大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

◆履歴書と「年金手帳」の名前が違う?

2015年01月16日 13時06分51秒 | 公的年金等
電子申請や郵送で届出書類の提出を促す行政機関は多い。

税務申告などは、正確な数字は一つなので、電子申請等に向いている。

しかし、社会保険や雇用保険は、対象となる人間の「氏名はひとつではない」?!
「番号が一つではない」?!ので、電子申請や郵送には不向きな手続きが多い。

年金番号や雇用保険番号は、一生に一つの番号を使う。

しかし、転職先で年金手帳を出さない、雇用保険被保険者証を出さない人の場合、
複数の番号が付されてしまう場合がある。
こうなると、過去の自分の番号ではなく、新たに番号が付されてしまうので、
せっかく納めた過去の年金や雇用保険の記録が引き継がれないことになる。

これが、いまだに「不明の年金記録」にもつながっているものだが、
更に、日本人の名前は「漢字」「読み」等で表記するので、「名前の間違えが多い。」

漢字の間違い。読みの間違い。
よくある例は、(ブログにも何度も書いているが)
・山崎→山
・大沢→大澤
・〇田→〇た(「だ」ではない)
は、まだ可愛い方。
・小暮、木暮
・斉藤、斎藤、齊藤、齋藤
・渡辺、渡邊、渡邉
・〇橋→〇𣘺
・柳→
・浜田→濱田、田
・瀬戸→戸
など、数え上げればきりがない。
姓だけではない。名の方も難しい漢字や難しい「読み方」があって、大変だ。

さて、人は、自分の年金記録や雇用保険の記録など、どうなっているか
知らないし、また興味もないといったところが本音ではないだろうか。

そのためかどうかは知らないが、

「履歴書の名前の漢字」が正確ではない人の実に多いことか。

履歴書に「浜本」と書いていて、実は住民票上は「本」なんていう人はザラ。
住民票上の正確な漢字を書かず、普段自分が書いている簡単な方の漢字を書いてしまう。

こうして、何も知らない総務課の人が社会保険(年金・健保)の資格取得手続をする……。

漢字違いは、浜本→濱本なんてのはまだいい方で、木暮→小暮になっている場合もある。
不思議なもので、間違った名前の年金手帳や健康保険証をもらっても、そのまま
使っている人がいるんだから、世の中、本当に、本当にふしぎ。

だから、当事務所では、履歴書の「名前」はあまり信用しない。
年金手帳、住民票、運転免許証等で、「正しい」名前を探り、本人に確認している。

で、うちの顧問先に転職してきて、初めて、年金番号が二つあるとか、年金手帳の名前が
違っているとか、雇用保険番号がつながっていない、とかが判明する……。

コスト削減とばかりに、被保険者の年金記録や雇用保険番号のつながりなど気にせず、
単に、郵送や電子申請で資格取得届を出せばいい……とは、ならない、現実のお話である。

更に記せば、電子申請では、「」「濱」「」などの漢字は受け付けられない。

本年10月から社会保障・税の「個人番号」が配布される。
雇用保険には、平成28年1月1日から使われ、
社会保険には、平成29年1月1日から使われる予定。
従って、それ以降の記録は、ほぼ正確に引き継がれていくであろう(と思う)。

しかし、それ以前の記録は、つながらないまま放置されるのであろうか、それとも、
誰かがどこかで何年もかけて補正してくれるのであろうか……。
疑問は消えない。


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