栃木県足利市で起きた幼女殺害事件で、虚偽の自白の強要によって、無実にもかかわらず、有罪判決を受けて17年半もの間刑務所に拘束され続けた菅家さんと、その弁護を控訴審から引き受けた佐藤弁護士との共著である本書には、足利事件の概要や、なぜこのような冤罪事件が発生したのかという分析がなされている。無罪かどうかを再度検討する再審決定で、決定的な証拠されたDNA鑑定の再鑑定がなされて、当時のDNA鑑定が刑事事件の証拠としては不適切であることが明らかとなった。
菅家さんは晴れて無罪となったが、失われた17年以上の時間は戻ってこない。また、拘束され続けていたため、両親の死にも立ち会うことができなかった。そして、真犯人は発見できていない(時効成立)。
最近では、同様の冤罪事件である布川事件の再審で、無罪判決がなされた。
やはり、冤罪事件を防ぐためには、警察や検察の自白偏重が変わらない以上、取調べの全過程の録音および録画が避けられないだろう。本書で、菅家さんも取り調べの録音・録画を主張している。