・革新の努力をしなくても、
相手国が貿易戦争で被害を受けて国力が低下、停滞すれば、相対的にアメリカの地位は
上がり、苦労せずにアメリカファーストが達成できるのですから、マキャベリも真っ青の
悪賢い政策です。
➡ トランプ大統領の一般教書より「通商政策」
(一般教書の発表)
※ 通商政策
アメリカは数十年に及んだ不公正な通商政策をついに転換しました。不公正な貿易によって、アメリカの繁栄が犠牲となり、企業は国外に逃げ、雇用と富が消失しました。しかし、私たちは一気にそれを取り戻しています。経済的敗北の時代は完全に終わりました。これからは、公正で互恵的な貿易関係を要求していきます。
私たちは、愚かな通商協定を修正し、新たな協定を結びます。新たな協定は公正で、よいものであるべきです。私たちは、貿易のルールの履行によってアメリカの労働者と知的財産を守ります。
② また、米側は合わせて2国間の自由貿易協定(FTA)締結も強く求めてくる可能性が高く、牛肉やジャガイモなど農産物の輸入拡大も、大きな争点になるとみられる。
複数の関係筋によると、米国は年間7兆円規模の対日貿易赤字の半分以上が自動車と同部品で占められていることを問題視しているもようだ。
昨年の日本から米国への自動車輸出台数は約174万台。一方、米国内で生産されている日本メーカーによる現地生産台数は約377万台。現地生産の規模が2倍となっているが、米側は現地生産の一段の拡大と日本からの輸出台数の削減を求めているという。
米・メキシコ間で合意した修正された北米自由貿易協定(NAFTA)の中に、自動車の数量規制とみられる項目が入ったことも日本政府・与党内での警戒を高めている。そこでは、メキシコからの完成車輸出が一定量を超えた場合、25%の関税を課すと明記された。政府関係者の1人は「米国が日本に対しても、同様の対応を求めてくる可能性がある」と指摘する。
また、経済産業省は2019年度の税制改正要望で、自動車関係税の大幅引き下げを要求している。表向き「2019年10月の消費税引き上げへの対応」(自民党幹部)だが、日米交渉を見据えた「自動車業界対策」(与党関係者)とも言われる。
※ さすがにエリート官僚は、税金を使って先の先まで考えています。これで安心!?
③ 武藤敏郎・大和総研名誉理事(元財務次官・元日銀副総裁)は21日、ロイターのインタビューで、日米通商交渉で自動車産業がどのような影響を受けるかが、日本経済最大の課題であると指摘。
可能性が指摘されている対米自動車輸出の数量規制については「米国には成功体験があるため、魅力的と考えている」と述べるとともに、日本もかつて実施したことがあるが「一度導入すると見直しが難しく、日本経済に厳しい結果となる」と語った。
今回の日米交渉では、茂木敏充経済財政相が24日、ニューヨークでライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と会談し、FFRの第2回会合を開く。米国は貿易赤字削減のため、自動車での不均衡是正のほか、FTAの協議入りを強く求めてくる可能性が高い。FTA交渉を通じ、牛肉やジャガイモなど農産物の対日輸出拡大を図ろうとするとみられている。
※ 要はトランプ大統領は、「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」 という
タイプの人間です。こんな根性の人間と友人や親友には、絶対なりなくないです。
④ 対米貿易収支
対米貿易収支 財務省単位 億円
1月、2月、3月、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、11月、12月
★ 2015年
5,450 6,311 6,008 6,467 4,035 5,788 6,465 4,624 6,609 6,638 5,693 7,585
★ 2016年
5,437 6,038 6,839 6,126 3,454 6,174 5,929 3,574 5,867 5,793 5,804 7,191
★ 2017年
3,988 6,099 6,246 5,879 4,120 5,872 6,452 5,334 6,147 6,439 6,590 7,122
★ 2018年
3,493 6,309 6,228 6,151 3,398 5,900 5,027
☆ 前年比
-495 210 -18 272 -722 28 -1,426
※ 上手くコピーできないので、見にくいのですが確実に減少傾向にあります。
鉄鋼の貿易制限によるものが大半だと思いますが、内容の確認は、まだ行っていません。
※ 次のリポートは、重要なので再録しました。
⑤ コラム:対米黒字の8割弱が自動車、「1本足経済」に潜むリスク
田巻 一彦
[東京 31日 ロイター] - 米国が通商拡大法232条による自動車を対象にした輸入規制を課すかどうか調査中だが、仮に課税された場合、日本経済にはかなりの打撃となる可能性がある。
日本の貿易黒字に占める自動車の割合が高く、対米に限定すれば、黒字額全体の76%を占めるからだ。自動車に頼る日本経済の「一本足」の構図は大きなリスクであり、貿易戦争を仕掛けられれば、かなりの打撃を覚悟しなければならないだろう。
<米が重視する自動車問題>
米国とメキシコの間で北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しが行われ、原産地比率が62.5%から75%に引き上げられた。主要なターゲットがメキシコ内で生産される自動車であることは明らか。自動車に関しては、時間当たり賃金が最低16ドルであることを満たしている工場で生産されたものが、40─45%を占めることも決められた。
これで事実上、新たに米国からメキシコに自動車工場をシフトさせることが難しくなったと言える。
このように米国のトランプ政権は、自動車をメインに貿易赤字の縮小を狙う戦術を採用していることが鮮明だ。
一方、日米間の貿易収支をみると、ある特徴的なことが浮き上がってくる。2017年度の日本の貿易収支によると、対米貿易黒字は6兆9999億円。このうち自動車と自動車部品の黒字額は5兆3657億円と貿易黒字額全体の76.7%を占める。
日米貿易不均衡は「日本の自動車輸出が生み出している」と、トランプ政権からは見えるかもしれない。
※ 「みえているかもしれない 」ではなく、確信しているからターゲットにしています。
<狙い撃ちのリスク>
このことはまず、短期的に大きなリスクを発生させるだろう。米政権が現在、調査中としている通商拡大法232条の適用による25%の自動車関税の適用があった場合、日本の自動車メーカーだけでなく、日本経済にも大きな打撃となる。
2017年に日本から米国に輸出された自動車は約174万台。課税された場合、かなりの割合で輸出台数が減るか、もしくは自動車メーカーの収益が激減することになると予想される。
中長期的にも問題は残る。リーマンショックから10年が経過したが、次に大きな危機が世界経済を覆った場合、単一の業態の稼ぐ黒字額が巨額である場合、その業態がショックの直撃を受けると、経済全体が受ける衝撃が増幅されてしまう危険性があることだ。
実際、2017年度の貿易黒字は2兆4491億円だったが、自動車と自動車部品のネット黒字額は13兆6754億円にのぼる。
だけで稼ぐ「一本足」の構図は、日本経済の将来を考えた場合、かなりのリスクがあると言わざるを得ない。
<脱自動車への挑戦>
では、どうするべきか──。「即効薬」はないだろうが、足元で急速に進んでいるビッグデータとAI(人工知能)を駆使し、マクロ的なトレンドを把握してチャンスを獲得するビジネスモデルの周辺で、必要となるあらゆるモノ、サービスでシェアを高める企業が数多く出てくることが必要だ。
関連して起業、大型設備投資、人材の確保などで、政府が総合的にサポートする仕組みを作ることも重要だろう。
自動車だけが黒字を稼ぐという構造を変えることができれなければ、トランプ大統領の仕掛ける貿易戦争を潜り抜けても、日本経済の未来に光明は差し込んでこないと思う。