① ””手のひらサイズの新種ザメ発見「ポケットから発光液発射!」米国""
(小さなマッコウクジラのような、ずんぐりとした丸みのある頭部を持つ小型サメ(Michael Doosey/Tulane University))
映画『ジョーズ』の影響で、サメといえば平和なビーチにパニックを引き起こす巨大人喰いザメを思い浮かべるが、中米メキシコでこのたび、体長14センチほどの手のひらサイズの新種が見つかった!胸ビレの近くにポケットのような部分があり、発光する液体を吐き出すというから、驚きだ。
この不思議なサメが見つかったのは2010年2月。米海洋大気庁(NOAA)海洋漁業局の魚類学者マーク・グレース(Mark Grace)さんが、ルイジアナ州沖から300キロ沖合の深海で、マッコウクジラの生態調査中に偶然発見。その後、テュレーン大学で生物の多様性を研究するチームと共同で分析を進めてきた。
2例目の発見ではなく新種だった!
(上はCTスキャン検査でとらえた3D高解像度画像、下はイラスト(NOAA Fisheries))
全長14センチのこのオスは、2015年に小型サメの新種として発表された。当時、1979年に東太平洋で捕獲され、現在はロシアのサンクトペテルブルクの博物館にメスの標本が収蔵されているポケットシャークの2例目の発見だとみられていたが、CTスキャン検査や遺伝子解析の結果、まったくの新種であることが判明。
動物分類学誌『Zootaxa(ズータクサ)』に先月掲載された論文によると、ロシアにある全長40センチの標本と比べて、メキシコ湾で見つかったサメは、脊椎の数が10本少なく、キバやアゴの形が異なるのにくわえて、何よりも目を引いたのは、胃と背中に発光物を分泌する器官があり、胸ビレの近くにあるポケットのような部分から、発光液を吐き出すという。
研究チームは新種の小型サメを「アメリカン・ポケット・シャーク(モリスクアマ・ミシシッピネンス)」と命名し、発光する液体の役割について、敵から身を守るための目眩ましか、獲物を引き寄せて捕食するためだと推測している。