お酒のおいしい季節となりました。
旨い酒の肴が少々と、漬物ぐらいで飲める気楽な店が良い。
縄のれんをくぐると、「いらっしゃーい!」と、よく通る、明るく澄んだ若い声。
店内を眺め回すと、低い背もたれの付いた木のイスが3脚と5脚、L字型のカウンターの夫々に並んだ小さな店だ。
5個並んだ一番奥の席に先客が一人いた。
その先客と横並びの位置で、L字型カウンターの角の一番手前に座った。
「いらっしゃいませ。」と先ほどの出迎えの声とはがらりと変わり、ソフトでかわいい、しかもおしとやかな声と共に、着物の袖を片手で抑えて白い腕を目の前に差し出して、「どうぞ。」と、何か言いたげな色っぽい流し目と共にお絞りを渡された。
手と顔を拭きながら、目ざとく店内を見渡すと、目の前の白木の戸棚には上物の小皿や小鉢、お椀など、かたちの良い萩焼の一合徳利と大きからず小さからずのお猪口。上品な調度品の数々。
カウンターもきれいな幅広の欅の一枚板。和風の品の良い店だ。清潔さが漂っている。
先客の応対をしている横顔をしげしげと観察すると、色白でぽっちゃり型のかわいい面立ち。年の頃、三十路に届くか届かぬかの着物の良く似合うなかなかの別嬪さんだ。
ワルポン、早速に一目ぼれ。
先客の料理の出し方が一通り済むと、経木に墨で書いたお品書きを手渡しながら、「何になさいましょ。」と微笑みながらワルポンの目を真っ直ぐに見つめて聞いてきた。
お品書きを見ながら、「お酒を一本貰おうかな、ぬる燗で。」、「それから鯵の塩焼きに、塩辛も」と鷹揚に注文した。
「はい、承りました、有難うございます、少々お待ち下さい。」と膝をちょこんと曲げて頭を軽く下げ、可愛く微笑んだ。えくぼが、又、可愛い。
鯵とは、ちょっと安そうなものを頼んでしまったかな、鯛の西京焼きでも頼めば良かったかなとか、頭の中で見栄を張った。
小さな店のカウンター越しのおでんなべには湯気がゆらゆらと立ち揺らいでいた。
「うわーッ!おでん美味しそうだな!大根とコブにフクロ、たまごを下さいな、汁をたっぷりかけてよ。」などと元気っぽく声をかけると、すぐさまよそってくれた。
汁をすすると、コブとかつお、たまねぎの味がベースの良く煮込まれたおでんの旨味が口いっぱいに広がった。塩加減といい最高の塩梅だ!
「おひとつどうぞ。」燗のついた銚子に、白魚のような両手を添えて酒を注いでくれた。
アップにした髪が数本、白いうなじにほつれかかってなまめかしい。
鼻の下が伸びっぱなしで、よだれを垂らしてはいないと思うが、生唾を飲み込んだのか、お酒を飲み下したのか、ぐびっと盃を飲み干した。
今宵の酒は最高だべ!うへへっ。
今日はついてる日だ、きっと若後家の女将さんだ、なじみ客になろう、お酒を注しつ注されつほんのり酔って、・・・・・・、などなど、ちびちびやりながら妄想に耽っていた。
「はい、お待ち遠様!」、図太い声にびっくりして我に返った。
角刈り頭に絞り鉢巻のイケ面の良い男、飛び切りの二枚目だ。鯵の塩焼きを出しながら、「毎度、有難うございます。」
夫婦でやっている店だという。美男美女を絵に、描いた様な夫婦だ。
店の奥に調理場があって、旦那は板さんなのだとか。
何だよ!こちとら、てっきり若後家の女将さんかと思ったよ。(ワルポンは飛び切りの独りよがりの思い込みが過ぎる性格なのです。)
でも、料理は旨いし、酒も良い。
呑み助にはこれで十分幸せだ。
てな、夢を見ませんか?
どなたか、良い店ありましたらご紹介下さいよぅ。
旨い酒の肴が少々と、漬物ぐらいで飲める気楽な店が良い。
縄のれんをくぐると、「いらっしゃーい!」と、よく通る、明るく澄んだ若い声。
店内を眺め回すと、低い背もたれの付いた木のイスが3脚と5脚、L字型のカウンターの夫々に並んだ小さな店だ。
5個並んだ一番奥の席に先客が一人いた。
その先客と横並びの位置で、L字型カウンターの角の一番手前に座った。
「いらっしゃいませ。」と先ほどの出迎えの声とはがらりと変わり、ソフトでかわいい、しかもおしとやかな声と共に、着物の袖を片手で抑えて白い腕を目の前に差し出して、「どうぞ。」と、何か言いたげな色っぽい流し目と共にお絞りを渡された。
手と顔を拭きながら、目ざとく店内を見渡すと、目の前の白木の戸棚には上物の小皿や小鉢、お椀など、かたちの良い萩焼の一合徳利と大きからず小さからずのお猪口。上品な調度品の数々。
カウンターもきれいな幅広の欅の一枚板。和風の品の良い店だ。清潔さが漂っている。
先客の応対をしている横顔をしげしげと観察すると、色白でぽっちゃり型のかわいい面立ち。年の頃、三十路に届くか届かぬかの着物の良く似合うなかなかの別嬪さんだ。
ワルポン、早速に一目ぼれ。
先客の料理の出し方が一通り済むと、経木に墨で書いたお品書きを手渡しながら、「何になさいましょ。」と微笑みながらワルポンの目を真っ直ぐに見つめて聞いてきた。
お品書きを見ながら、「お酒を一本貰おうかな、ぬる燗で。」、「それから鯵の塩焼きに、塩辛も」と鷹揚に注文した。
「はい、承りました、有難うございます、少々お待ち下さい。」と膝をちょこんと曲げて頭を軽く下げ、可愛く微笑んだ。えくぼが、又、可愛い。
鯵とは、ちょっと安そうなものを頼んでしまったかな、鯛の西京焼きでも頼めば良かったかなとか、頭の中で見栄を張った。
小さな店のカウンター越しのおでんなべには湯気がゆらゆらと立ち揺らいでいた。
「うわーッ!おでん美味しそうだな!大根とコブにフクロ、たまごを下さいな、汁をたっぷりかけてよ。」などと元気っぽく声をかけると、すぐさまよそってくれた。
汁をすすると、コブとかつお、たまねぎの味がベースの良く煮込まれたおでんの旨味が口いっぱいに広がった。塩加減といい最高の塩梅だ!
「おひとつどうぞ。」燗のついた銚子に、白魚のような両手を添えて酒を注いでくれた。
アップにした髪が数本、白いうなじにほつれかかってなまめかしい。
鼻の下が伸びっぱなしで、よだれを垂らしてはいないと思うが、生唾を飲み込んだのか、お酒を飲み下したのか、ぐびっと盃を飲み干した。
今宵の酒は最高だべ!うへへっ。
今日はついてる日だ、きっと若後家の女将さんだ、なじみ客になろう、お酒を注しつ注されつほんのり酔って、・・・・・・、などなど、ちびちびやりながら妄想に耽っていた。
「はい、お待ち遠様!」、図太い声にびっくりして我に返った。
角刈り頭に絞り鉢巻のイケ面の良い男、飛び切りの二枚目だ。鯵の塩焼きを出しながら、「毎度、有難うございます。」
夫婦でやっている店だという。美男美女を絵に、描いた様な夫婦だ。
店の奥に調理場があって、旦那は板さんなのだとか。
何だよ!こちとら、てっきり若後家の女将さんかと思ったよ。(ワルポンは飛び切りの独りよがりの思い込みが過ぎる性格なのです。)
でも、料理は旨いし、酒も良い。
呑み助にはこれで十分幸せだ。
てな、夢を見ませんか?
どなたか、良い店ありましたらご紹介下さいよぅ。