白井健康元気村

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花の香りが告げる秋本番 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆⑲

2021-10-07 07:29:48 | 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆

【気まま連載】帰ってきたミーハー婆⑲

花の香りが告げる秋本番

岩崎邦子 

 

 

 9月も終わりに近づく頃だった。
 朝晩は爽やかになってくる。かすかに金木犀(キンモクセイ)の香りが漂う。
「どこ? どこに金木犀があるのかなぁ」
 誰もが怪訝な顔をしている。八千代市にあるパークゴルフ場のコースでプレー中の出来事だ。きっと周りの雑木林の中にあるに違いないと思った。
 住宅街の散歩に出かけたときも、
「あ、金木犀の匂いがするね~」
 と、夫に話しかけるが、「我関せず」の顔をしている。
 少し歩くと、生垣にされている金木犀が見えた。まだ小さいが、白っぽい蕾を付けていた。
 どうやら私の嗅覚は、金木犀にかなり敏感に反応しているらしい。夫に言わせると、いい匂いばかりに反応するのではないのだそうだ。夫の加齢臭に対しても、「臭いな」の言葉を吐くことを、苦々しく思っているようで、
「お前の鼻は、どうかしてるんだよ!」
 と、悪態をつく。
 ちなみに、私の片方の耳は聞こえが悪い。だからというわけではないが、嗅覚の方は人様より少し良いようである。
 以前の話になるが、春まだ浅き日、ウォーキングの会の人達と、住宅街を歩いていた時の事ことだ。
「ねぇ、梅の木は見当たらないけど、いい匂いがしてきますね~」
 角を曲がって行くと、民家の庭に白い梅の花が馥郁たる香りを放っていた。少し呆れ気味に幹事さんたちが言う。
「ほんとだぁ、梅の花が咲いてるよ~」
 ところで、桜の花は開花したことの喜びが先で、匂いについては、正直言って感じたことがなく、語られているのも聞かない。
 葉っぱで包まれた桜餅を匂いはどうか。調べてみると、桜の葉をつぶしたり、塩漬けにしたりしてクマリン酸を生成して「桜の香り」と、認識させているらしい。
 クマリンというのは、桜の葉に代表される植物の芳香成分の一種だという。ちなみに、桜餅の葉はソメイヨシノではなく、オオシマザクラ。産毛がないので、食用に適している。
 桜の葉っぱは、赤や黄色に色づいて紅葉も奇麗だが、他の木に比べ落下が早い。落ち葉を踏みしめながら、「あ、桜の匂いがする」と一人で呟いているのだが、そう思うのは秋の入り口の頃だ。
 近所の散歩や、時には玉井コース(玉井村長が毎日自転車で回るコース)を自転車に乗って、気ままに時間を過ごす中、季節の移ろいを次々と感じる。南山公園・親水広場の道路沿いに黄金色の小花をびっしりつけた金木犀が香りを放つ。
 今頃、香りのする花を挙げると、アベリアだろう。我がマンションはA・B・C・Dの4棟から成っているが、私たち夫婦が住むD棟と隣のB棟は国道464号線に沿っている。この2つの棟の生垣には、アベリアの小ぶりの白やピンクの花が今まさに満開で、甘い香りを放つ。
 白井健康元気村の玉井秀幸村長が暮らすA棟は464号線に面していないが、1階の庭には芙蓉が咲いていたような……。朝は白い花で夕方には赤みが差してくるという。それを称して、お酒を召した「酔芙蓉」だったかな。
 戸建ての庭に植えられている花に、花水木(ハナミズキ)や百日紅(サルスベリ)、木槿(ムクゲ)なども、あちこちで見かける花だ。花好きの主の庭には思い思いの花が、百花繚乱である。
 カラオケで歌われる人気の歌に「ハナミズキ」(一青窈)がある。
「♪空を押し上げて~」の歌いだしであるが、「♪つぼみをあげよう~」とか「♪うす紅色の~」とか、花水木の春の花の様子だ。
 好きな人への恋や夢が「100年続きますように」などと、若い女性の心情を切々と歌い上げている。が、今の時期に見られる、街路樹や戸建ての家の庭に植えられている花水木は、紅葉も美しく赤い小さな実がとても可愛い。
 散歩をしていれば、「秋の七草」の幾つかに出会うことになる。女郎花(オミナエシ)、藤袴(フジバカマ)、撫子(ナデシコ)、尾花(ススキ)、葛(クズ)、萩(ハギ)、そして桔梗(キキョウ)が「秋の七草」だが、朝顔、木槿、昼顔とかの説もある。
 これらの花をすべて、この目で見たことがあるのだろうか。女郎花は以前に464号線を印西から白井に向かって車で通りかかったとき、もうすぐ16号線に入る交差点の手前の畑で見かけた。
「え! 女郎花だよね?!」
 脇の道へ曲がり、車を止められる所で降りて、見に行った。
 田んぼの中の一角で野菜作りをされている中に、その花はあった。写真でしか見たことがなかったので、異常なほど嬉しかったことを覚えている。最近、通った時には見られなくて、残念至極だ。あとはどうだろう。ネットで調べてみた。

【藤袴】写真を見ると野原に咲いていても良さそうだけど…記憶にない。
【撫子】園芸店で見たことがあるが、春だったような気がして…。秋の花とは、勘違いも甚だしい。
【尾花】ススキのことであるが、雑草のようにあちこちで見かける。お月見には必需品か。
【葛】やたら繁殖力が強く、まわりの木々をつるで覆ってしまうほどの生命力。ひと夏で10m位成長する。一見、可愛い赤紫の花は下の方から咲く。つるの繊維部分は葛布の原料となり、根は多量のでんぷんを含んでいるので、葛餅に使う葛粉に。薬用部位の根の薬効は解熱・せきどめ。生薬名は葛根(かっこん)と書かれている。だが、道路沿いや空き地に繁茂し、街路樹に巻き付いて、本来の木が見えなくなる厄介者だ。
【萩】庭の片隅にピンクや白の花が、風に揺らいで咲いているのを見かけると、なぜか嬉しくなる。
【桔梗】開花が6月半ばから8月半ば頃。夏の花だが、なぜか「秋の七草」の一つになっている。花屋さんで切り花として見かけるのがもっぱらだ。菊などと一緒に仏花に。花の形や色合いなど、昔から武士に好まれて家紋に取り入れられている。根が薬用部位で、薬効は咳止め。薬用成分のサポニンは昆虫にとって有害なので、自らを守っているのだそうだ。

 以上、秋の七草に、勝手な私見と少し調べた結果を綴ってみた。
 さて、このエッセイを書く直前、手作り教室となっている先生のお宅があるお寺に伺った。庭先には色とりどりの花があって、珍しい秋明菊(シュウメイギク)のピンクの花が。金木犀の花も黄金色に輝き、大好きなとても良い香りを盛大に放っていた。早いものだ。秋も本番か。

 

【岩崎邦子さんのプロフィール】 

昭和15(1940)年6月29日、岐阜県大垣市生まれ。県立大垣南高校卒業後、名古屋市でОL生活。2年後、叔父の会社に就職するため上京する。23歳のときに今のご主人と結婚し、1男1女をもうけた。有吉佐和子、田辺聖子、佐藤愛子など女流作家のファン。現在、白井市南山で夫と2人暮らし。白井健康元気村では、パークゴルフの企画・運営を担当。令和元(2018)年春から本ブログにエッセイ「岩崎邦子の『日々悠々』」を毎週水曜日に連載。大好評のうち100回目で終了した。


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