夏原 想の少数異見 ーすべてを疑えー

混迷する世界で「真実はこの一点にあるとまでは断定できないが、おぼろげながらこの辺にありそうだ」を自分自身の言葉で追求する

コロナ危機「東京感染第二波 ロックダウンが最も有効なのだが…」

2020-07-04 21:42:12 | 政治
 東京都の感染確認公表値が、7月2日107、3日124、4日131と3日連続100を超えた。
 小池都知事は、その理由をPCR検査の検査数が多くなったことを第1にあげるが、確かにその部分については正しい。以前は、濃厚接触者にもかかわらず、無症状だと検査しないなど、徹底した検査制限を行っていたのだが、6月あたりから、東京都以外の区や病院等でもPCR検査を行うようになり、検査数が増えたからだ。毎日、日本のメディアは、新規感染者は何人と言うが、正しくは、confirmed cases確認例であって、感染者ははるかに多くいると推定されるのであるそのはるかに多い感染者の内、見つかるのがconfirmed cases確認例であって、新規に感染した者ということではない。統計上、検査数が増えれば、陽性者も増えるのは当然である。「夜の街」関連では、感染者が出れば、できる限り関係者全員のPCR検査をしているので、陽性者が発見されるという当然の結果に過ぎないからだ。例えば、4日に公表された確認数も、131人の内85人が濃厚接触者で、以前ならば、無症状者は検査しないので、かなりの人数が陽性者とならないが、今は全員検査するので、ほぼ全員の陽性者が判明するという具合だ。(このことは、以前はいかに陽性者を見逃してきたかを示し、都知事は自分の怠慢を反省しなければならないのだが、小池知事にはこういう自己反省の態度はみじんもない。また、検査数が増えたといっても、過去があまりに少なかったのであり、現在でも、諸外国ロンドン、パリ、ニューヨーク、モスクワ、ベルリンの50~100分1程度の検査数しか実施されていない。)
 しかし、増えているのは、濃厚接触確認例だけではない。感染経路不明者も前週比1.6~1.8倍で増加しているのである。この感染経路不明者とは、従来から行われているように、症状を呈した者を検査し、陽性が分かった人数である。感染者の内、症状が出る率は一定の幅にあると考えられるので、この数字の増加は、発見されていない感染者の増加を意味する。つまり、明らかに感染は拡大しているのである。そもそも、予防のための行動抑止(自粛であれ、強制であれ)を緩和すれば、世界中で起きているように、感染拡大は自然の理でもある。それを第二波と呼ぶかどうかは、政治的であり、自分の失敗を隠したい政治家は、そう呼びたがらないが、感染拡大が起きているのは間違いない事実であり、実行再生産率Rは、1以上のかなり高い値を示しているに違いないのである。
 小池都知事は、それに対し、「夜の街、不要不急な外出」を控えろと言うだけである。ここ1~2か月で、確かにいくらかは、医療体制と検査数も充実させた。しかし、このままの状態ならば、いずれ感染の劇的な増加に達する恐れは十二分にある。
 
 「新しい生活様式」をしろと厚労省は言う。しかし、3密を避けろというが、3密を避けようがない、酒を主に提供する飲食店は、自粛解除で営業している。人と人との接触で、酒を伴う飲食が最も感染リスクが高いと思われるが、当たり前のことだが、店の側は補償もないのに営業をやめろと言われても生活が成り立たず、やむにやまれず、店を開くことを選ぶのである。店が営業していれば、行くなと言っても、自粛疲れもあり、ある程度の人は行く。それに対して、国も都も行政側は何もせず、ただ、人びとにああしろこうしろと言うだけである。
 日本以外の多くの国は、感染拡大を阻止するため、ロックダウン等の強硬な公権力による行動抑制策を採用した。ロックダウンが最も有効と考えられるからである。奇妙なことに、日本では、このような公権力の行使は民主主義に反するという言説が飛びかう。奇妙だと言うのは、例えば、CNNにロックダウンを民主主義に反するというようなことを主張する人物は一人も出てこない。ロックダウンに反対するのは、トランプの共和党支持者ぐらいである。BBCでも、ロックダウン解除は早すぎるという主張がほとんどで、民主主義に反するからやめろなどと言う人物は皆無である。日本では、恐らくは、中国のやり方から、強硬な公権力の行使を嫌う意見が出ているのだろうが、もし、強力な公権力の行使を民主主義に反するというのなら、一切のquarantine検疫に反対すべきなのだ。公権力の行使以外にquarantine検疫は不可能だからだ。公権力の行使そのものが民主主義に反するのではなく、民意に基づかない公権力の行使が民主主義に反するのである。
 日本で、東京ロックダウンを主張するのは、森永卓郎ぐらいであり、実際には不可能である。さらに、一度緩和した行動抑制を部分的にも戻すのには、「公権力」以外にはない。だがそれは事実上、不可能である。結局、医療体制を十二分に拡充した上で、徹底したPCR検査を諸外国並みに実施し、感染実態の本当のところを把握して、その先の感染を予防する、それ以外にはないのである。
 
 
 
 

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