白井健康元気村

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もってのほか 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆㉔

2021-11-10 07:00:05 | 【気まま連載】帰ってきたミーハー婆

【気まま連載】帰ってきたミーハー婆㉔

もってのほか

 

岩崎邦子 

 


 所属しているパークゴルフのG会がプレーするのは、「八千代パークゴルフコース場」だ。国道16号線を千葉に向かって行き、小池交差点を右折すると、そのパークゴルフ場がある。ゴルフコースの「国際レディース」に隣接しているので分かりやすい。
 受付が8時半からなので、8時過ぎた頃から会員が集まって来る。コースで作られているお弁当を注文する人、コンビニで調達する人もいるが、大半の人は私達と同様で手作り弁当を持参して来る。
 前半のプレーが終って10時半から11時になって昼食を取るのだが、荷物を置いたり休憩したりするテーブルが、食卓となる。
 終えたばかりのスコアの話は、良い時もあれば調子が悪い時もあり、あまり気にしないで、ケロリとして大きな声で笑っている。私が少し静かにしていると「どうしたの?」と、聞かれる始末。世間話や、休んでいる人の近況など、おしゃべりが楽しみとなる。 
 離れたテーブルにいたTさんが「Uさんの、畑で取れたのだけど…」「何とかいう名前なんだけど…」と、菊の花の総菜の入ったタッパーを持ってこられた。
 半分ほど食べたお弁当の端にそれをもらって、酢の物になった薄紫の菊を食する。「おいしいね」と、言いながら私も度忘れしている「何とかという名前」がなかなか思い出せない。
 じれじれしていたが、「もってのほか!」と、Tさんが一言。はぁ~! 何とすっきりと気持ちの良いこと!
「もってのほか」とは「食用菊」のことで、薄紫の他にもオレンジ色や黄色などもある。食用菊に「もってのほか」などと、どうしてこんな名前がついているのだろう。
 菊(ご紋)でもある花を食べるのは「もってのほか」とか、何かのドラマからの引用だとか、昔は「淵明楽」と表記され、菊の花を愛して有名な中国の詩人の「陶淵名」にちなんだ名であるとか…。
 ともあれ、秋に咲く花の代表格である菊の花は、菊人形展、菊花展、などで様々な色・大小の花で観賞できる。私は、丹精に育てられた立派な菊より、香りの良い深紅色の小菊が一番好きだ。
 さてさて、「もってのほか」という言葉、普段使いの言葉としては、「何とも失礼な」「とんでもないこと」「思っていたよりず~っと、~~だ」として使われる。類語としては「言語道断」「問答無用」などがあり、「駄目ったら駄目です~」と言った塩梅だ。
 すっかり忘れていたが、菊の花のことで、夫の駄目駄目事件。転勤で北海道に居た時、二人目である長女を出産したのだが、その報せを受けた夫は慌てふためき?早々に見舞いに来てくれた。その手には「菊が好きなんだよな」と言って、立派な仏花を持っていた。これぞ「もってのほか!」日々の生活の中で「もってのほか」が次々と報道される。
 何度も何度もニュースになってきた小室圭氏は、その諸問題を3年間も放置してきて、挙句はニューヨーク州の弁護士試験には不合格。わずかな人が擁護する話もあるが、マスコミで語られ続けているのは、やはり、もってのほか!ということ。 
 いたいけな子供への暴力など、兆候を把握していても救われることもなく、命を落とす結果には、やりきれない思いがする。親や親族、夫婦の間の憎悪が巻き起こす事件も後を絶たない。もってのほか!
 走る電車内で事が起きると逃げ場がないが、刃物を持って人に襲い掛かり殺傷、挙句の果てに火を放つ。そしてバカな模倣犯が起きる。人間関係をこじらせたあげく、孤立して自暴自棄に陥っているのだろうが、もってのほか!
「老女の万引き」事件の報道には、何だか身につまされる。私も買い物に出た場合は「万引き老女」と間違えられないように、バッグなどの扱いに気を遣う。万引きをした人の取り調べを見ていると、貧困が原因とは言えなくて、孤立感を持つ人、孤独な人に多いようだ。
 夫との喧嘩話をうっかりすると、喧嘩できることが羨ましい、と言われることで、ハッとする。長く生きてくれば、煩わしいことも起きるが、孤立感に襲われないためには、努めて社会とのつながりを持つ努力がいる。
 お店でちょっとした声掛けだけでも、救われる人がいるというが、集合住宅に暮らしていれば、廊下やエレベーター内で出会う人への、ちょっとした声掛けだけでも良いのだという。
「おはようございます!」と言っても、無視をされることも、しばしばあるが、マンション内のどこかで人に出会えば、私はつい、声を出している。「もってのほか!」なんて、言わないでね。

 

【岩崎邦子さんのプロフィール】 

昭和15(1940)年6月29日、岐阜県大垣市生まれ。県立大垣南高校卒業後、名古屋市でОL生活。2年後、叔父の会社に就職するため上京する。23歳のときに今のご主人と結婚し、1男1女をもうけた。有吉佐和子、田辺聖子、佐藤愛子など女流作家のファン。現在、白井市南山で夫と2人暮らし。白井健康元気村では、パークゴルフの企画・運営を担当。令和元(2018)年春から本ブログにエッセイ「岩崎邦子の『日々悠々』」を毎週水曜日に連載。大好評のうち100回目で終了した。


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