9日、東京で感染確認数が200を超えた。政府も小池都知事の「夜の街」とPCR検査数が増えたことを強調し、確認数が多いのは、そのせいだと言う。感染拡大が起きていることを否定したい本音が見え見えである。しかし、ウイルスは「夜の街」で自然発生して湧いて出るわけではない。市中で感染拡大があり、それが「夜の街」に伝染し、そこで多く見つかっているに過ぎないのである。
確かに、「夜の街」でかなりの数のPCR検査を実施したところ、陽性者が増えたというのはその部分では正しい。しかし、感染経路不明者は明らかに増えているのであり、感染の拡大は隠しようがない。そもそもそこには、感染拡大の大きな要因があるのでる。
感染拡大の要因が、経済再開であるのは間違いない。行動抑制を緩め、経済を再開したことで、世界中どこの国でも、程度の差はあるが、感染の拡大は起きている。問題は、その時にどう対処するかである。
西ヨーロッパでは、概ね感染の縮小化に成功した。しかし、経済再開で感染拡大の兆候が見えると、政府と自治体が、すぐにその場所のロックダウンを含めた行動抑制策をとる。そのニュースは、英国でもスペインでもドイツでも事欠かない。
それとは正反対に、中央政府が経済再開しか方針をとらない国がある。アメリカである。アメリカは、新規感染確認数を毎日更新している。7月7日、1日の確認数が6万人を超えている。人口が日本の3倍なので、日本で言えば、2万人になる。日本の数十倍以上の数を、毎日、毎日、出し続けているのである。そして、それが減少する兆候は今のところまったくないのである。
その理由について、CNNは毎日、明確に同じことを言い続けている。多くの州で、経済の再開、即ち行動抑制の解除が早すぎた、と。これは、CNNに登場するほとんどすべての医療専門家の意見でもあり、それ以外にはあり得ないだろう。勿論、そこには、経済優先のトランプ政権と共和党の政治的立場がある。総じて、右派は経済を優先するからである。(その極端な例が、ブラジルのボルソナロで、この極右大統領にとっては、優先すべきは経済だけである。)
アメリカは、目指している経済の再開ができるのかと言えば、このままでは、逆に経済は疲弊する一方である。感染の拡大と経済は両立しないからだ。感染の封じ込めと経済の再開は、西ヨーロッパのように状況を詳細に見て、判断しなければならない。
西村経済再生相は、口先では「警戒感をもって対応しなければならない」と言うが、再開した経済を再び抑制する気はないのは「移動の自粛は求めない」と敢えて言ったことでも明らかだ。そこには、経済優先が隠されている。だから、「第二波」とは認めたくないのだ。小池都知事もその方向性は同じである。政府も都知事も右派メディアも(例えば、週刊新潮は「第二波パニック」の作られ方などと、感染拡大を完全否定している)経済優先にかじを切ったのだ。
日本の状況が、欧米ほど悪くはなかったのは間違いない。しかし、経済優先だけで突っ走れば、感染拡大を止めることはできない。それは、アメリカが証明していることである。感染数はアメリカより少ないが、傾向として感染が止まらないということになりかねない。特に、日本は厚労省が感染状況の詳細データ(PCR検査の能力、どこの機関がいつどこで行ったのか実際の実施件数、具体的な医療実態等)を出さないので(出さないというよりも、データを収集する意図がなく、持っていない可能性が高い)、感染状況の詳細がつかめない。このままでは、だらだら、ぐずぐず、終わりのない感染状況がいつまでも続くことになるだろう。「医療体制は充分」と政府は何を根拠で言っているのか分からないが、いずれ、その能力を超えた重症感染者が出るだろう。そして、明らかに何人かは、経済優先の裏で命を落とすのである。
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