さて、新作の2wayスピーカー「PR-200」の開発について、進捗を書いていこうと思います。
(試作箱のPR-200)
バスレフ箱設計
今回は、小型の2wayスピーカーということなので、
「バスレフ型」のエンクロージュア設計から始めます。
バスレフ型では、ダクトの共振(共鳴)をつかって低音を増強するために、
・「本体容量」
・「ダクト共振周波数」
の2つが設計のキモとなります。
本体容量を大きくすることで、ダクトの共鳴効率が上がり、
一般的には、最低音域の音圧を稼ぐことができます。
その一方で、共鳴により稼いだ低音というのは、
概して【バスレフ臭い】不自然な低音になってしまうのです。
良い低音とは?
何をもって「良い低音」とするか。
これは、製作者の意図が強く出るところかもしれません。
私としては、
「伸びやかで、弾力があり、ノリがよく、開放的な鳴りっぷり」を重視しています。
もちろん、『最低域が何Hzまで出るか』というのも大切なのですが、
最低域は(良質な)サブウーハーを追加することで、適宜拡張することができます。
むしろ、最低域を伸ばすことに集中するあまり、
中低音の質感が疎かになったり、全体的にハイ上がりになってしまっては、本末転倒です。
特に、中低音の質感が悪いと、
「アンプの駆動力が足りない」とか「部屋が弱い」といった欠点を助長することにもつながり、莫大な投資を迫られることになってしまいます。
(まあ、これもオーディオの楽しみなのかもしれませんが...)
駆動系や、投資額の多少を問わず、
気持ちよく音楽を楽しめるための低音作り、という考えでこのPR-200を設計をしています。
PR-200の箱設計
試作箱は、シミュレーションソフトで適正と判断した8L~16Lを、
段階的に変化させ、確認できる設計となっています。
10Lの状態
16Lの状態
シミュレーションでは、大き目の方が最低域音圧を稼ぐことができたのですが、
実際の試聴では、『10Lぐらいがベスト』という結論に至っています。
パイプオルガンなどの持続的で澄んだ重低音では気にならないのですが、
「ウッドベース」や「ベースギター」など、その音色表現がキモとなるような楽器の場合、16Lのような大容量では、レスポンスの良い低音を得ることはできませんでした。
特にこのPR-200では、
ベースギターの開放的な低音(ライヴハウス的な低音)と、
クラシック音楽の深みのある低音(ホームオーディオ的な低音)を両立できる設計としています。
試聴と測定
もちろん、聴感だけでなく、
周波数特性やインピーダンス特性の確認も大切です。
最終的なジャッジが「耳」であるのは間違いないのですが、
聴感だけでは見逃してしまうところを測定では気づかせてくれます。
箱の動作は無理がないか?
スピーカーユニットが「気持ちよく」動けているか?
限界ギリギリの設計で好結果がでることも稀にありますが、
そういったものは、たいてい部屋や駆動系が変わると、
ガラッと音質が(悪い方に)変化してしまいます。
聴感だけでやっていて、特異な設計に陥っていないか、、、
それを確認にするための測定だと考えています。
ネットワーク設計
PR-200は、2wayスピーカーなので、
ネットワーク設計が欠かせないポイントとなります。
もう、ざっくり公開してしまいますが、
仮Fix状態で、このようなネットワークとなりました。
こちらも、無理に「〇Hzで、4thでクロスさせて…」とは考えずに決めています。
ユニットの個性を聴きつつ、
それを阻害しないよう、自然につながるところを見つけていきます。
今回は、ウーハーもツイーターもSBアコースティック製のものなので、
音色のマッチングも良く、無理なくつなげることができました。
特性グラフや回路図を見ての通り、
-6dB/octのカットを基本として、味付け程度に2次のフィルターを構成しています。
エンクロージュア材質が製品版の「ひのき材」になったら、
また少し調整を予定しています。
(今の針葉樹合板より、鮮度感が大幅に上がり、澄んだ音色にシフトするはずです。)
タイムアライメント
タイムアライメントとは、ウーハーとツイーターの位相・時間軸を合わせることです。
PR-200では、ツイーターを後ろ側にずらして、
位相の整合性を整えています。
こうした、「(構造上の)タイムアライメント」は、
周波数特性、インパルス特性、そして聴感でも、非常に大きな効果のありました。
------------------------
もちろん、世にある「ウーハーとツイーターが同一平面上にあるスピーカー」が悪い、という訳ではありません。
(情報発信側のテクニックもあり、一部で誤解されているように思います。)
タイムアライメントは、ネットワーク側の工夫で合わせることもでき、
そうした場合は、ツイーターを後ろにずらすような構造上の工夫を必要としない場合もあります。
------------------------
PR-200でも、タイムアライメントが合っていない状態だと、
ボーカルはサ行が目立つ硬い音になってしまいました。
そこで、ツイーターの位置を調整して、タイムアライメントを適正化することで、
より艶めかしいボーカルを堪能できるようになっています♪
もちろん、シンバルなどの粒立ちは維持されているので、
位相がビシッと合った気持ちよさを体感できるものとなっています。
いよいよ...
つい先日、奈良県の吉野の業者から、
無垢のヒノキ材が送られてきました!
さすが木材の名産地『吉野』だけあって、
キメが細かく、色艶に優れたヒノキ材です。
とくに今回は、「四面無節」という最高級グレードのヒノキを入手しています。
フィンランドバーチ合板の数倍のお値段になる板材ではありますが、
それに相応しい作品となるよう頑張って製作していこうと思います!
(試作箱のPR-200)
バスレフ箱設計
今回は、小型の2wayスピーカーということなので、
「バスレフ型」のエンクロージュア設計から始めます。
バスレフ型では、ダクトの共振(共鳴)をつかって低音を増強するために、
・「本体容量」
・「ダクト共振周波数」
の2つが設計のキモとなります。
本体容量を大きくすることで、ダクトの共鳴効率が上がり、
一般的には、最低音域の音圧を稼ぐことができます。
その一方で、共鳴により稼いだ低音というのは、
概して【バスレフ臭い】不自然な低音になってしまうのです。
良い低音とは?
何をもって「良い低音」とするか。
これは、製作者の意図が強く出るところかもしれません。
私としては、
「伸びやかで、弾力があり、ノリがよく、開放的な鳴りっぷり」を重視しています。
もちろん、『最低域が何Hzまで出るか』というのも大切なのですが、
最低域は(良質な)サブウーハーを追加することで、適宜拡張することができます。
むしろ、最低域を伸ばすことに集中するあまり、
中低音の質感が疎かになったり、全体的にハイ上がりになってしまっては、本末転倒です。
特に、中低音の質感が悪いと、
「アンプの駆動力が足りない」とか「部屋が弱い」といった欠点を助長することにもつながり、莫大な投資を迫られることになってしまいます。
(まあ、これもオーディオの楽しみなのかもしれませんが...)
駆動系や、投資額の多少を問わず、
気持ちよく音楽を楽しめるための低音作り、という考えでこのPR-200を設計をしています。
PR-200の箱設計
試作箱は、シミュレーションソフトで適正と判断した8L~16Lを、
段階的に変化させ、確認できる設計となっています。
10Lの状態
16Lの状態
シミュレーションでは、大き目の方が最低域音圧を稼ぐことができたのですが、
実際の試聴では、『10Lぐらいがベスト』という結論に至っています。
パイプオルガンなどの持続的で澄んだ重低音では気にならないのですが、
「ウッドベース」や「ベースギター」など、その音色表現がキモとなるような楽器の場合、16Lのような大容量では、レスポンスの良い低音を得ることはできませんでした。
特にこのPR-200では、
ベースギターの開放的な低音(ライヴハウス的な低音)と、
クラシック音楽の深みのある低音(ホームオーディオ的な低音)を両立できる設計としています。
試聴と測定
もちろん、聴感だけでなく、
周波数特性やインピーダンス特性の確認も大切です。
最終的なジャッジが「耳」であるのは間違いないのですが、
聴感だけでは見逃してしまうところを測定では気づかせてくれます。
箱の動作は無理がないか?
スピーカーユニットが「気持ちよく」動けているか?
限界ギリギリの設計で好結果がでることも稀にありますが、
そういったものは、たいてい部屋や駆動系が変わると、
ガラッと音質が(悪い方に)変化してしまいます。
聴感だけでやっていて、特異な設計に陥っていないか、、、
それを確認にするための測定だと考えています。
ネットワーク設計
PR-200は、2wayスピーカーなので、
ネットワーク設計が欠かせないポイントとなります。
もう、ざっくり公開してしまいますが、
仮Fix状態で、このようなネットワークとなりました。
こちらも、無理に「〇Hzで、4thでクロスさせて…」とは考えずに決めています。
ユニットの個性を聴きつつ、
それを阻害しないよう、自然につながるところを見つけていきます。
今回は、ウーハーもツイーターもSBアコースティック製のものなので、
音色のマッチングも良く、無理なくつなげることができました。
特性グラフや回路図を見ての通り、
-6dB/octのカットを基本として、味付け程度に2次のフィルターを構成しています。
エンクロージュア材質が製品版の「ひのき材」になったら、
また少し調整を予定しています。
(今の針葉樹合板より、鮮度感が大幅に上がり、澄んだ音色にシフトするはずです。)
タイムアライメント
タイムアライメントとは、ウーハーとツイーターの位相・時間軸を合わせることです。
PR-200では、ツイーターを後ろ側にずらして、
位相の整合性を整えています。
こうした、「(構造上の)タイムアライメント」は、
周波数特性、インパルス特性、そして聴感でも、非常に大きな効果のありました。
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もちろん、世にある「ウーハーとツイーターが同一平面上にあるスピーカー」が悪い、という訳ではありません。
(情報発信側のテクニックもあり、一部で誤解されているように思います。)
タイムアライメントは、ネットワーク側の工夫で合わせることもでき、
そうした場合は、ツイーターを後ろにずらすような構造上の工夫を必要としない場合もあります。
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PR-200でも、タイムアライメントが合っていない状態だと、
ボーカルはサ行が目立つ硬い音になってしまいました。
そこで、ツイーターの位置を調整して、タイムアライメントを適正化することで、
より艶めかしいボーカルを堪能できるようになっています♪
もちろん、シンバルなどの粒立ちは維持されているので、
位相がビシッと合った気持ちよさを体感できるものとなっています。
いよいよ...
つい先日、奈良県の吉野の業者から、
無垢のヒノキ材が送られてきました!
さすが木材の名産地『吉野』だけあって、
キメが細かく、色艶に優れたヒノキ材です。
とくに今回は、「四面無節」という最高級グレードのヒノキを入手しています。
フィンランドバーチ合板の数倍のお値段になる板材ではありますが、
それに相応しい作品となるよう頑張って製作していこうと思います!
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