
帰宅すると食卓の上に乗せられていた。夫が庭の柿をもいできたようである。
以前に書いたかもしれないが、柿は亡くなった義母が好きな果物で、というより酸っぱいものが全般に苦手だった義母がリンゴ、ぶどう、みかんなどの果物の酸味さえもNGで、唯一安心して食べられる果物だったのである。
そして、艶のあるオレンジ色の実はおまつりしてある仏壇もパッと華やいだ雰囲気に変えておりました。
いやもう、この柿というのは青空をバックに日本の原風景を象徴するシロモノで、他の果物を圧倒して“懐かしさ”を感じさせる果物じゃないすか?
「柿が赤くなれば医者が青くなる」ということわざがあるが、この暖か色は見てるだけで元気が出てくるような気分にもなる。
有名な子規の「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」という俳句も思い出すが、ここでは、他のどんな果物も取って替われない“ゆるぎなさ”も感じる。
とにかくそのツヤと色には食べる前に毎度見惚れてしまうのである。