ワルポンの車には「クルマルート検索機」いわゆる「ナビ」は付いていません。
「方向オンチ」の方とは違い、昔から方向感覚は良いほうで、あまり道を間違うことはありません。自慢です。
それにナビの感情の無い無機質な女性の声が繰り返されるのも嫌いです。まだ、うちのナビゲーターの方が、時々居眠りをしますけれど、マシです。
☆ ☆ ☆ ☆
安楽城小学校を後にして、「金山杉」を探し求めてドライブを続けました。
ところが山の道路は、山の尾根が張り出していれば、その山裾を大きく回ったり、川が蛇行していれば、それに沿って曲がりくねったり、前面に山が立ち塞がればトンネルに潜ったり、山や林や深い谷で視界が見通せず、すっかり方向感覚が狂ってしまいました。
道を聞こうにも人が居ません、民家が有りません、標識も見当たりません。
どっちに向いて走っているのか確かめようが無いのです。
しばらく走ると、鮭川村に出ました。
いけない! これは「金山杉」の金山町とは反対の方角に来てしまったのです。
うむ、そうだ! ここ鮭川村には「にほんの里100選」の一つがある・・・
急に思いついて、くだんの御三人様に「金山杉は止めて、里山見物に行こうよ!」と、恐る恐る提案してみましたら、案外あっさりと賛同を頂きました。
でも、里山の名称も、何処にあるのかも知りません。
駅前の観光案内所で聞いてみようと、奥羽本線・羽前豊里駅に行ってみましたが無人駅で、何時来るか判らない列車を待ってたむろしていた高校生がいたので聞いてみたのですが、「知らない」という。
じゃあ、役場か郵便局に聞いてみよう!
駅から2kmほど先の京塚郵便局に飛び込んだところ、判らないという。
でも、ご親切に、役場の産業振興課に電話で聞いてくれました。
「ナビ付いてますか?」、「無い」・・・ じゃあ、と云う事で地図を描いてくれました。
「ここから県道35号線を2kmほど戻り、信号二つ目を左折し県道58号線へ、川を渡り、すぐのT字路を右折、2~3km行ったら、“みやまの里木の根坂”の看板のあるところを右折し県道377号線へ、山道を約10km行った先です。狭くて危険な道ですから気をつけて・・・」と、さすが郵便配達のプロです。
☆ ☆ ☆ ☆
「にほんの里100選」の一つ、山形県鮭川村にある「曲川木の根坂」(まがりがわきのねざか)、そこには手打ち蕎麦屋があるという・・・楽しみに出発です。
ヘアピンカーブ、乗用車もすれ違えないような細い道で所々に待避所が・・・、急な上り坂・下り坂、切り立った山の斜面に作られた道でガードレールも無く、下を覗くと目もくらみそうな断崖絶壁・・・手に汗、背中に冷や汗を掻きながらの運転です。
少々オーバーですが、A級ライセンス取得者で無いと運転できません。
人っ子一人に会いません。
でも、山菜取りの人たちの車が所々に停められていました。
こんな山奥の曲がりくねった山道が、バス通りとは・・・
まだ日本にもこんな秘境が残っていたのです。
☆ ☆ ☆ ☆
やっとの思いで「みやまの里・木の根坂」に着きました。
そこには少しばかりの棚田と畑が広がっていました。
うぐいすが、我々を歓迎の意味で、そこかしこで「ホ~ホケキョ」とさえずっています。谷渡りは、まだ上手く出来ないようです。
道端の草むらには、すぐに手一杯採れそうなぐらいにワラビがにょきにょき生えていました。ここまで来なければ絶対に出会えない、正に別天地でした。
でも、手打ち蕎麦屋は開いていません。残念!
一番奥の家の玄関には、地元選出の加藤紘一先生の特大のポスターが硝子戸越しに張ってありました。
家の前の畑で、さやえんどうに竹で手をやっていたおじいさんに「先生の後援会ですか?」と訊ねると、「そうだ。毎年、正月礼に来てくれるよ」と自慢げでした。
閉まっている手打ち蕎麦屋のことを訊ねると、「今日と明日は休みだ」と言う。
曲川小学校・木の根坂分校があったのだが、子供が居なくなってしまったので閉校になってしまったこと、それで校舎で手打ちそばを始めたこと、予約すれば農作業や山菜取りが体験できて体育館にも泊まれることなどを話してくれました。
名にし負う豪雪地のため山を下りた家も多く、今では9戸しか残っていないと云う。
集落は井上一族で、みんな井上性であること、「結(ゆい)」と云われる共同作業でお互いに結束が固く助け合って暮らしていること・・・などと話してくれました。
国道に出る近道がないか訊いたら、「このまま真っ直ぐ走ったら、すぐだ、一本道だ」と言うので、昼も近いので、先へ急ぎました。
☆ ☆ ☆ ☆
しばらく走ると、バスの終点で、ほんの数戸の深沢という集落に着きました。
集落を過ぎて真っ直ぐ進むと砂利道になりました。間違ったと思って戻り、枝分かれしている道に入ってみても、それは皆行き止まり、夫々の家へ行く道です。
真っ直ぐの一本道ということだったので、再び戻って、さっき真っ直ぐ進んだ砂利道を更に先へと愛車を進めました。
砂利道は、砂利というより石ころ道になってきました。大きな水溜りも出てきたりしましたが、構わず先へ進みました。
車は立て揺れ、横揺れがますます激しくなってきましたが、所々に山菜取りの車が止まっていましたから、安心して、「もうすぐ良い道に出れるぞ!」と自分に言い聞かせながら、どんどんどんどん進みました。
御三人様からは、「何時になったら昼食が取れるのか」とブーイングの嵐です。
でも、スピードは、揺れが激しくて歩く程度の速さしか出せません。この先どうなのか少し心配になってきました。
盛んにさえずるうぐいすの声も耳に入らなくなってきました・・・
やがて、路肩に停めた車の中で昼食をとっている山菜取りの若者を見つけました。
「大きな通りまで、後どのくらいか?」と聞くと、「この先は行き止まりだ」という。
☆ ☆ ☆ ☆
「ええ~ええっ!」と絶句!
昼飯の為に、近道しているつもりだったのに・・・
方向オンチになってしまったのかなあ?
いえ、単なるボケの始まりじゃないかって・・・
いつものことながら、行き当たりばったりの思い付きのドライブでした。
追伸
御三人様へ
ミステリーツアー/サプライズドライブに、ご参加・お付き合い下さいまして有難うございました。少なからず、不安と不満を与えてしまいまして、誠に申し訳ございませんでした。
(2009-5-19)
「方向オンチ」の方とは違い、昔から方向感覚は良いほうで、あまり道を間違うことはありません。自慢です。
それにナビの感情の無い無機質な女性の声が繰り返されるのも嫌いです。まだ、うちのナビゲーターの方が、時々居眠りをしますけれど、マシです。
☆ ☆ ☆ ☆
安楽城小学校を後にして、「金山杉」を探し求めてドライブを続けました。
ところが山の道路は、山の尾根が張り出していれば、その山裾を大きく回ったり、川が蛇行していれば、それに沿って曲がりくねったり、前面に山が立ち塞がればトンネルに潜ったり、山や林や深い谷で視界が見通せず、すっかり方向感覚が狂ってしまいました。
道を聞こうにも人が居ません、民家が有りません、標識も見当たりません。
どっちに向いて走っているのか確かめようが無いのです。
しばらく走ると、鮭川村に出ました。
いけない! これは「金山杉」の金山町とは反対の方角に来てしまったのです。
うむ、そうだ! ここ鮭川村には「にほんの里100選」の一つがある・・・
急に思いついて、くだんの御三人様に「金山杉は止めて、里山見物に行こうよ!」と、恐る恐る提案してみましたら、案外あっさりと賛同を頂きました。
でも、里山の名称も、何処にあるのかも知りません。
駅前の観光案内所で聞いてみようと、奥羽本線・羽前豊里駅に行ってみましたが無人駅で、何時来るか判らない列車を待ってたむろしていた高校生がいたので聞いてみたのですが、「知らない」という。
じゃあ、役場か郵便局に聞いてみよう!
駅から2kmほど先の京塚郵便局に飛び込んだところ、判らないという。
でも、ご親切に、役場の産業振興課に電話で聞いてくれました。
「ナビ付いてますか?」、「無い」・・・ じゃあ、と云う事で地図を描いてくれました。
「ここから県道35号線を2kmほど戻り、信号二つ目を左折し県道58号線へ、川を渡り、すぐのT字路を右折、2~3km行ったら、“みやまの里木の根坂”の看板のあるところを右折し県道377号線へ、山道を約10km行った先です。狭くて危険な道ですから気をつけて・・・」と、さすが郵便配達のプロです。
☆ ☆ ☆ ☆
「にほんの里100選」の一つ、山形県鮭川村にある「曲川木の根坂」(まがりがわきのねざか)、そこには手打ち蕎麦屋があるという・・・楽しみに出発です。
ヘアピンカーブ、乗用車もすれ違えないような細い道で所々に待避所が・・・、急な上り坂・下り坂、切り立った山の斜面に作られた道でガードレールも無く、下を覗くと目もくらみそうな断崖絶壁・・・手に汗、背中に冷や汗を掻きながらの運転です。
少々オーバーですが、A級ライセンス取得者で無いと運転できません。
人っ子一人に会いません。
でも、山菜取りの人たちの車が所々に停められていました。
こんな山奥の曲がりくねった山道が、バス通りとは・・・
まだ日本にもこんな秘境が残っていたのです。
☆ ☆ ☆ ☆
やっとの思いで「みやまの里・木の根坂」に着きました。
そこには少しばかりの棚田と畑が広がっていました。
うぐいすが、我々を歓迎の意味で、そこかしこで「ホ~ホケキョ」とさえずっています。谷渡りは、まだ上手く出来ないようです。
道端の草むらには、すぐに手一杯採れそうなぐらいにワラビがにょきにょき生えていました。ここまで来なければ絶対に出会えない、正に別天地でした。
でも、手打ち蕎麦屋は開いていません。残念!
一番奥の家の玄関には、地元選出の加藤紘一先生の特大のポスターが硝子戸越しに張ってありました。
家の前の畑で、さやえんどうに竹で手をやっていたおじいさんに「先生の後援会ですか?」と訊ねると、「そうだ。毎年、正月礼に来てくれるよ」と自慢げでした。
閉まっている手打ち蕎麦屋のことを訊ねると、「今日と明日は休みだ」と言う。
曲川小学校・木の根坂分校があったのだが、子供が居なくなってしまったので閉校になってしまったこと、それで校舎で手打ちそばを始めたこと、予約すれば農作業や山菜取りが体験できて体育館にも泊まれることなどを話してくれました。
名にし負う豪雪地のため山を下りた家も多く、今では9戸しか残っていないと云う。
集落は井上一族で、みんな井上性であること、「結(ゆい)」と云われる共同作業でお互いに結束が固く助け合って暮らしていること・・・などと話してくれました。
国道に出る近道がないか訊いたら、「このまま真っ直ぐ走ったら、すぐだ、一本道だ」と言うので、昼も近いので、先へ急ぎました。
☆ ☆ ☆ ☆
しばらく走ると、バスの終点で、ほんの数戸の深沢という集落に着きました。
集落を過ぎて真っ直ぐ進むと砂利道になりました。間違ったと思って戻り、枝分かれしている道に入ってみても、それは皆行き止まり、夫々の家へ行く道です。
真っ直ぐの一本道ということだったので、再び戻って、さっき真っ直ぐ進んだ砂利道を更に先へと愛車を進めました。
砂利道は、砂利というより石ころ道になってきました。大きな水溜りも出てきたりしましたが、構わず先へ進みました。
車は立て揺れ、横揺れがますます激しくなってきましたが、所々に山菜取りの車が止まっていましたから、安心して、「もうすぐ良い道に出れるぞ!」と自分に言い聞かせながら、どんどんどんどん進みました。
御三人様からは、「何時になったら昼食が取れるのか」とブーイングの嵐です。
でも、スピードは、揺れが激しくて歩く程度の速さしか出せません。この先どうなのか少し心配になってきました。
盛んにさえずるうぐいすの声も耳に入らなくなってきました・・・
やがて、路肩に停めた車の中で昼食をとっている山菜取りの若者を見つけました。
「大きな通りまで、後どのくらいか?」と聞くと、「この先は行き止まりだ」という。
☆ ☆ ☆ ☆
「ええ~ええっ!」と絶句!
昼飯の為に、近道しているつもりだったのに・・・
方向オンチになってしまったのかなあ?
いえ、単なるボケの始まりじゃないかって・・・
いつものことながら、行き当たりばったりの思い付きのドライブでした。
追伸
御三人様へ
ミステリーツアー/サプライズドライブに、ご参加・お付き合い下さいまして有難うございました。少なからず、不安と不満を与えてしまいまして、誠に申し訳ございませんでした。
(2009-5-19)