手のひらサイズの小さな本に収められたのは20編の詩。
本の帯にある「子どもたちの手をひきながら、社会の行く末と夕飯の献立を考えていた頃――。」
1941年生まれの著者が、幼い「子どもの手」をひいていた頃の作品が40数年の時を経て文庫本として復刊された。
詩が生まれたころ、手をひかれていた子どもの一人、北村みきさんは身近な友人でもあり、衆議院19区国政対策委員長、2度の国政選挙にチャレンジした人。
みきさんの言葉で語られる「お母さん」のイメージが私の中にはあった。
一つ、ひとつと読み進むうちに「お母さん」のイメージが膨らみ、一度もお会いしたことがないとは思えない「実像」となっていた。
20編の詩のそれぞれの向こうに、それを生み出したドラマ~現実の暮らしと闘い・・・~が広がる。
表題となった「おしあわせなわたし」の一節。
誰もけおとさずに
もう少しでいいから ゆっくり暮らしたいから
車にぶつかったくらいで ふっとんでしまうしあわせでなく
ほんものの ガンとしたやつが欲しいから
ずっとずっとおしあわせなわたしでいようと思うのだ
「ほんものの ガンとした」しあわせを求め、歩き続けたに違いない著者の「その後」に思いをめぐらせる。
読み終わって、「続きを読みたい」と心から思う1冊の本に出会った。・
著者: 玉田ミタテ
発行所: 株式会社文芸社