オーディフィル公式ブログ (趣味の小部屋)

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[Stereo誌2012年8月号付録] 三つ折レゾナンス (測定編2)

2012年09月17日 18時10分41秒 | オーディオ
聴感上好結果の「三つ折レゾナンス」ですが、
思ったような共鳴特性が得られなかったので、
その解明にあたります。

共鳴管の開口部からマイクを投入して、
管内部での周波数特性を測ってみました。



<クリックで拡大>

データは沢山とってあるのですが、とりあえず代表的なものを。

まずは、上面開口部から投入!

<A>(開口部)


<B>


<C>


一番分かりやすいのは、<C>の場所でしょうか。
85Hzにピークをもつ共鳴が起こっていることが分かります。

そこから開口部<A>に向かうにつれて、ピーク&ディップは減少傾向です。

おそらく、ユニットから第一折り返し地点までの長さ(90cm)で共鳴が起きており、
折り返し地点で「空振り」してしまったのでしょう。


<クリックで拡大>


次に、底面開口部<F>からマイクを投入します。

<F>(開口部)


<E>


<D>


今度は、端っこの<D>は目だった凹凸のない特性ですが、
<E>や<F>のように、浅いところで、大きなディップが確認できました。

しかし、このディップの解釈が難しく、
下記の解釈も、半信半疑ではあります。

おそらく、<E>の180Hz付近にあるディップは、
折り返した後の音道(本機では真ん中の音道)の長さ135㎝の、
三倍振動によるものではないかと考えています。

つまり、180°ターン部分を音波がスムーズに抜けられず、
振動の節として動作したのでは?と考えています。

その結果、開口部に向けて3倍振動が発生。
その腹となる部分では、ディップとして測定された…と。


<クリックで拡大>



この両者の比較は、BH設計で問題となる
「90°折り返し」vs「180°折り返し」
に通じるところがあると考えています。

私達は、つい90°折り返しの方が
流体抵抗が少ないように感じてしまうのですが、

実際は、急に広大な空間に放出されるような挙動になってしまい、
音波として伝わりにくいのではないかと考えています。


<クリックで拡大>

一方で、180°ターンは、
ギュッと圧縮される感じ、やや通りにくいために「節」として共鳴を招きがちですが、
そのお陰で、次の音道への伝播が効率よく行われるのかもしれません。



こうして解釈すると、長岡先生の作例
「エスカルゴ」
が非常に低音不足であったというのは納得のいくものです。

90°ターンの連続のエスカルゴは、
低音の伝播としては最悪だったのでしょう。

一方、「スワン」は、180°ターンの音道が繰り返される形状で、
作例は大変低音量感に優れるものでした。


まだまだ少ない測定データからの類推でしかないのですが、
面白い考察ができると思います。

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2 コメント

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コメントありがとうございます (カノン5D)
2012-10-13 09:24:59
江戸川散歩さま

普通に考えると、90°折り返しのほうがスムーズなはずなのに、不思議な話ですよね。

「90度VS180度」の件は、まだまだ深そうです。
ユニットのインピーダンス特性を含めて考えると、まだまだ探るべきところがあるかなぁ~と思っています。

ただ、経験上は90°折り返しが不利なのは明らかなようですね。
それをどうやって一般的な話へ持ち込めるか・・・が難しいところになりそうです。
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納得 (江戸川散歩)
2012-10-09 20:20:37
40年来の疑問がカノン5Dさんの御説明で納得できました

昭和45年発売の長岡先生の「マイステレオ作戦」を参考に最初は「薄型バックロードホーンシステム」と言うのを作ったのです、棚板で180度方向転換の音響迷路でした、結構良い音でしたので、「スパイラルホーンシステム」を棚板と3ミリベニヤで作ったんですが出てくる音はFE103がキャンキャン言うばかりで肝心の低音が出ません、置き方を色々変えても無駄でした。作例のように作ったのに?
貧乏な学生時代の事で無駄な時間と費用の浪費で残念に思っていました

「90度VS180度」で長い間の疑問が氷解しました、

現在は長岡式D55をへて現在は炭山先生のおしどりで楽しんでいます


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