社会保険労務士の大澤朝子です。
世の中、面白いもので、法律に書いてないことで実生活で
判断しなければならないことが結構あります。
特に、労働基準法は、ざっくりとしか決められていないので、
現実社会で起こったことは、その都度役所にお伺いをたてる、
などということになってしまいます。
その回答の体系化されたものが「通達」というわけですが、
これは法律ではないので、強制力にやや問題があるという解釈も
あります。
しかし、それはそれとて、実際には多くが通達による
判断基準で動いている世の中。致し方ありません。
また、その「通達」さえ出ていないイレギュラーな事例も起こります。
例えば、
企業様からの質問で一番多いのが、
「勤務時間や勤務日数が減ったのに、これまで通りの
年次有給休暇の日数を付与しないといけないのでしょうか?」
というもの。
次に多いのが、
「入社して半年経って年次有給休暇が10日発生した人が、
その1か月後に退職するので、残りの1か月間に10日の
有給休暇をください、と言われました。全部与えないと
いけないのでしょうか?」
のような事例。
前者の回答の参考には「通達」を使います。
曰く、年次有給休暇の付与期間の1年間の途中で勤務日数が
減ったなどの場合は、
「年度の途中で所定労働日数が変更された場合、年休は基準日
(付与日)において発生するので、初めの日数のまま」でよい
とされています(昭61.3.14基発150)。
つまり、契約上の勤務時間が減って大幅に年次有給休暇の付与
日数が減ることになった場合でも、次の基準日まではそのまま
の付与日数でよく、契約変更後の最初の「基準日」において
ようやく、減じられた所定労働日数に応じた年次有給休暇を
付与すればいいことになります。
と、こちらは、簡単に回答できる。
次の、有給付与日数もらった、でも辞めるからすぐ有給全部
ください、という虫のいいお話の方。
最初、この種の質問をある会社さんから訊かれたときは、
「まるで漫画本でも読んでるくらい」びっくらしたのですが、
本気でそんな無責任なことを今の若い人は言ってくるのだと、
情けないやら、イヤ、可笑しくなりました。
はい。要件に該当するすべての労働者には、年次有給休暇を
請求する権利があります。付与日数をいつ、どのように消化
しなければならないという制限もありません。
ですから、「入社し10月1日で半年経ちました。10月1日から
10日間の年次有給休暇を取ります」でもなんら労基法上の問題は
ありません。民法上の雇用契約に基づく労務提供義務及び
労働契約法上の信義誠実義務に反しないか、程度の問題はあると思いますが。
労基法上の制限があるとしたら、使用者側の「時季変更権」くらいの
もので、要するに、業務多忙を理由に他の日に年休取得を変えて
ください、と「言える」だけの効果しかないのです。
こんな漫画みたいな要求に対しては「通達」は出ていません。
出ていないのですが、判例がいくつかあります。
そこで、判例の趣旨を要約すれば、14日間は労働者側に労務を
提供する義務があるが、その他については、労使よく話し合って
決めるのがいいでしょう。労働者の方も、年次有給休暇は
「リフレッシュするためのもの」という制度の趣旨をよくくんで
くださいね。というような判旨。
ですから、企業様からこのような質問を受けた場合には、
以上のような趣旨のお話をしています。
相手様も、なんか、煮え切らない、納得しかねるような心持で
聞いているようですが……。
人間社会。勝手気儘にいろいろな思惑がひしめいているので、
優等生の法令も、思わぬ案件に驚いていることでしょう。
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世の中、面白いもので、法律に書いてないことで実生活で
判断しなければならないことが結構あります。
特に、労働基準法は、ざっくりとしか決められていないので、
現実社会で起こったことは、その都度役所にお伺いをたてる、
などということになってしまいます。
その回答の体系化されたものが「通達」というわけですが、
これは法律ではないので、強制力にやや問題があるという解釈も
あります。
しかし、それはそれとて、実際には多くが通達による
判断基準で動いている世の中。致し方ありません。
また、その「通達」さえ出ていないイレギュラーな事例も起こります。
例えば、
企業様からの質問で一番多いのが、
「勤務時間や勤務日数が減ったのに、これまで通りの
年次有給休暇の日数を付与しないといけないのでしょうか?」
というもの。
次に多いのが、
「入社して半年経って年次有給休暇が10日発生した人が、
その1か月後に退職するので、残りの1か月間に10日の
有給休暇をください、と言われました。全部与えないと
いけないのでしょうか?」
のような事例。
前者の回答の参考には「通達」を使います。
曰く、年次有給休暇の付与期間の1年間の途中で勤務日数が
減ったなどの場合は、
「年度の途中で所定労働日数が変更された場合、年休は基準日
(付与日)において発生するので、初めの日数のまま」でよい
とされています(昭61.3.14基発150)。
つまり、契約上の勤務時間が減って大幅に年次有給休暇の付与
日数が減ることになった場合でも、次の基準日まではそのまま
の付与日数でよく、契約変更後の最初の「基準日」において
ようやく、減じられた所定労働日数に応じた年次有給休暇を
付与すればいいことになります。
と、こちらは、簡単に回答できる。
次の、有給付与日数もらった、でも辞めるからすぐ有給全部
ください、という虫のいいお話の方。
最初、この種の質問をある会社さんから訊かれたときは、
「まるで漫画本でも読んでるくらい」びっくらしたのですが、
本気でそんな無責任なことを今の若い人は言ってくるのだと、
情けないやら、イヤ、可笑しくなりました。
はい。要件に該当するすべての労働者には、年次有給休暇を
請求する権利があります。付与日数をいつ、どのように消化
しなければならないという制限もありません。
ですから、「入社し10月1日で半年経ちました。10月1日から
10日間の年次有給休暇を取ります」でもなんら労基法上の問題は
ありません。民法上の雇用契約に基づく労務提供義務及び
労働契約法上の信義誠実義務に反しないか、程度の問題はあると思いますが。
労基法上の制限があるとしたら、使用者側の「時季変更権」くらいの
もので、要するに、業務多忙を理由に他の日に年休取得を変えて
ください、と「言える」だけの効果しかないのです。
こんな漫画みたいな要求に対しては「通達」は出ていません。
出ていないのですが、判例がいくつかあります。
そこで、判例の趣旨を要約すれば、14日間は労働者側に労務を
提供する義務があるが、その他については、労使よく話し合って
決めるのがいいでしょう。労働者の方も、年次有給休暇は
「リフレッシュするためのもの」という制度の趣旨をよくくんで
くださいね。というような判旨。
ですから、企業様からこのような質問を受けた場合には、
以上のような趣旨のお話をしています。
相手様も、なんか、煮え切らない、納得しかねるような心持で
聞いているようですが……。
人間社会。勝手気儘にいろいろな思惑がひしめいているので、
優等生の法令も、思わぬ案件に驚いていることでしょう。
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