8月7日、東京都でコロナウイルス感染確認者が462名、ここ数日全国でも1,000名以上の感染確認が続いている。誰が見ても、自然に考えれば第二波の感染拡大が起きている。当然のように、各自治体首長は深刻な危険性を危惧している。ところが、政府だけが、重症患者は多くないなどと感染拡大の危険性は認めない。重症患者が多くないという論理は、火事は起きているが全焼になっていないので大丈夫と言っているようなものである。あまりに馬鹿馬鹿しいので、誰も信じてはいないだろう。
このような馬鹿げたことを言う政府は、アメリカのトランプとブラジルのボルソナロの政権ぐらいだろう。それでも、日本国民は暴動を起こすでもなく、デモをするわけでもない。結局、政府は信用できないので、自分の身は自分たちで守るしかないという結論に落ち着く。
日本のコロナウイルスによる死亡数が、欧米主要国に比べて少ない理由を麻生副総理は、「民度」が高いからと言った。言葉の使い方は間違いだが、政府は何もしないので、国民自身が動くしかないという現実を表現したものとして正しい。現在の感染拡大を封じ込めるのには、やはり、国民が自主的に行動制限をするしか方法はないのだ。なぜならば、政府は信じ難いほどに愚かだからである。
企業のいわゆるエコノミストである三菱UFJリサーチ&コンサルティング の研究主幹鈴木明彦は、「景気の先行きにとって一番のリスク要因は、新型コロナの感染が拡大してくることだ」と言う(ロイター日本語版8月3日)。この指摘は的を射ている。政府はGoToキャンペーンで、旅行に行けと促すが、人びとが旅行を渋る要因が感染拡大なのである。旅行に行くことが感染拡大のリスクとなるのであって、旅行業界にとってのリスクをわざわざ政府が作りだしている、という矛盾した構図になっているのだ。これほど愚かなことはない。目先に金儲けに走っても、根本の原因である感染拡大の不安が解決しないのだから、すぐに失敗に終わるという典型的な話である。現に、旅行業界の経営はまったく上向く気配がないのである。
感染拡大を抑える要素は、例えば世田谷区のように各自治体で、PCR検査を大幅に増やし、陽性となった人のその先の感染を予防するというものがいくらかは期待できる。いくらかは、というのは、政府は口先で検査拡充の必要性を言うが、実際にはその現実的施策をしていない。検査の大量拡充には自治体レベルでは限界があり、政府の支援なしでは、必要と考えられる現在の10倍以上の検査が難しいからである。
それ以外の感染拡大を抑える要素は、3月から4月の国民自身が行った自粛以外にはありそうもない。それと匹敵するぐらいの自粛をすれば、かなり感染拡大は抑え込めるだろう。しかし、国民の忍耐はどこまであるのだろうか?
感染拡大の予防どころか、感染を広げかねない政策を打ってくる政府しかもっていない国民は、愚かな政府を引きずりおろす気力もない国民は、やはり黙って自粛という手段を選ばざるをえないだろう。悲しいことに……。
経営者と社員が一体化しての奮闘ぶりは伝わったが、国や自治体の支援政策は置き去りにされ、労組の影も形もなくGOTOキャンペーンの称賛番組と受けとめた。