下記のグラフは2020年今回の都知事選NHKの出口調査による年代別投票先である。
下は前回2016年都知事選の年代別投票先である(朝日新聞デジタルによる)
この二つを見比べると大きな違いが二つある。
1⃣.前回は小池氏の支持が最も高いのが40代で、今回は年齢が上がるごとに支持が上がり、70歳以上が最も高い。
前回との状況の違いは、今回は当然にコロナ危機の真っ最中ということであり、それが多大な影響を与えているのは間違いない。コロナ危機によって、不手際極まりない安倍政権は大きく支持率を下げた。その中で支持を上げてきたのが、小池氏であり、もう一人大阪府知事維新の吉村氏であることは、誰にも異論はないだろう。
この二人はどうやって、支持を獲得したのか? それは言うまでもなく、テレビへの出演である。平日昼間、各ワイドショーは、小池、吉村両氏、それに維新橋下徹をこぞって出演させた。
小池、吉村両氏は、コロナ危機対応の安倍政権の不手際に対し、いかに自分たちが「一生懸命やってる」かを語り、テレビはそれを無批判に放送した。また、安倍晋三の人気落ちに対し、テレビは同じ右派である橋下徹の出演機会も増やした。これが、明らかに今回の小池氏の勝利に貢献し、無名の維新支持の小野氏を本人が「すがすがしい」と言うほどの善戦をさせたのである。
小池氏の勝利がテレビのおかげなのは、今回は年代が上がるほど支持が高いことが証明している。年代が高いほど、平日昼間のワイドショーを視聴する率が高いからである。
2⃣.10代~20代の支持が小池氏が低いのは変わらないが、前回は左派(革新系、リベラルという表現もあるが、平等主義の観点から左派という表現が適切である)の鳥越氏の支持が20代で最も低く、今回は10代~20代で左派の宇都宮氏が30代から60代よりも多い。(山本氏は一見左派よりだが、ポピュリズム的色彩が濃いので、政治的左右の判別は曖昧)
恐らくはこれもテレビ視聴に関係していると考えられる。10代~20代は、上の年代よりテレビを観ないので、その影響が少ない、つまり、小池、維新小野への支持が低いと考えられるからだ。見た目も語り口も地味な宇都宮氏への支持が、他の世代より比較的高いということは、政治を判断する視点が、かなり冷静に深くなっているとも想像できる。若い世代でこのような傾向が出てきたとすれば、小さいが明らかな希望である。
いずれにしても、これらのことから言えることは、テレビは政治に対する影響力をいまだに大きくもっているが、若い世代ほどテレビ離れが進んでいるので、徐々に低下していくだろうということだ。今のところは、野党側はマスメディア、特にテレビにどう対処していくのか、それがやはり大きな課題の一つなのだ。それを何とかしない限り、選挙には勝てそうもない。
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