本書は、各電力会社と、中央省庁、司法(裁判官及び検察官)、地方自治体及び地方議員との人的な癒着(「天下り」)を明らかにしている。著者は主に各電力会社の有価証券報告書等の公開されている資料にあたり、本書を書いた。本書に記載されているだけでもかなりの「親密さ」はわかるが、公開されていない情報(本人以外の親族が電力会社に就職している、仕事を請け負っている等)があることを考えると、相当のつながりがあると判断してよい。
言うまでもなく、このような状態で、各電力会社が推進する原発に対して、「中立的」な立場から判断できる国の機関は少ないといわざるを得ない。このため、原発にはっきりと「NO」を突きつけることのできる人間を選挙を通して国会に送り込んで、このような関係に大きなナタをふるう必要があるが、残念ながら、それはあまり起きないだろう。悲しいことには、福島に加えて、西日本にある原発のどこかで重大な事故が起きない限りは、本当に何も変わらないかもしれない。しかし、その事故が起きれば、大勢の人が被曝して病気となり、日本には住めなくなるかもしれないが。