試聴結果が良いと、測定への期待も高まってきます。
早速本題に。
ALPINE製のDLS-108Xを使った試作4号機の測定です。
まずは、壁から40cm程離した位置に設置。
←クリックすると拡大します。
80Hzのピークを境に、30Hz前後までダラ下がり特性です。
しかし、120~210Hzの中低域のピークが大きいのが原因で、聴感上は余りワイドレンジではありません。
ホーン開口部の音を測定してみると・・・
←クリックすると拡大します。
見事な教科書どおりの音です。
今までの経験だと、これは「バックロードホーン」と「共鳴管」の合成特性だと言えます。
赤線で示したのがバックロードによる特性、青丸で示したピークが共鳴音です。
[バックロードとしての考察(赤線)]
バックロードホーンとしては適切な特性です。
200Hz前後からダラ下がりになっているのは、「空気室容量」と「ホーン断面積」の設定が適切だという証拠です。
もし「空気室容量」が小さいと、500Hz前後まで赤線がフラットになってしまい、中低域過多なサウンドとなってしまいます。
一方で、低域の伸びが悪いのは、「ホーン広がり率」が大きすぎた(0.93)ためです。もっと広がりを絞れば重低音までの再生が可能です。
[共鳴管としての考察(青丸)]
ホーン長は2.4mなので、音速を340m/sとすると共鳴周波数は…
340÷2.4÷4×1=35Hz
340÷2.4÷4×2=70Hz
340÷2.4÷4×4=140Hz
340÷2.4÷4×6=210Hz
と、実際の測定結果はこれと比べて若干高域よりにシフトしますが、大体合っています。
興味深いのが、従来の共鳴管理論で言われていた「片開管」ではなく、「両開管」となっている点です。空気室の広さ・形状が共鳴管としては不都合なのかもしれません。
[中高域(1.2kHz)]
これは、ホーンの横幅15cmによる定在波です。
340÷0.15(m)÷2=1133(Hz)
これだけ分かりやすい特性が出るのも、単純な構造の4号機ならではだと言えます。長岡バックロードでは、各音道の共鳴音で何がなにやら分からない(=「バックロードは理論的に動作しない」)になってしまいます。
さて、このバックロードホーンを壁に近づけてみます。
そうすると・・・
見事に30Hz(-10dB)までの重低音を再生する事ができています。しかし、依然として中低域(120~210Hz)が目立ちます。
壁による低音反射を利用できるという点では、本機のような前面開口より後面開口の方が有利でしょう。
今回の試作4号機は、
・VW音道+単純な構造による、最大級の低音総量
・単純な構造による素直な特性
・適切な空気室容量(4.5L)
として成功だったものの、
・もう少し低音の伸びが欲しい
・中低域のピーク(120~210Hz)
・前面開口なので、中低域のモレがダイレクトに聴こえる
・壁から離すと低音減少
といった問題点がありました。
試作5号機では、それらの問題点を克服して・・・
というか、既に完成していますw
続きはまた次回。
早速本題に。
ALPINE製のDLS-108Xを使った試作4号機の測定です。
まずは、壁から40cm程離した位置に設置。
←クリックすると拡大します。
80Hzのピークを境に、30Hz前後までダラ下がり特性です。
しかし、120~210Hzの中低域のピークが大きいのが原因で、聴感上は余りワイドレンジではありません。
ホーン開口部の音を測定してみると・・・
←クリックすると拡大します。
見事な教科書どおりの音です。
今までの経験だと、これは「バックロードホーン」と「共鳴管」の合成特性だと言えます。
赤線で示したのがバックロードによる特性、青丸で示したピークが共鳴音です。
[バックロードとしての考察(赤線)]
バックロードホーンとしては適切な特性です。
200Hz前後からダラ下がりになっているのは、「空気室容量」と「ホーン断面積」の設定が適切だという証拠です。
もし「空気室容量」が小さいと、500Hz前後まで赤線がフラットになってしまい、中低域過多なサウンドとなってしまいます。
一方で、低域の伸びが悪いのは、「ホーン広がり率」が大きすぎた(0.93)ためです。もっと広がりを絞れば重低音までの再生が可能です。
[共鳴管としての考察(青丸)]
ホーン長は2.4mなので、音速を340m/sとすると共鳴周波数は…
340÷2.4÷4×1=35Hz
340÷2.4÷4×2=70Hz
340÷2.4÷4×4=140Hz
340÷2.4÷4×6=210Hz
と、実際の測定結果はこれと比べて若干高域よりにシフトしますが、大体合っています。
興味深いのが、従来の共鳴管理論で言われていた「片開管」ではなく、「両開管」となっている点です。空気室の広さ・形状が共鳴管としては不都合なのかもしれません。
[中高域(1.2kHz)]
これは、ホーンの横幅15cmによる定在波です。
340÷0.15(m)÷2=1133(Hz)
これだけ分かりやすい特性が出るのも、単純な構造の4号機ならではだと言えます。長岡バックロードでは、各音道の共鳴音で何がなにやら分からない(=「バックロードは理論的に動作しない」)になってしまいます。
さて、このバックロードホーンを壁に近づけてみます。
そうすると・・・
見事に30Hz(-10dB)までの重低音を再生する事ができています。しかし、依然として中低域(120~210Hz)が目立ちます。
壁による低音反射を利用できるという点では、本機のような前面開口より後面開口の方が有利でしょう。
今回の試作4号機は、
・VW音道+単純な構造による、最大級の低音総量
・単純な構造による素直な特性
・適切な空気室容量(4.5L)
として成功だったものの、
・もう少し低音の伸びが欲しい
・中低域のピーク(120~210Hz)
・前面開口なので、中低域のモレがダイレクトに聴こえる
・壁から離すと低音減少
といった問題点がありました。
試作5号機では、それらの問題点を克服して・・・
というか、既に完成していますw
続きはまた次回。
私の130cm程度のショートホーンでも、
60-70Hzあたりが盛り上がるので、
これはホーンによるピークではなく共鳴管によるピークだろうと思っていました。
計算上も一致しますしね。
340/(1.3*4)≒65
このローエンドのピークは明らかに、
ソフトな共鳴管の音ですが、
1オクターブ上の音は音色も全く違っていて、
バリバリ、ゴリゴリでホーンの音です。
カノン5Dさんの実験でも同じような結果なので、やはりと感じました。
うーん、面白い記事でした^^
なるほど、ショートホーンでも共鳴動作をするのですね。参考になります。
バックロードホーンは、共鳴管としての動作が思ったより強いので、共鳴管作りのテクニックを使って煮詰めていくと、良い結果が得られるのかなぁ。と感じています。