NOTEBOOK

なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

ワンデイ

2012-12-02 | 授業
劇場公開時に観に行こうと思っていたら、いつの間にか終わってた。


リトルランボーズ


まごうことなきアン・ハサウェイ映画。大学時代に憧れていた男子、デクスターとセックスする機会を得るも、ちょっとした偶然でその機会を不意にしてしまったエマ。セックスしなかったことで二人の間に友情が芽生えていくという筋書き。親友と言いつつ、セックス以外はするという関係性が最近はやりの『ステイフレンズ』や『抱きたい関係』、それに同じアン・ハサウェイ主演の『ラブ&ドラッグ』といったセックスから純愛が始まる映画とは真逆でちょっと新鮮。

23年間の7月15日という1日のみを描くという構成も斬新。だから、例え二人の間の何か重大な出来事があったとしても、7月15日じゃなければ映画の中では直接には描かれない。その日の後にその大きな出来事について触れられる。23年の間の恋愛というか関係性を描くなら、23年間の間イベントごとに切り出していきそうなものの、それを1日だけに絞ったのは大正解。ばっさばっさと切り落としさっぱりとした印象に。あっけないとも言えるけど。もちろん原作小説があるので、元からなんだろうけれど。

というか、単純に甘酸っぱい関係性を描く『ラブ&ドラッグ』のような恋愛ドラマで、アン・ハサウェイが主演なんだと思っていたけど、観てみると違った。甘い関係性ばかりではなく、互いに必要としあう関係性で人間ドラマとして面白かった。イケメンでお坊ちゃまでテレビの司会者で女遊びばかりしている野郎だからまったく感情移入できなかったけど、エマが好きでもないのに付き合うイアンがまったく魅了的でなく描かれるので、どうしてもイケメン自己中野郎のデクスターに肩入れせざるを得ないように作られてるのがなんとも。彼の挫折から物語が単に恋愛だけではなくなってくる。

そして後半のある事件で、ぼくは思わず声を上げてしまった。この事件を後半に入れたことで単純な恋愛映画になることを拒否しているよう。ラストに時間軸を入れ替えたことで後味を損なわずに、恋愛からそれ以上の話に成れていたように思う。


それでも今作で注目すべきはやっぱりアン・ハサウェイの凄さ。大学時代の野暮ったい丸めがね姿に、メキシコ料理店での働いている姿、好きでもない男と成り行きで同棲しているころのさえない姿と自らの夢を叶えたときなどのエマの時々の姿がきちんとビジュアルで表現されているところ。野暮ったくてもアン・ハサウェイが可愛いという。またこの人は露出狂なんじゃないかと疑うほどにいい脱ぎっぷり。前述のセックスからの純愛モノの中でバストトップまでさらしているのは『ラブ&ドラッグ』のアン・ハサウェイのみ。あんなにあけすけで面白い『ステイフレンズ』のミラ・クニスもそこは守ってる。なんだかいつも脱いでる気がするアン・ハサウェイ。

アメリカンスプレンダー

2012-11-11 | 授業

リトルランボーズ


アメリカのアングラコッミク原作者のハービー・ヴィーカーをモデルとした『American Splendor』シリーズと自身の癌闘病を生活を描いた『Our Cancer year』というエッセイコミックを原作とした2003年の映画。アメリカの人気トークショー、「デビット・レターマンショー」にも本人がたびたび出演したほどに著名な作者だからか、エッセイコミックという原作を活かしてか、映画の中にもハービー本人がナレーションを行い、また本人役として登場し、ポール・ジアマッティが主にハービーを演じているが、晩年のハービーはハービー自身が演じている。

太っていて怒っているような鋭い目つき。禿げ上がった頭は近寄りがたい不に気を見せる。子供のころから頭がよく、周りがくだらなく見えたハービーは実際に知識に長けてはいたが、大学を中退し、結局は退役軍人病院のカルテ係という仕事に甘んじている。趣味のレコード集めをしている際に『フリッツ・ザ・キャット』(あの帽子を被った奇妙な猫のコミック)の作者であるコミック作家のロバート・クラムと知り合い、自らの退屈な日常をありのままに描いた大人向けコミックの作成を提案する。

スーパーヒーローではない、アメリカの田舎のさえないおっさんのさえない生活を描いたエッセイコミックが徐々に人気を獲得していく。でも愛する妻は、それも学費を出して大学院にまで出してあげたインテリの妻は彼を捨てて出て行った。コミックは評判になるも、コミックだけでは食べてはいけず、病院のカルテ係を続けている。基本的にはさえない人生。そこにコミック原作者としての成功と新しい出会い、そして癌との闘いが描かれる。普通のさえない人生かと思えば、ハービーの人生は何だかんだで色んなもので満ち満ちている。

『American Splendor』の成功のおかげで、ハービーは人生を開けた。でもハービーは定年までカルテ係だった。ラストはハービー本人の退職パーティーで終わる。年金と映画のギャラが老後の頼りだとハービーは言う。確かに金銭的な大成功はハービーには無かったけれど、いかめしいあービーの顔はとても満ち足りているように見えた。映画は2003年公開だったけれど、その7年後の2010年にハービーは亡くなったそう。確かに退屈で苦難に満ちた人生だったのかもしれないけど、傍目から見たらそれは幸福な人生だったんじゃないと思える。


ちなみにハービーの妻ジョイス役にはジェニファー・アニストンも自ら立候補していたらしいけれど、日本語版のジョイスの吹き替えはジェニファー・アニストンの吹き替えで有名な安達忍が吹き替えを担当している。

特典映像にはカンヌ映画祭に主席したハービーたちの道中が収録されていたけれど、その中にはジャンクロード・ヴァンダムの姿が。2008年に差落ちぶれた俳優となったヴァンダムの日常を描いた『その男、ヴァンダム』が公開されているけれど、まぁ関係ないか。

最近の東京ガスのCMは何なんだ!

2012-10-14 | 授業
安藤サクラと銀粉蝶を観たときは上手い人だから使っているんだろうなとか思ってたけれど。




二階堂ふみと田口トモロヲのCM。



橋本愛と余貴美子のCM。



もはや確信犯。日本映画の若手注目女優のショーケースのようになってる。なんだこれは!相手を務めるベテランの方々も素晴らしい。なんだこれ。youtubeに安藤サクラと銀粉蝶のCMは無かったけれど。「食彩の王国」は番組自体も面白いけれど、CMも目を離せないなです。




それにしても二階堂ふみ。すごい勢いで顔が変わってる。大人になってる。



ドライヴ

2012-10-07 | 授業
いやーめちゃくちゃ面白かった!!



リトルランボーズ



言われていたように冒頭の「運び屋」家業のシーンは単純に突っ走るだけではなく、いかにして警察を巻くかという点で描かれているので、例えば『トランスポーター』みたいな突っ走りまくりの「運び屋」とは異なる。この1点だけでも新鮮なのに、警察無線を傍受しつつの駆け引きはまるで『メタルギアソリッド』シリーズのようなステルスのような緊張感。そして最後には、抑制を効かせながらも見せ場を作ってくれる。

昼はカースタントマン、夜は運び屋をしているライアン・ゴズリングが夫が刑務所にいる人妻で子持ちのキャリー・マリガンと知り合い、愛情をはぐくんでいく。この出会いの、関係が生まれるシーンをはじめ、演出のこざっぱり感が半端無い。例えば、この出会いのシーンではその前にゴズリングがマリガンの存在を気に留めているシーンをいくつか挟んでからの駐車場で車が故障しているところへゴズリングが歩み寄るシーンから彼女の部屋に荷物を持って運び込む!一線を越える描写もマリガンがゴズリングの手に手を絡ませるシーンという簡潔さ!安い凡百なベッドシーン、キスシーンを見せられるよりよほど説得力があるし、しかも短くなる(この映画はなんと100分!)

マリガンの刑務所にいる夫が戻ってきた時、初めてゴズリングと対面するシーンも直接的には自分の妻に惚れている男へ、そのことに気づき、手を出すんじゃねーよ!とは言わないが、言外でちゃんとそれが表現されている。

大筋としては、陰のある男が人妻に恋をした(しかも純愛!)でも彼女には夫がおり、しかも面倒事に巻き込まれている。それを解決するために立ち上がる、というまぁたまに目にする話だとは思うけど(でも思い出せない。)、それが途中からフックが加わって、ヴァイオレンスの連鎖になっていくのがまた飽きさせなくて素晴らしい。前半の物腰柔らかなゴズリングが超人ハルクの如く次々と悪漢たちを血祭りに上げて、そしてまた超人ハルクの如くその姿を目にした愛する人から遠ざけられるという。

その超人ハルクを見せてしまう前のゴズリングとマリガンのキスシーンがすごく示唆的。エレベーターで悪いやつらからのヒットマンに出くわし、覚悟を決めたゴズリングはマリガンに最期のキスをする。この時、ゴズリングがマリガンを腕で押してエレベーターの置くに立ち位置を変える。エレベーター内のライトはマリガンには当たっているが、ゴズリングは影の中に沈む。二人の今後を示すよう。そしてキスの直後にゴズリングはヒットマンを蹴り殺す。それを目前としたマリガンはその場から去ってしまう。


ラストに至るまでヴァイオレンスは強烈だが、さっぱりとしているので引きずらない。凄いよ、とっても面白かった!ただニーノへの復讐の際に、変装する理由がよく分からなかったです。