白井健康元気村

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「晴れ女」の憂鬱 岩崎邦子の「日々悠々」(92)

2020-07-24 05:59:42 | 【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」

【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」(92

「晴れ女」の憂鬱 

 

 

「関東の梅雨明けは早まるでしょう、僕の予報では7日くらいに…」

 7月に入って間もない頃、ある気象予報士が予言らしきことを言う。

「へぇー?」

 と、私はちょっと喜びながら聞いていた。

 最近はNHKも民放テレビ局も、天気予報には力が入っているのか、1日に何回も放送されているようだ。難関と言われる予報士資格を持つベテランと共に、モデルが本業の美人で、人気のお姉さんたちも登場する。

 その日の天気の移りから週間予報や長期予報まで。さらに洗濯の可否、傘の出番、花粉情報、気温による熱中症の注意もしてくれる。時には寒暖の差による服装の注意まで、微に入り細に入り教えてくれるので有難い。

 パークゴルフに参加する予定があれば、何より雨の降り具合や、時間帯まで参考にすることになる。が、千葉県に雨の予報が出ていても、我が家の住まいの千葉県北西部では、曇りや晴れ間が出ることもあるので、それほどの雨が降らないことも少なくない。東京と似た天気になれば、「ここは、東京なんだね」となる。

 ある時、パークゴルフのプレー中に、つい口走った。

「今年の梅雨明けは早いんだって!」

「そうなんだぁ」

 と、仲間がうなずく。

 そんな他愛もないおしゃべりをしていた。が、結果としては、私はとんだ「大ウソつき」になってしまった。しかし、この程度の予報外れに「騙された!」と、怒ることはないのかも。

 それよりも、気象庁から梅雨時の雨とは思えない豪雨情報が、九州地方の熊本を始め各県に発令されたことに、目を見張らされた。「命を守ることを第一に!」と、緊急の呼びかけが、何度も繰り返されたのからだ。

 天気図の中に呆れるほどの雨量の多さを示す、棒グラフが乱立していた。球磨川の氾濫や崖崩れなどにともない、避難勧告が何度も叫ばれる非常事態。コロナ禍もあって、避難所の在り方にも、不安が付きまとう。重なる不幸に見舞われる人々の姿をテレビのニュースで見ると、私の胸が痛んだ。

 この豪雨は、九州だけではなく、西日本の各地にも及び、その勢いは留まることを知らぬかのようだった。私が生まれた岐阜県も例外ではない。県の中央部に位置する下呂温泉街を襲い、飛騨川が氾濫したのである。

 ちなみに、濃尾平野には木曽川・長良川・揖斐川の三大河川があって、その下流の合流となる愛知県西部・岐阜県南部・三重県北部では、その昔、大洪水に度々見舞われる所でもあった。

 そのため、集落を水害から守るために、周囲を囲んだ堤防、つまり「輪中(わじゅう)」が出来た。こうした治水工事がこの地方には功を奏しているようだ。

 私が幼少時代を過ごし、今も姉や義姉が住んでいるのは、岐阜県西濃の大垣である。心配になって、義姉に電話すると、「凄い大雨だけど、被害が出るほどのことはないから」の返事にホッとした。

 ところで、昨今の豪雨は、日本だけには留まらないようだ。中国の最大の河川、長江・三峡ダムの決壊の恐れのニュースも。もしそうなれば、上海を飲み込むほどの大惨事になるとか。今は、世界中で新型コロナが最大の関心事なので、地球温暖化による各国の深刻な異常気象のことも、なぜか蚊帳の外の感がある。

 ゴルフ関係や、自粛で今は出来ないが友人たちとのおしゃべり会や、小旅行の計画があると、何より当日の天気が知りたくなる。そんなわけで、テレビだけの予報に飽き足らず、携帯アプリでも調べたりもするようになった。

 7月19日に白井健康元気村主催のパークゴルフ大会が開催されることに。しかも今年度初の大会である。パークゴルフの経験者ということで、担当者とされてしまった私だが、元気村での大会も3年目に突入したことで、会の進め方や方向性も少し見えてきた。

 しかし、この時期である。当日の天気がどうなるのか、その日が近づくにつれ、気が気ではない。一括メールで参加予定者に案内を出した時には、「土砂降りでない限り、プレーは実行します」旨を伝えてある。

 ゴルフ場側からは「前日に、参加人数を連絡してください」と、言われていた。参加賞(野菜)の用意をするためだという。その連絡を入れて、しばらくすると、

「明日は90パーセントの雨予報ですが、大丈夫ですか?キャンセルしてもらっても構いませんよ」

 との電話がゴルフ場から入った。

 有難い申し出ではないか。でも、キャンセルはしなかった。この雨予報も確実とは思えないからだ。友人たちとの会話で「私は晴女」と豪語もしている。夫もゴルフに出かける時には「俺は晴男だから」と。万が一、雨ともなれば、「あいつが雨男だから」などと、人に被せることも。

 3月の元気村総会の時に年間参加賞を手渡せなかった人もいるので、前日、「土砂降りでない限り」決行と書き添えたメールを参加予定者に送信。とは言っても、「90パーセントの雨予報」には、内心穏やかではなかった。

 再度の覚悟を自分に言い聞かせ、ユーチューブのミーハー番組をイヤホンしながら見ていると、

「聞こえないのか!」

 と、夫の怒鳴る声。何を怒っているのだろう?

「一体どうするのだ! お前ひとりの判断でなく、村長に相談しろ!」

 どうやら、「土砂降りでない限り」大会を決行することに腹を立てているらしい。久々に夫がキレたようだ。はい、やっちゃいました。私はもっとキレた! ちょっとしたボタンの掛け違いで、「キレル」のは若者だけでなく、他の高齢者にも往々にしてある。

 そして、当日がやってきた。なんと、天気予報は大きく外れ、お天気は晴れ! やはり「私は晴女」だった。ところが、である。ゴルフ場設備のアクシデントでこの日は使用できず、パークゴルフ大会は中止に。うー、なんてことなの。天気予報も大いに助かることもあるが、「あれれ~?」の時もあるのを痛感。

 7月21日、奄美地方の梅雨明けが発表された。例年より3週間も遅いとか。関東甲信の「梅雨明宣言」は、大幅に遅れている。予報では8月になるかも。梅雨が明けても、来るべき台風シーズンは、雨・風はどのような状態で、どの地方にやって来るのだろう。

 雨は、潤いをもたらし農作物には欠かせないのだが、暴風・豪雨被害は、度々起きている。だからといって、雨が降らなければダムの渇水となり、飲み水の心配にもつながる。

 自然の営みや恵みの雨に、こうまで変貌が起きていることに、ただただ、脅威の念を抱くばかりだ。行事の前には、「俺は晴男」「私は晴女」と、覚悟の天気予報を出すのも、妙なるかな。


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