日々の事から

日々のあれこれ
by Kirari

読書記録📖

2021-09-20 18:01:21 | 
『正しい愛と理想の息子』 寺地 はるな 著 2021.9.19読了

寺地さんの書く、珍しくフィクションらしいフィクションだった(笑)
ドキュメンタリーじゃないので、そりゃどれもフィクションなんだが、小さい頃から悪い親に詐欺師紛いのことをさせられて、悪い仲間と詐欺を働いて生きているハセもどこか素直だし、ハセが何かと庇う沖という後輩も、常識がないと言えばないが、相棒として仕事をさせてもどんくさいところがあったり、厳しかった母が認知症になっていくのを見ていられなくなり、世話をしてやっているところなんか、本当に素直で好青年である。
私が昔住んでいた団地には、環境に恵まれない子供たちが何人もいた。
金はあるが親の愛がない家では、子供が存在価値を探るあまりチンピラ紛いの生活をしていたり。
みんないいやつなのに、本当に育った環境が悪かった。気の毒なことだ。

貧乏でも心は錦、である。
貧乏しててもしっかり勉強して志を高く持っていればいつか実が成る。そういう忍耐がやつらにはなかった。
面倒を見る大人がいればうまく育ったかもしれない。私が接する時もそう感じて、色眼鏡はかけなかったから仲良くできていた。
この小説の二人も、いい親に恵まれていれば曲がったことをやっていかずに済んだのになあ。

フィクションだと感じるのは、本当のチンピラならもっと性格が嫌らしいってことだ。ねちっこくずる賢い要素が含まれる。隙を見せればいつまでも絡み付かれる。
そんな空気がない分、無難な小説に仕上がっている。
中学まで点在する団地の学区に住んでいたので、友達を選ばないと平穏な毎日は過ごせなかった。悪どいやつはとことん悪どい。

ハセと沖は普段は清掃や介護施設で働くなど根はいいやつなので、これからは恵まれた人生に成るといい。意に反して恵まれない家庭に生まれた私の同級生たちも、今後は幸せな人生になっているといい。



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