(写真:オーディフィル SOLA MK2)
皆さん こんにちは。
今日は、ひのきスピーカーの特長でもある
「無垢材」について説明しようと思います。
先日発表した「SOLA Mk2」は、
ひのきの無垢材を使っているのが大きな特徴になります。
この「無垢材」とは何か。
意外と知られていないことも多いので、
一般的な「MDF」との違いも併せて説明します。
無垢材
木材は、樹木を切った丸太の状態から作られます。
丸太をそのまま直方体の形にカットしたのが「無垢材」と呼ばれるものです。
基本的には、丸太を切り出すだけなので、
何も手を加えない「無垢な」状態の木ということで、無垢材と呼ばれているのだと思います。
無垢材の一番の特徴は、木の表面に見える木目模様でしょう。
一年ごとに刻まれる年輪が、そのままの美しさをもって現れます。
アコースティック楽器で使われる木材も、(基本的には)この無垢材です。
美しい響き、意匠性を備えているため、
長い年月をかけて演奏される楽器には最適な材料なのです。
集成材
無垢材は、先ほどの図にあるように、丸太からそのまま切り出すことが特徴です。
逆に言うと、無垢材は「小さな丸太からは、小さな板しか作ることができない」という欠点も併せ持っています。
そこで「集成材」の登場です。
無垢材のような生の木の風合いをもちながらも、
原材料の選択肢や、作れる板材の種類は格段に広がります。
無垢材と比べると、木目の美しさは一歩劣りますが、
木の響きは比較的残っており、板の反りが少なく扱いやすいので、
自作スピーカーにオススメの材料です。
(※横方向だけを貼り合わせた「幅はぎ材」は、無垢材として扱われることが一般的です)
MDF
MDFの製造方法は、先程と大きく異なります。
参考:https://jfpma.jp/seihin/koutei-index.html
一度、原料を繊維まで解きほぐし、そこに接着剤などを加えて成型して作られます。
原材料の姿は全く分からなくなりますので、
木質廃材の再利用も可能になります。
このように、極めて合理的な板材がMDFだと言えるでしょう。
無垢材や集成材のような、縦横の力学的な区別もありません。
他に、パーティクルボードや、合板もありますが、
いずれも木材を細かく裁断して、再成型したものになります。
スピーカーに無垢材を使う理由
現代のスピーカーではMDFが最も多く使われる材料になっていますが、
あえて無垢材を使う理由として、木材の繊維構造が挙げられます。
参考:https://www.shinrin-ringyou.com/mokuzai/kouzou_micro.php
木材には、「道管」という水を通すための構造があります。
(写真はアカマツの顕微鏡写真なので正確には「仮道管」です)
これが、「軽くて強靭」という特徴をもつハニカム構造をとっており、
木材固有の特性の源になっています。
特に、この構造を構成するセルロース成分は、極めて高い強度があり、
それが寸断されずに直線的に繋がっていることは、
音のヌケ感、鮮度感にも好ましい影響があるのではないかと考えています。
参考:http://www.audifill.com/essay/eng/0_10.html
無垢材で作ったスピーカーは、濁りのない鮮度の高い音が得られ、
音色の描写に優れているという印象をもっています。
楽器の素材感、ボーカルの体温が伝わってくるスピーカー作りには、
この無垢材が欠かせない材料になっています。
こうして、利点欠点がそれぞれの材料になりますが、
全て手作業でスピーカーを作るオーディフィルにとっては、
木材の魅力を最大限に発揮できる無垢材を愛用しています!
一方で、スピーカーを大量生産するメーカーにとっては、
均質で安定的な供給が可能な、MDF材が好ましいという結論になると思います。
エンクロージュア(箱)の素材選択は、スピーカーの性能を決める無数の項目の一つでしかありません。
「MDFで作ったスピーカーだからダメ」なんてことはないと思っています。
どういう手段で、何を目的にスピーカーを作るのかという、
メーカー側のスピーカー作りに対する考え方が、
材料の選択に現れると思うと、スピーカー選びが少しだけ面白くなるのではないでしょうか。
次回は、SOLA Mk2のエンクロージュア設計について、説明しようと思います。
どうぞお楽しみに!
続きは、こちら。
「ひのきでスピーカーを作る理由(その1)」
ひのきスピーカー「SOLA Mk2」の詳細はこちら。
皆さん こんにちは。
今日は、ひのきスピーカーの特長でもある
「無垢材」について説明しようと思います。
先日発表した「SOLA Mk2」は、
ひのきの無垢材を使っているのが大きな特徴になります。
この「無垢材」とは何か。
意外と知られていないことも多いので、
一般的な「MDF」との違いも併せて説明します。
無垢材
木材は、樹木を切った丸太の状態から作られます。
丸太をそのまま直方体の形にカットしたのが「無垢材」と呼ばれるものです。
基本的には、丸太を切り出すだけなので、
何も手を加えない「無垢な」状態の木ということで、無垢材と呼ばれているのだと思います。
無垢材の一番の特徴は、木の表面に見える木目模様でしょう。
一年ごとに刻まれる年輪が、そのままの美しさをもって現れます。
アコースティック楽器で使われる木材も、(基本的には)この無垢材です。
美しい響き、意匠性を備えているため、
長い年月をかけて演奏される楽器には最適な材料なのです。
集成材
無垢材は、先ほどの図にあるように、丸太からそのまま切り出すことが特徴です。
逆に言うと、無垢材は「小さな丸太からは、小さな板しか作ることができない」という欠点も併せ持っています。
そこで「集成材」の登場です。
無垢材のような生の木の風合いをもちながらも、
原材料の選択肢や、作れる板材の種類は格段に広がります。
無垢材と比べると、木目の美しさは一歩劣りますが、
木の響きは比較的残っており、板の反りが少なく扱いやすいので、
自作スピーカーにオススメの材料です。
(※横方向だけを貼り合わせた「幅はぎ材」は、無垢材として扱われることが一般的です)
MDF
MDFの製造方法は、先程と大きく異なります。
参考:https://jfpma.jp/seihin/koutei-index.html
一度、原料を繊維まで解きほぐし、そこに接着剤などを加えて成型して作られます。
原材料の姿は全く分からなくなりますので、
木質廃材の再利用も可能になります。
このように、極めて合理的な板材がMDFだと言えるでしょう。
無垢材や集成材のような、縦横の力学的な区別もありません。
他に、パーティクルボードや、合板もありますが、
いずれも木材を細かく裁断して、再成型したものになります。
スピーカーに無垢材を使う理由
現代のスピーカーではMDFが最も多く使われる材料になっていますが、
あえて無垢材を使う理由として、木材の繊維構造が挙げられます。
参考:https://www.shinrin-ringyou.com/mokuzai/kouzou_micro.php
木材には、「道管」という水を通すための構造があります。
(写真はアカマツの顕微鏡写真なので正確には「仮道管」です)
これが、「軽くて強靭」という特徴をもつハニカム構造をとっており、
木材固有の特性の源になっています。
特に、この構造を構成するセルロース成分は、極めて高い強度があり、
それが寸断されずに直線的に繋がっていることは、
音のヌケ感、鮮度感にも好ましい影響があるのではないかと考えています。
参考:http://www.audifill.com/essay/eng/0_10.html
無垢材で作ったスピーカーは、濁りのない鮮度の高い音が得られ、
音色の描写に優れているという印象をもっています。
楽器の素材感、ボーカルの体温が伝わってくるスピーカー作りには、
この無垢材が欠かせない材料になっています。
こうして、利点欠点がそれぞれの材料になりますが、
全て手作業でスピーカーを作るオーディフィルにとっては、
木材の魅力を最大限に発揮できる無垢材を愛用しています!
一方で、スピーカーを大量生産するメーカーにとっては、
均質で安定的な供給が可能な、MDF材が好ましいという結論になると思います。
エンクロージュア(箱)の素材選択は、スピーカーの性能を決める無数の項目の一つでしかありません。
「MDFで作ったスピーカーだからダメ」なんてことはないと思っています。
どういう手段で、何を目的にスピーカーを作るのかという、
メーカー側のスピーカー作りに対する考え方が、
材料の選択に現れると思うと、スピーカー選びが少しだけ面白くなるのではないでしょうか。
次回は、SOLA Mk2のエンクロージュア設計について、説明しようと思います。
どうぞお楽しみに!
続きは、こちら。
「ひのきでスピーカーを作る理由(その1)」
ひのきスピーカー「SOLA Mk2」の詳細はこちら。
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