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【国立天文台】 6月12日22:30分、""2019年5月の太陽活動""

2019-06-12 22:34:25 | 🚀🛰宇宙 ; 人類のロマンと挑戦、国立天文台、JAXA、NAS各国・宇宙開発…

① ""2019年5月の太陽活動""

 5月は黒点観測を25日間実施でき、このうち12日間は無黒点でした (白色光画像の5月のデータベースカレンダー)。黒点相対数の月平均値は10.16で、月平均値が10.0以上になったのは2017年10月以来のことです。黒点は北半球でだけ見られ、南半球の黒点相対数は2か月連続でゼロでした。

 5月に出現した活動領域はNOAA (※1) 12740と12741の2群で、両者とも現在の第24周期に属する活動領域でした。この2つの活動領域の黒点は三鷹の太陽フレア望遠鏡でも観測でき(図1)、黒点が少ないこの時期においては目立つ存在でした。

 陽活動の極小期付近としては珍しく活発な活動を見せ、NOAA 12740はGOES (※2) 衛星のX線強度測定の評価でC 9.9を筆頭にCクラスフレアを12回発生し、NOAA 12741もC 2.0フレアを起こしました。

 5月6日に発生したC 9.9 フレアは近年では珍しいMクラスに迫る規模のもので、直近でこれより大きなフレアは2017年10月20日のM1.1であり、およそ1年6か月ぶりの発生です。5月に起こったフレアはその発生時刻が日本での日没後であったものがほとんどで、6日の昼間に発生したC 9.9フレアとC 1.7フレアも天気不良のため三鷹では満足な観測が行えませんでした。

 第24周期に属する活動領域が出現する一方で、次の太陽活動周期への切り替わりが着実に進んでいます。5月4日に太陽フレア望遠鏡が北半球の高緯度に出現した小さな黒点をとらえました。

 

 図2は、4日に撮影された太陽の連続光全面画像と磁場分布画像を並べて見せています。図中の四角で囲まれた場所の中心に黒点があり、その位置は北緯28.8度、中央子午線からの経度差は東4.2度でした。

  図3では、黒点を確認しやすいように図2の中で四角形で囲まれた部分を切り出して拡大しています。左右の画像を見比べると、黒点が見えている位置に磁場のペアがあり西側 (右下方向) から白-黒 (N極-S極) と並んでいることがわかります。これは、北半球における第25周期の磁場配列です。 ================================

※1 NOAA: National Oceanic and Atmospheric Administration (米国海洋大気局。この機関によって、活動領域に番号が振られる。)

 ※2 GOES: Geostationary Operational Enviromental Satellite (米国 NOAAの地球環境観測衛星。地球に降り注ぐ軟X線の総フラックスも常時モニターしている。) ================================

図1. 2019年5月10日の太陽の連続光 (左) とHα 線 (右) 全面画像。矢印で指示したところに活動領域NOAA 12740と12741の黒点があり、Hα 線画像では黒点の周りにあるプラージュ (明るい領域) も見えています (太陽フレア望遠鏡 T4連続光観測装置とT1 Hα 線観測装置にて撮影)。

 

 

図2. 2019年5月4日に太陽フレア望遠鏡で撮影した太陽の連続光全面画像 (左) とFe 15648 Å赤外線偏光画像 (右)。

 赤外線偏光画像は太陽表面の視線方向磁場の分布を見せていて、N極が白、S極が黒で表されています。赤色の四角形は黒点がある場所を指示し、左のパネルで四角形の横に書かれているアルファベットと数字は黒点の座標を記述しています。

 右のパネルで赤い四角形で囲まれた場所を見ると、西側 (右下方向) から白-黒 (N極-S極) と並んでいて、観測された高緯度黒点が北半球における第25周期の磁場配列を持っていることがわかります。

 

 

図3. 図2の連続光画像と磁場分布画像から赤い四角形で囲まれた領域を切り出して並べた拡大比較図。連続光画像 (左) の中心に黒点が2つ並んでいて、磁場分布画像 (右) では黒点に対応する位置に白-黒 (N極-S極) の磁場のペアがあることがわかります。

 

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黒点相対数の変動 (13カ月移動平均)。緑線・青線・赤線はそれぞれ1996年以降の太陽全体・北半球・南半球の黒点相対数、点線 (黒) は過去の周期における黒点相対数を極小を1996年に揃えてプロットしたものです。黒点相対数が小さいときの変化を見やすくするため、グラフ縦軸の目盛りは小さい数を拡大して見せるような不等間隔になっています。

 前の太陽活動サイクルから今サイクルにかけての極小は、極小になった時の黒点相対数の値が特に小さくその時期も遅れました。極小の時期が遅くなったことにより、前回の太陽活動第23周期は平均よりも長く12年以上継続したサイクルになりました。

 現在の太陽活動サイクルは第24周期にあたり、太陽全面で見ると2008年末から始まって2014年に極大を迎え、その後は現在まで減少を続けています。一方で南北別に見ると活動の非対称性が目立ち、北半球が2011年後半に極大を迎えたのに対して南半球は遅れて上昇し2014年に極大を迎えました。その後、両半球とも次の極小に向かって黒点相対数が減少していますが、単純な減少ではなく一時的に停滞した期間があります。太陽全体での黒点相対数は2019年付近で減少が止まっているように見えますが、今サイクルと次のサイクルの境界となる極小期はまだ確定していません。 → 2019年の黒点相対数

5月の太陽:白色光 Hα線 赤外線偏光

 

 

 

 

 

 



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