2月29日

日々の思いつき及び読書の感想

読書 鎌田慧著 『六ヶ所村の記録 核燃料サイクル基地の素顔(下)』(岩波現代文庫)

2012-03-26 22:32:20 | 読書
下巻は、むつ小川原地区の大規模開発が挫折した後、国家石油備蓄基地が出来たこと、その基地ができる前の六ヶ所村弥栄地区の人々の話、1984年に電事連からの要請があった核燃料サイクル基地(ウラン濃縮工場、再処理工場、放射性廃棄物貯蔵施設)の計画を六ヶ所村が短期間で受け入れたこと、反対派への妨害などが書かれている。
「(青森県議会が政府の追随機関化していることから)放射能の危険が出現する前に、すでに民主主義が侵蝕されている。」(214ページ)だから、地元の人々の声は反映されない仕組みになっている。
「カネを握ると、しだいに開発反対の決意が薄ら」ぎ、地域社会は壊れ、残って暮らすのが難くなったところで、集団移住の話が浮かんでくる(216ページ)。ただのような土地に値段がつくとなると、人が変わってしまう。
「原発政策とは、原爆とおなじように、ひとに害を加えて自分だけ繁栄しようという、あさはかな思想のあらわれでしかない。」(307ページ)その「あさはかな思想」が具体化したのは、福島第一原発事故だったのではないかと思われる。
http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/603232+/top.html
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