◎◎ 芥川賞に高山羽根子さん「首里の馬」と遠野遥さん「破局」
2020年7月15日 16時28分
第163回芥川賞と直木賞の選考会が東京で開かれ、芥川賞に高山羽根子さんの「首里の馬」と遠野遥さんの「破局」が選ばれました。
□□⇨ 高山羽根子さん
芥川賞の受賞が決まった高山羽根子さんは、富山市生まれの45歳。多摩美術大学を卒業後、会社勤めのかたわら30代半ばから本格的に小説を書き始め、10年前(2010年)に短編小説「うどん キツネつきの」が創元SF短編賞の佳作に選ばれてデビューしました。
芥川賞は、3回目の候補での受賞となりました。
受賞作の「首里の馬」は、沖縄の小さな資料館に中学生のころから出入りする女性が主人公です。
沖縄の歴史や民俗と向き合おうとする女性の心情を、謎めいたコールセンターでの仕事で知り合った遠くにいる孤独な人たちとのやり取りや、台風の夜に迷い込んだ在来種の馬との出会いなど、印象的なエピソードを交えて描いています。
□□⇨ 遠野遥さん
芥川賞の受賞が決まった遠野遥さんは、神奈川県出身で東京在住の28歳。慶應義塾大学を卒業後、去年、「改良」で文藝賞を受賞してデビューし、現代人の孤独を冷徹な文体で描いた作風が高く評価されています。
今回、芥川賞は初めての候補での受賞となりました。
受賞作の「破局」は、母校のラグビー部の指導をしながら公務員試験の勉強をする、大学4年の男子学生が主人公です。
常に善良であることを心がけ、自分が正しいと考える規範で他人を裁く一方、自身の欲求には忠実な主人公の内面のいびつさが、女性との交際をきっかけにあらわになり、“破局”へと向かっていくさまを、冷たく淡々とした筆致で描いています。