矢野顕子さんの少し前のアルバム、『Home Girl journey』を「赤いクーペ」という曲目当てで聞いてみたのですが、このアルバムはカバーアルバムに近かったようで様々なアーティストの楽曲のカバーが収録されていました。そのカバーに槇原敬之さんことマッキーの「雷が鳴る前に」という曲のカバーが収録されていました。
小学生の時、初めて買ったCDがマッキーで、初めて行ったライブがマッキーのライブだった程にファンだったので、この曲も良く聴いていました。その中の詩に「雨を避ける 傘よりも君が大切なんだ」というのがあるのですが、小学生の当時この歌詞を聴いて、「傘よりも大事って全然大事じゃないじゃん」と子供ながらに思ってたもんです。
矢野さんの歌う「雨を避ける傘よりも君が大切なんだ」という詩を聴いた途端に、それまで抱いていた「傘よりも大事」という言葉のリアリティに気付かされた気がしました。良くありがちな誇大な愛情表現よりも雨に濡れるような状況でも傘よりあなたが大事です、というのはリアルで、ホントっぽい。言う相手のパーソナリティを選ぶとは思いますが。
こんな感想を頭の中で捏ね繰り回していたら、この傘という着想は実体験というよりも井上陽水さんの「傘がない」なのかぁと妄想してしまっていました。あの歌では大事(大きな物事の方)よりも、雨が降っているときに傘が無くても「君」に会いに行くという感じの内容ですが、似たようなことなのに「傘がない」の方が非常に解り易いです。
何だか大人になってしまったことに気付いてしまったような、昔の自分を懐かしむような変な感覚がしてしまいます。それにしても矢野さんのアレンジはどれも素敵でした。大人になった今なら素直に良い歌だなぁと思えます。