2月29日

日々の思いつき及び読書の感想

石川禎浩著 『革命とナショナリズム1925-1945』(岩波新書)

2012-05-02 02:09:46 | 読書
「シリーズ中国近現代史」の三冊目である本書は、1925年から1945年までの間が対象となっている。
孫文が1925年3月に亡くなった後、蔣介石率いる国民党か、毛沢東や周恩来などの中国共産党のいずれが、中国を治めるのかが、この時期の重要な点である。
いずれの党にとっても状況を困難にしたのが、日本軍の存在であった。1928年4月に第二次山東出兵、同年5月済南事変、そして1931年の満州事変と、1945年まで戦争が続いたのだから。
この済南事変は、「出先機関(現地軍)が事件を拡大・激化させ、それに軍中央・政府が追従して軍増派を行い、それを『暴支膺懲』(乱暴な中国に懲罰を加える)を叫ぶ世論が後押しをするという一連の呼応関係の面からいっても、のちの日本の対中国侵略行動パターンをすべて備えたものであった」(50ページ)という著者の指摘は、重く受け止められるべきである。
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